蝶の如く

旅に危険はつきものだ

14(56p)

護衛中であるのもあり、明日の出立も早いといういうことで
夕食を終えた後は宿に戻るものも多かった。

中には夜遊びをするものもいたのだが、楓は宿に戻っていた。

沖田の隣に位置する場所に布団を敷き、早く朝になれと願いながら床につく…


「ゴホッゴホッ！」

楓の左上、沖田の上に位置する浪士の方から咳き込むような声が聞こえてきた。

楓以外にもう一人床についている浪士が居た
その浪士は道中も咳き込んでいて、楓が気にしていた者であった。


「大丈夫ですか？」

「ゴホッ…大っ…丈夫…ですっ！」

声をかけると咳き込みながらそう答えてきたが、様子を見るかぎり大丈夫ではない
顔は土のように血色を無くし、目もうつろだ

その浪士の話を聞く限り、田舎の両親を助ける為にこの護衛に来たそうだが

この状態で護衛を続けさせる理由にはいかないと役人に話をつけ、病人や怪我人の宿へと連れていった。

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「では、私はこれで失礼します。」


宿への帰り道…
本庄宿にある甘味処を物色している沖田を見つけた。