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女だということ
3(66p)
しおりを挟む浪士の手が楓の帯をゆっくりと緩め、はだけた着流しの隙間から白い肌があらわになる。
それを見て浪士は不気味な笑みを浮かべる。
「へぇ…男のくせに綺麗な肌してんじゃねぇか。」
そう言うと、首筋へと顔を埋めゆっくりと舌を這わせてくる。
生暖かい舌の感触と、荒げられた吐息が肌をつ 伝い全身に恐怖と虫唾が走った。
「………んんっ!!」
「こらこら、声すんじゃねぇよ…にしても、サラシが邪魔だなぁ…」
ボソリと呟くと、浪士は楓の胸元にキツく巻かれたサラシに手をかける。
それに気づき、抵抗しようとするが組み敷かれた身体はビクとも動かない。
「ふふ、諦めなって。こんな女みてぇな体じゃ……誘ってるもんだぜ?」
楓の反応を楽しむかのように、浪士は上機嫌ではだけさせていく。
「……ふっ……んんっっ…………!!」
(嫌だ!怖い!やめてっ……!)
恐怖と悔しさなのか、口元を塞がれているせいなのか。
息苦しい…。
私が女だからダメなのか?
いくら剣術を極めようと、女だからこんな目に遭って抵抗ひとつ出来ずにされるがまま全てを奪われていくのか…。
酸欠のせいなのか
極度の緊張状態のせいなのか……
意識が遠のく様な気がして、ぼーっと暗い天井だけを眺めながら体の力が抜けていく。
「ふっ…、やっと諦めたか。
初めから大人しくしていればいいものを…」
楓の反応を見るや浪士舌なめずりをして笑うと、上機嫌で再び楓の首筋に顔を埋めようとした……
そして、楓も抗うことを諦めた。
自分が女だから、やはり男の力には叶わないのか…
このまま、ここで女だとバレて犯され
最悪、護衛の任に性別を偽って参加したことによって殺されるかもしれない。
女に生まれたから…
そんな考えが走馬灯のように脳裏を過ぎった。
…………………………………………………
…………………
その時………!
「おい。」
聞き覚えのある、低い声が何処からか聞こえてきた。
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