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第三章 ~第三の砦~
第十一話 激しい戦い
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俺は通路を右に曲がり、奥にある低い窓から外に出る。
そして、物陰を抜けると……。
たくさんの勇者が、俺と同じ制服を着た学校の人達を襲っていた。
それに不都合があるのか、魔王様と数名(化け物みたいな奴もいる)が、勇者と戦っていた。
「おーい! 魔王様ー! 壮一来たよー」
魔王様は狂気のオーラを放ち、何かを放ったかと思うと、数名の敵を血に染める。
そして、狂気じみた横顔をいってんさせ、こちらを振り向くときは笑顔になっていた。
「お……! 来たか! とりあえず……。ここの雑魚は俺様達が薙ぎ払う! 話はそれからだ!」
話って……勝手に進めてんじゃねぇよ。
みるみる相手の勇者は倒れていく。だとしたら、何故、序盤の時はあそこまで劣勢だったのにな。
俺が見た限りでは、明らかに魔王軍が攻められていた。その理由は何だ……?
「……!」
そうか。今は胡桃がここにいないんだ。
でも、それだけでって……。胡桃はどんだけ強いんだよ。
魔王が一通り相手を倒した時。風向きが一転した。
「ふふっ。ふはははははは!! 僕の手下を殺しやがって!」
突如、空中に姿を現した胡桃は髪を乱し、頭を抱えてそう叫ぶ。
「出たぞ! あいつかぁ? 強そうじゃねぇなぁ?」
緑色の鱗を纏い、曲線を描く大剣を手に持っている竜人が剣を振り回し、挑発する。
「舐めてると、死……はぁ。これだから馬鹿は……」
と、サキュパスのようなエロい装備を見に付けた、お姉さん系美少女が「やれやれ」と、手を横に出し、頭を振る。
それより、あの竜人はどこだ……?
何だか、あの女の人は呆れているけど、俺には竜人がどこに行ったかは全く分からない。
グルグルと周りを見渡すも、近くに竜人は見つからない。そして、遠い所に目を当てる。
……あれか?
遠くから見ているので、よくわからないが竜人がぐったりとしていて、壁によれかかっているのは分かる。
つ、つまり、一瞬のうちに竜人は倒されたってことか……?! しかも、ノーモーション。素振りも無しにか?
周りの人間が呆然として、見つめる中。魔王が大きな声を出す。
「こいつは俺様がなんとか食い止める! おまえらは勇者共をぶっ倒せ!」
不安からなのか、しばらくの沈黙の後、各所で「はい!」等の声が聞こえる。
そして、魔王様は豹変するように厳つい顔をし、胡桃に向かって大声で叫ぶ。
「仕返しだ!!」
二階の窓付近で浮いている胡桃に対して、魔王様が拳を向けて、突っ込んでいく。
魔王様は何度も何度も胡桃を殴るが、吹き飛ぶことはない。
全ての攻撃を手で受け止めている。
「くたばれ!」
胡桃は魔王の腕をがっしり掴むと、かなりの高さから思いっきり字面に投げつける。
地面からは大量の砂が舞い、辺りが見えにくくなる。
「大丈夫か!? 魔王様!」
俺はそんな在り来りなセリフを叫ぶ。というか、そんな言葉しか出てこないくらいに対処のしようが無かった。
何と言っても、遠距離であれだけの力を見せられたんだからな。
「うるさい。お前は黙ってろ」
「……!」
口……だけではなく、全身が何かに縛られたように動かなくなる。金縛りと同じような感覚だ。
俺が無理にでも動こうと抵抗していると、砂嵐が晴れる。
すると、かなり深くできた穴から魔王が地面に手をかけ、ぐったりとして出てくる。
周りの景色を見せるため、もしくは見せつけるためか首から上(口以外)が自由に動かせるようになる。
何かをするという暗示なのだろうか。
「ふふっ! そうこなくっちゃ!」
ニヤと不敵な笑みを浮かべ、一度、目を閉じたかと思うと一気に見開く。
すると、胡桃は一気に笑いだし……。
目に止まらぬスピードで魔王に突っ込んでいった。
幹部の中で、その戦いを見てきたものは「魔王様!」と、叫び手を伸ばすも手遅れ。
物凄い爆発音と共に、砂が噴火を起こした山の火山灰のように吹き上がる。
これには周りも驚き、戦闘をやめるや、口をポカーンと開いていた。
だ、大丈夫かよ。風圧だけでもかなり凄かったぞ。
でも、俺の意識があるってことは魔王が死んでないってことだな。
すると、砂煙から本当の噴火に似たような赤い色の光が放たれ、周り全体が照らされる。
「舐めてんじゃねぇぞ!! クソ勇者が!」
「あーあ。お怒りモードに入っちゃったかー」
近くにいたリミルが寄ってきて、俺に声をかける。
正直な話、この声がもう恐怖でしかない。
「お怒りモード……?」
「うん。もう暴走が止められないかもねー。まぁ……。こうなった時に魔王様から頼まれていたことがあるんだけど……」
「頼まれていたこと……?」
「そう。君に任務があるらしい。この状況を打開……?」
こいつの声はイラつくが仕方ないので聞くことにしよう。
そして、物陰を抜けると……。
たくさんの勇者が、俺と同じ制服を着た学校の人達を襲っていた。
それに不都合があるのか、魔王様と数名(化け物みたいな奴もいる)が、勇者と戦っていた。
「おーい! 魔王様ー! 壮一来たよー」
魔王様は狂気のオーラを放ち、何かを放ったかと思うと、数名の敵を血に染める。
そして、狂気じみた横顔をいってんさせ、こちらを振り向くときは笑顔になっていた。
「お……! 来たか! とりあえず……。ここの雑魚は俺様達が薙ぎ払う! 話はそれからだ!」
話って……勝手に進めてんじゃねぇよ。
みるみる相手の勇者は倒れていく。だとしたら、何故、序盤の時はあそこまで劣勢だったのにな。
俺が見た限りでは、明らかに魔王軍が攻められていた。その理由は何だ……?
