上 下
3 / 27

立ち上がれっ!! 不細工!

しおりを挟む
 ミシッ
 突然叫び、立ち上がった俺に注目が集まる。そして、黒板前まで行き、それを強く叩く。

「あー、言い忘れてたけど黒板落ちやすいから」

 俺は黒板を後ろに立てかけて咳払いをする。

「新入生がこんな事を言うのもおかしいかもしれないがな……。お前ら! この学園に何故入ったのかを思い出せ!!」

 周りから不満がたくさん漏れる。

「あーあ。毎年、いるんだよ。こういう馬鹿」

 お前は何年留年してんだよ……。

「俺がこの学校に入ったのには理由がある!」
「わー。凄いね!」

 何だよ……。このブス。腹立つなぁ!

「この学校のルールを忘れたのか?! そう、『スキル制度』があるだろ!」

 まぁ、説明しよう。
 この学校にある決まり。スキル制度。詳しいことはよく分からないが、神様の力か何かで顔の容姿などを良く出来るというものだ。
 例えば、目をぱっちりさせたい! とか、鼻筋を綺麗にしたい! とかだ。
 もちろん。このスキルポイントを獲得するのには方法がある。
 その方法の一つ目は個人でのスキルポイント獲得法だ。
 ルールとしては、必ず低ランクの人から高ランクの相手に挑むこと。
 両者の同意のもと。先生に対決内容と時刻。場所を指定するということだ。
 この方法はポイントを多く獲得できるが、クラス面での変化が起こる方法ではない。
 だが、相手の養子のスキルポイント一つを多く奪い、敵クラスの戦力を奪うことが出来る。
 その代わり、低クラスで挑んだ方が負ければ、どれか一つのスキルポイントを全て奪われてしまう。
 説明が遅れてしまったが、スキルカードというのは自分の容姿がテストの採点のように記載されている、この学校の生徒手帳みたいな物だ。
 そして、二つ目。
『クラス単位での大量ポイントゲット』だ。この方法は低クラスが上のクラスに挑むことが出来る方法で、クラス全体を合計したスキルカードの戦力なども関わってくる。
 勝負内容は野球やサッカー等のスポーツはもちろん。ゲームなんかでもいいらしい。
 もちろん。これも両クラスの同意が必要だ。
 これは相手からスキルポイントを奪う。ということでは無く、クラス全員のポイントを上げることが出来る。
 その代わり……。相手に挑んで、負けたクラスはAクラスの雑用を一週間やらされるらしい。
 つまり、このルールは挑まれたクラスに取ってはノーリスクという事だ。
 一つあるとしたら、負けた時にクラスが落とされる。という事だ。

「あぁ。そんなのもあったなー。懐かしいよ」

 前の方で座っていた男が懐かしそうに語る。

「懐かしがっる暇があったら俺らが革命を起こしてやろうぜ!!」

 周りから「嫌だ」「恥をかきたくない」などの声が聞こえる。
 この容姿自体が恥だろ! と突っ込みたい所だが、火に油を注ぎそうなので辞めておこう。

「だから、賛成のやつは手を上げてほしい!!」

 と、深く頭を下げる。周りから見たらぶっ飛んだ新入生と思われているんだろうな。と、思うがこんな所にはいたくない。
 しばらくして、俺が頭を上げるも周りは沈黙に包まれていた。
 それから、しばらくの間。気まずい雰囲気に包まれていると、顎の長い男性または女性。もしくは妖怪が手を上げる。

「わ、わたひはそれにしゃんしぇい(賛成)だな」
「……アゴシャベル。なら、俺も賛成だぜ……」

 すると、豚と人間の合成体のような男性も手を上げる。
 アゴシャベル……っていうのは、あの顎の長い人の名前もしくはあだ名なのかな。
 俺は何とか笑いをこらえる。いや、本当に感謝してるんだけどな。
 それから、徐々に周りの人間も手を挙げていき気が付いた頃には全員が手を挙げていた。

「……ありがとうございます!!」
「何だ、この騒ぎは。ホームルームを始めるぞ!」

 対爆スーツのような物を身にまとった男性がドスンドスンと教室に入ってくる。
 先生と予想した俺は最後に名前を名乗り席に付いた。

「モテ茄子と言います! 宜しくお願いします!!」

 俺の飛んでもない自己紹介はこうして幕を閉じた。
 そして、ホームルームが終わり授業が始まるかと思いきや、各自ワークやら、ゲームやらを鞄から出す。

「え、何これ」

 俺は隣になれた男の娘に質問をする。

「このクラスでは基本。授業は無いからさ。自由に何かしてていいんだよ」

「先生はあの調子だしさ……」と苦笑いをする。
 確かに先生は教室の真ん中で堂々とスマホを開いているな。
 パ〇ドラの音がめちゃくちゃ教室に響いているし。

「ありがと。なら……教科書でも眺めているか」

 俺は配られた教科書に目を通していると、段々暇になり気が付いた時には眠っていた。

 ――――――
 ――――
 ――

「ふぁああ……」

 俺は大きな欠伸をする。これから午前と午後の休憩の時間。

「ところでさ。作戦とかはどうするんだ?」

 新入生の中でただ一人。このクラスにされた俺にクラスの皆が集まってくる。

「作戦……。作戦ねぇ。とりあえず、クラス全員で話し合ってみるか! 俺はまだ、この学校の事を全然知らないしな」
「おう。なら、俺が仕切ってやるぜ。このクラスの代表をしている。『西澤 剣(にしざわ つるぎ)』だ。宜しくな」

 猫目の鋭い視線。スッキリとした鼻。サメのように長い口。トゲトゲの天然パーマ。痩せ型で高身長の男だった。
 そして、心臓に直接突き刺さるような口臭を放つ男だった。

「ゲホ。よ、宜しくお願いします」

 学校生活の命運をかける作戦会議が始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い

うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。 浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。 裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。 ■一行あらすじ 浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ

お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?

さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。 私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。 見た目は、まあ正直、好みなんだけど…… 「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」 そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。 「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」 はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。 こんなんじゃ絶対にフラれる! 仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの! 実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。 

処理中です...