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第一章 ブレイン・クラッキング
第11話 エージェントを追え!
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依頼主との待ち合わせ場所であるバスターミナルの手前に差し掛かったところで、突如として鳴り響くけたたましいクラクションの多重奏に甘太郎と八重子は足を止めた。
「なんだ?」
甘太郎が眉を潜めて騒音のもとへと視線を送ると、赤信号の横断歩道を駆け抜けていく一人の女性の姿が目に入る。
どうやら彼女がこの不快な不協和音を演出した張本人のようだった。
「迷惑な人だなぁ」
呆れた様子でそう言う甘太郎の隣で八重子が思わず目を凝らした。
事前に幾度も写真で確認しておいた人物の人相および背格好を思い返し、八重子はポツリと言葉を漏らした。
「あの人……たぶん今回の依頼主よ」
そう言うと八重子はケータイの中に収められた依頼主の画像をもう一度確認する。
八重子の言葉に甘太郎は目を丸くした。
「マジか? エージェントっていうからもっとごっついのが来るのかと思ったけど、普通の女の人だな。というかあの人、待ち合わせをほったらかしてどこに行くんだ」
八重子は依頼主であるその女性のケータイ番号をコールする。
だが、相手は電話に出ることはなく、ついに横断歩道を渡りきって走っていく。
「何かを追ってるみたいだな。中央公園のほうだ。俺らも行くぞ」
そう言うと甘太郎は八重子の手を取る。
「ちょ、ちょっと……」
戸惑う八重子に構わずその手を握ったまま、甘太郎は駆け出した。
「なんだ?」
甘太郎が眉を潜めて騒音のもとへと視線を送ると、赤信号の横断歩道を駆け抜けていく一人の女性の姿が目に入る。
どうやら彼女がこの不快な不協和音を演出した張本人のようだった。
「迷惑な人だなぁ」
呆れた様子でそう言う甘太郎の隣で八重子が思わず目を凝らした。
事前に幾度も写真で確認しておいた人物の人相および背格好を思い返し、八重子はポツリと言葉を漏らした。
「あの人……たぶん今回の依頼主よ」
そう言うと八重子はケータイの中に収められた依頼主の画像をもう一度確認する。
八重子の言葉に甘太郎は目を丸くした。
「マジか? エージェントっていうからもっとごっついのが来るのかと思ったけど、普通の女の人だな。というかあの人、待ち合わせをほったらかしてどこに行くんだ」
八重子は依頼主であるその女性のケータイ番号をコールする。
だが、相手は電話に出ることはなく、ついに横断歩道を渡りきって走っていく。
「何かを追ってるみたいだな。中央公園のほうだ。俺らも行くぞ」
そう言うと甘太郎は八重子の手を取る。
「ちょ、ちょっと……」
戸惑う八重子に構わずその手を握ったまま、甘太郎は駆け出した。
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