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女だということ
5(68p)
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女だということ5(68p)
何も出来ずに事が終わるのを待つだけだと、固く目を閉じた時
首元にヒヤリとした慣れない感覚がした
心做しか、体をまさぐる浪士の手も震えてるような気がして薄く目を開けると、暗闇の中で微かに射す月光に照らされてチラチラ反射する何かが自分と男の首元に添えられていた。
そして、先程の男の声が上から降ってくる
「まだここで続ける気ならこのまま切るぞ。止めるか外でやれ」
冷たく放たれるその言葉でようやく理解が追いつく、この首元にある何かは刀のようだ。
浪士はその状況に体を震わせながら、男の方へ向き返ると「ちっ……!やってられるか!!」と捨て台詞の様なものを吐きながら、浪士のものであろう簡素な荷物を乱暴に掴み取り、何処かへと行ってしまった。
取り残された楓はただ呆然と浪士の出ていった方向を見つめることしか出来ずにいた。
乱れた服を整えようともせずに、静止する楓に男は冷たい言葉を降らす
「お前にはなんの恨みもねぇが、生半可な道理で俺たちの道を邪魔するなら、お前も早く立ち去ることだな。」
「………っ!」
男の言葉に何も言い返せなかった
言葉にならない憤りと悔しさだけが胸に燻った。
夜は静けさを取り戻し、全てを飲み込むように更けていった……
何も出来ずに事が終わるのを待つだけだと、固く目を閉じた時
首元にヒヤリとした慣れない感覚がした
心做しか、体をまさぐる浪士の手も震えてるような気がして薄く目を開けると、暗闇の中で微かに射す月光に照らされてチラチラ反射する何かが自分と男の首元に添えられていた。
そして、先程の男の声が上から降ってくる
「まだここで続ける気ならこのまま切るぞ。止めるか外でやれ」
冷たく放たれるその言葉でようやく理解が追いつく、この首元にある何かは刀のようだ。
浪士はその状況に体を震わせながら、男の方へ向き返ると「ちっ……!やってられるか!!」と捨て台詞の様なものを吐きながら、浪士のものであろう簡素な荷物を乱暴に掴み取り、何処かへと行ってしまった。
取り残された楓はただ呆然と浪士の出ていった方向を見つめることしか出来ずにいた。
乱れた服を整えようともせずに、静止する楓に男は冷たい言葉を降らす
「お前にはなんの恨みもねぇが、生半可な道理で俺たちの道を邪魔するなら、お前も早く立ち去ることだな。」
「………っ!」
男の言葉に何も言い返せなかった
言葉にならない憤りと悔しさだけが胸に燻った。
夜は静けさを取り戻し、全てを飲み込むように更けていった……
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