Pillow Talk

枕崎 純之助

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第31夜 それって違法じゃないの?

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 こんばんは。
 枕崎まくらざき純之助です。
 前回、サボリ魔とか言われましたので、2夜連続で更新することに決めました。 (誰も言ってない)
 みんな! 勤勉な僕を見て!(キモい) 

 さて、今夜も僕が子供の頃にあった少し気になる出来事をお話ししましょう。
 思えば昔は今ほど著作権が保護されておらず、世の中には色々なキャラクターの偽物にせものグッズがあふれておりました。
 ロッテ・ビックリマンチョコの偽物にせものシールはメーカーロゴが「ロッチ」となっていたり、大人気だったキン肉マン消しゴム(通称キン消し)にも偽物にせものが流通していました。
 いわゆるパチモンってやつですね。

 そうしたパチモンとは少しばかりおもむきが違うんですが、今にして思えば「それって違法じゃないの?」というゲーム筐体きょうたいがありました。
 駄菓子屋だがしややスーパー等の軒先のきさきに置かれていたアーケード・ゲームなんですが、あの有名なファミコンソフト『ドラゴンクエストⅡ』がプレイ出来たんです。

 え?
 ゲーセンでドラクエ?
 当時はおどろきました。

 でもゲーセンにあるから特別なドラクエというわけではなく、普通に家でファミコンでやるドラクエとなんら変わりません。
 要するにゲーム筐体きょうたいの中にファミコンが入っているような感じです。

 以前にもこの『Pillow Talk』でお話ししたことがありますが、小学生時代の僕は親にファミコンを買ってもらえず、『ファミコン欲しい病』という重篤じゅうとくな病にかかっておりました。(アホ)
 ですから、ゲーセンでドラクエが出来るなんて夢のようでした。

 ですが、ゲーセンですので当然お金がかかります。
 1プレイ100円です。
 でも100円でドラクエが出来るなんて安いもんじゃないか~と僕は喜びました。
 そして少ないお小遣こづかいから、なけなしの100円を取り出してゲームを開始します。
 タイトル画面に心をおどらせ、主人公の名前を決めて、始まりの城で人々の話を聞き、いざ冒険の旅へ!
 最初のモンスターと遭遇そうぐうし、戦闘開始!
 ですがそこで画面がブツッと暗転して唐突にゲーム終了。

 へっ?
 どういうこと?
 僕は唖然あぜんとしました。

 実はそのゲーム筐体きょうたい
 1プレイ100円なのですが、時間制限があったんですね。
 100円で10分くらいでしたでしょうか。
 筐体きょうたいにはタイマーが備えつけられていて、その時間が過ぎると強制的にゲーム終了となってしまうんですね。

 何てヒドイ!
 あんまりだ!
 少年だった僕はそういきどおりましたが、お店側だって商売なんだから当たり前ですよね。
 ゲームの強制終了を避けたい場合は、追加の100円を次々と投入しなければならないシステムだったのです。

 ドラクエ2ってクリアするまでおそらく短くても20~30時間くらいのプレイ時間が必要ですよね。 
 しかも当時はセーブシステムがなく、「復活の呪文」という52文字のひらがなの羅列られつでゲームの続きを行う面倒なシステムでしたから、ゲームをやめる際には長ったらしい「復活の呪文」をメモする時間と、続きから再開する際にはそれを入力する時間が必要になるんです。
 これだとクリアするまでに40時間ほどかかるんじゃないでしょうか。

 100円(10分)×6回×40時間=24,000円

 え~と、ファミコン本体が当時14,800円でドラクエ2が5,500円だったから……両方買って家でやったほうが安い!
(発売当時の1987年はまだ消費税がありませんでした)
 
 まあ、あれをアーケードで何十時間もかけてクリアしたよっていうツワモノは日本に1人もいないような気がしますが。(いたらゴメンナサイ)

 ただ、今になって気になるのは「あれって違法じゃね?」ということです。
 今から数年前にゲーム・バーなるものが著作権侵害行為で警告を受けて閉店するという騒動がありました。
 お酒を飲みながら貸し出されたゲーム機で各種ゲームを楽しめるというお店です。
 この行為が法的にアウトと見なされたのです。

 だとしたら、10分100円でドラクエさせるのは思い切りアウトじゃね?
 と思うわけですが、まあ前述の通り著作権法違反についてはまだ甘い時代でしたので、おとがめなしだったんですかね。
 そうは言うものの、そうした形態のゲーム機はすぐに消えていったので、メーカー側から何らかの注意を受けたのかもしれません。
 少なくともその後ドラクエ3が発売された時には、そうしたゲーム機は見かけませんでしたので。

 ああいうのが許されていたので、昔は色々と大らかな時代だったんですね。
 テレビでは金曜ロードショーで血しぶき舞う残酷なホラー映画をやっていたり、昼間からメロドラマで女性のバストがあらわになるシーンを流していたり、少年マンガでもかなりキワドイ絵があったりしました。 
 それはそれで古き良き時代という声もありますが、しかし今は公共のモラルが求められる時代です。
 
 そして「それって違法じゃね?」という事柄ことがらには容赦ようしゃなく厳しい目が向けられ、SNS等で告発されます。
 ですが著作権遵守に厳しくなるということは、作り手の権利を守ってくれるということです。
 それは作り手にとってはとても大切なことなんですね。

 何の商業出版もしたことのないアマチュア作家ですが、それでも僕は1人の作り手として、また自分自身が一消費者として、各種のコンテンツに真摯しんしに向き合ってまいりたいと思います。

 え?
 枕崎まくらざきのくせに何マジメぶってんだって?
 いや、僕はマジメですよ。
 ここまでこの『Pillow Talk』を読んでくれた方は僕のマジメさをよ~く知っているはずです。
 弟が遊園地の乗り物から落下しないよう必死に守ったりしてたでしょ!
 (第3夜『なぜ僕は高所恐怖症になったのか』より)

 弟にアイスをくれた公文くもんの先生に誤解されつつも懸命にお礼を言ったこともあります。その後、公文くもんをクビになりましたが。
 (第9夜『大人は分かっちゃくれない』より)

 床にこぼした墨汁ぼくじゅうを必死にき取ろうとしたこともありました。
 その後、バケツの水をぶちまけて大惨事を引き起こしましたが。
 (第13夜『こんな悪い子、見たことない』より)

 深夜のマンションの廊下ろうかをゾーキンがけしたことだってあるんです!
 上半身裸でね! 
 自分の着ていたシャツでね!
 (第28夜『怪奇! 深夜のゾーキンがけ男』より)

 どうですか。
 このマジメぶり。(どう見ても変態にしか見えない)

 今後もこの『Pillow Talk』では僕という人間がいかにマジメ(変態)なのかを面白おかしく語ってまいりますので、皆さん、どうぞお付き合い下さいね。

 さて、夜もけてまいりましたので、今夜はこの辺で。
 おやすみなさい。
 今宵こよいも良い夢を。
 またいつかの夜にお会いしましょう。
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