「……!」
そうか。今は胡桃がここにいないんだ。
でも、それだけでって……。胡桃はどんだけ強いんだよ。
魔王が一通り相手を倒した時。風向きが一転した。
「ふふっ。ふはははははは!! 僕の手下を殺しやがって!」
突如、空中に姿を現した胡桃は髪を乱し、頭を抱えてそう叫ぶ。
「出たぞ! あいつかぁ? 強そうじゃねぇなぁ?」
緑色の鱗を纏い、曲線を描く大剣を手に持っている竜人が剣を振り回し、挑発する。
「舐めてると、死……はぁ。これだから馬鹿は……」
と、サキュパスのようなエロい装備を見に付けた、お姉さん系美少女が「やれやれ」と、手を横に出し、頭を振る。
それより、あの竜人はどこだ……?
何だか、あの女の人は呆れているけど、俺には竜人がどこに行ったかは全く分からない。
グルグルと周りを見渡すも、近くに竜人は見つからない。そして、遠い所に目を当てる。
……あれか?
遠くから見ているので、よくわからないが竜人がぐったりとしていて、壁によれかかっているのは分かる。
つ、つまり、一瞬のうちに竜人は倒されたってことか……?! しかも、ノーモーション。素振りも無しにか?
周りの人間が呆然として、見つめる中。魔王が大きな声を出す。
「こいつは俺様がなんとか食い止める! おまえらは勇者共をぶっ倒せ!」
不安からなのか、しばらくの沈黙の後、各所で「はい!」等の声が聞こえる。
そして、魔王様は豹変するように厳つい顔をし、胡桃に向かって大声で叫ぶ。
「仕返しだ!!」
二階の窓付近で浮いている胡桃に対して、魔王様が拳を向けて、突っ込んでいく。
魔王様は何度も何度も胡桃を殴るが、吹き飛ぶことはない。
全ての攻撃を手で受け止めている。
「くたばれ!」
胡桃は魔王の腕をがっしり掴むと、かなりの高さから思いっきり字面に投げつける。
地面からは大量の砂が舞い、辺りが見えにくくなる。
「大丈夫か!? 魔王様!」
俺はそんな在り来りなセリフを叫ぶ。というか、そんな言葉しか出てこないくらいに対処のしようが無かった。
何と言っても、遠距離であれだけの力を見せられたんだからな。
「うるさい。お前は黙ってろ」
「……!」
口……だけではなく、全身が何かに縛られたように動かなくなる。金縛りと同じような感覚だ。
俺が無理にでも動こうと抵抗していると、砂嵐が晴れる。
すると、かなり深くできた穴から魔王が地面に手をかけ、ぐったりとして出てくる。
周りの景色を見せるため、もしくは見せつけるためか首から上(口以外)が自由に動かせるようになる。
何かをするという暗示なのだろうか。
「ふふっ! そうこなくっちゃ!」
ニヤと不敵な笑みを浮かべ、一度、目を閉じたかと思うと一気に見開く。
すると、胡桃は一気に笑いだし……。
目に止まらぬスピードで魔王に突っ込んでいった。
幹部の中で、その戦いを見てきたものは「魔王様!」と、叫び手を伸ばすも手遅れ。
物凄い爆発音と共に、砂が噴火を起こした山の火山灰のように吹き上がる。
これには周りも驚き、戦闘をやめるや、口をポカーンと開いていた。
だ、大丈夫かよ。風圧だけでもかなり凄かったぞ。
でも、俺の意識があるってことは魔王が死んでないってことだな。
すると、砂煙から本当の噴火に似たような赤い色の光が放たれ、周り全体が照らされる。
「舐めてんじゃねぇぞ!! クソ勇者が!」
「あーあ。お怒りモードに入っちゃったかー」
近くにいたリミルが寄ってきて、俺に声をかける。
正直な話、この声がもう恐怖でしかない。
「お怒りモード……?」
「うん。もう暴走が止められないかもねー。まぁ……。こうなった時に魔王様から頼まれていたことがあるんだけど……」
「頼まれていたこと……?」
「そう。君に任務があるらしい。この状況を打開……?」
こいつの声はイラつくが仕方ないので聞くことにしよう。
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