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第一幕 金色の愛
第1話 女王の宿題
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蛮族ダニアの女王ブリジットの情夫であるボルドにとって一番大事な仕事は、主であるブリジットの心を慰めるべく、夜のお相手を務めることだ。
ブリジットはそんなボルドのことをとても愛でているがために時折、戯れのように言いつけることがある。
「ボルド。今日は1日、日課は休みにするように」
女王であるブリジットは日中、執務に出かけており、自宅である天幕に戻ってくるのは夕刻だ。
小姓らと共に主の帰りを待つ間、ボルドはその身を美しく保つための軽い運動や手入れをし、女王の情夫として一定の知識や品格を保つべく勉学や礼節作法の訓練などを小姓らから教授されるのが日課となっていた。
だが今日はそうした日課を休むよう告げられ、ボルドは少々困惑してしまう。
「ブリジット。では私は何を……」
「1日中アタシのことを考えろ。夕刻までそうしてアタシが喜ぶ夜着を選んで身につけ、逆におまえがアタシに着て欲しい夜着を選んでおくように。いいな。ボルド。今日は1日中アタシのことを考えながら夜を待つんだぞ。宿題だ」
「はい。分かりました」
そうして主の出発を見送ると、すでに話を聞いている小姓たちがボルドの前に数々の夜着を持ってきてくれた。
ブリジット用の夜着とボルド用の夜着。
ボルドはこれから一日ウンウンと頭を捻りながらブリジットを喜ばせるために、それらの中から最高の一着を選ばなければならない。
彼はブリジットの言葉を思い返す。
一日中ブリジットのことを考える。
その意味は彼にも分かっていた。
それからボルドは時間をかけ、小姓らが用意した姿見の鏡の前で数々の夜着を代わる代わる身に着けた。
それを着た自分を見てブリジットがどう思うかを想像しながら。
同じくブリジットの夜着を広げて持つと姿見の前に立ち、ボルドはそれを着たブリジットの姿を想像した。
そうなるとどうしても夜伽のことを思い巡らせてしまい、ボルドはまだ日の高いうちからそんなことを考える自分が気恥ずかしくなってしまう。
だが彼は生真面目な性格だ。
「ブリジットは髪の色が明るいから、濃い色の夜着の方が夜には映える。あと私の夜着は脱がせやすいもののほうが喜ばれるな。手触りは……」
主の言いつけ通り、彼はそれから夕刻までブリジットを喜ばせるための夜着を選ぶために、一日中ブリジットのことを考え続けるのだった。
☆☆☆☆☆☆
夕刻に戻って来たブリジットは夕飯と湯浴みを済ませると、すぐさまボルドを寝室に招き入れる。
ボルドは自分の黒髪に合う色として明るい水色の夜着を身に着けており、ブリジットはボルドが選んだ濃い赤色の夜着をその身に纏っていた。
「ブリジットの美しい金色の髪には、深い赤がよく似合うと思いました」
「ボルドはこれが好みなのか?」
そう言ってニッと笑みを浮かべるブリジットに、ボルドは少しばかり恥じらうように頬を赤く染めて頷く。
そんな彼を見てブリジットはゴクリと喉を鳴らすと、ボルドを荒々しくベッドに押し倒した。
「あっ……ブリジット」
「もう辛抱できん」
「あっ……ああっ!」
女王の宿題に満点回答で応えたボルドは、そのまま朝になるまで眠らせてもらえないのだった。
ブリジットはそんなボルドのことをとても愛でているがために時折、戯れのように言いつけることがある。
「ボルド。今日は1日、日課は休みにするように」
女王であるブリジットは日中、執務に出かけており、自宅である天幕に戻ってくるのは夕刻だ。
小姓らと共に主の帰りを待つ間、ボルドはその身を美しく保つための軽い運動や手入れをし、女王の情夫として一定の知識や品格を保つべく勉学や礼節作法の訓練などを小姓らから教授されるのが日課となっていた。
だが今日はそうした日課を休むよう告げられ、ボルドは少々困惑してしまう。
「ブリジット。では私は何を……」
「1日中アタシのことを考えろ。夕刻までそうしてアタシが喜ぶ夜着を選んで身につけ、逆におまえがアタシに着て欲しい夜着を選んでおくように。いいな。ボルド。今日は1日中アタシのことを考えながら夜を待つんだぞ。宿題だ」
「はい。分かりました」
そうして主の出発を見送ると、すでに話を聞いている小姓たちがボルドの前に数々の夜着を持ってきてくれた。
ブリジット用の夜着とボルド用の夜着。
ボルドはこれから一日ウンウンと頭を捻りながらブリジットを喜ばせるために、それらの中から最高の一着を選ばなければならない。
彼はブリジットの言葉を思い返す。
一日中ブリジットのことを考える。
その意味は彼にも分かっていた。
それからボルドは時間をかけ、小姓らが用意した姿見の鏡の前で数々の夜着を代わる代わる身に着けた。
それを着た自分を見てブリジットがどう思うかを想像しながら。
同じくブリジットの夜着を広げて持つと姿見の前に立ち、ボルドはそれを着たブリジットの姿を想像した。
そうなるとどうしても夜伽のことを思い巡らせてしまい、ボルドはまだ日の高いうちからそんなことを考える自分が気恥ずかしくなってしまう。
だが彼は生真面目な性格だ。
「ブリジットは髪の色が明るいから、濃い色の夜着の方が夜には映える。あと私の夜着は脱がせやすいもののほうが喜ばれるな。手触りは……」
主の言いつけ通り、彼はそれから夕刻までブリジットを喜ばせるための夜着を選ぶために、一日中ブリジットのことを考え続けるのだった。
☆☆☆☆☆☆
夕刻に戻って来たブリジットは夕飯と湯浴みを済ませると、すぐさまボルドを寝室に招き入れる。
ボルドは自分の黒髪に合う色として明るい水色の夜着を身に着けており、ブリジットはボルドが選んだ濃い赤色の夜着をその身に纏っていた。
「ブリジットの美しい金色の髪には、深い赤がよく似合うと思いました」
「ボルドはこれが好みなのか?」
そう言ってニッと笑みを浮かべるブリジットに、ボルドは少しばかり恥じらうように頬を赤く染めて頷く。
そんな彼を見てブリジットはゴクリと喉を鳴らすと、ボルドを荒々しくベッドに押し倒した。
「あっ……ブリジット」
「もう辛抱できん」
「あっ……ああっ!」
女王の宿題に満点回答で応えたボルドは、そのまま朝になるまで眠らせてもらえないのだった。
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