Pillow Talk

枕崎 純之助

文字の大きさ
上 下
19 / 43

第18夜 同じ名字というだけで奇妙な親近感

しおりを挟む
 皆さんこんばんは。
 枕崎まくらざき純之助です。

 皆さんは自分と同じ名字の人と会ったことってありますか?

・佐藤さん「普通にあるわ」
・鈴木さん「同じ会社に5人はいるわ」
・田中さん「私なんてダンナも同じ名字だから結婚しても旧姓のままだわ」

 と、なる人も多いかと思いますが、でも中にはめずらしい名字の人もいますよね。
 あ、ちなみに僕の枕崎という名字はペンネームです。
 本名ではありません。

 僕の本名も関東では少ない名字で、子供の頃から今に至るまで友人・知人・同級生・同僚で同じ名字の人には会ったことがありません。
 僕は生まれも育ちも東京ですが、父方の祖父がある地方の出身で、その地域にはけっこう多い名字らしいです。
 今では同じ名字の祖父母や親戚も亡くなってしまい、僕の家族だけとなってしまった○○家。

 そんな僕が生まれてから一度だけ、同じ名字の他人に会ったことがあります。
 それは19歳の時にコンビニでバイトをしていた時のことでした。
 いつものようにレジ打ちをしていると不意に店内に声が響き渡りました。

「おーい。○○~」

 ハッ?
 僕を呼ぶのは誰?
 
 当時アルバイトをしていたそのコンビニには時々、友人がフラッと立ち寄ったりすることがあったので友達に呼ばれたのかと思いましたが、そうではありませんでした。
 呼ばれたのは僕ではなく、その時まさに僕がレジ打ちをするレジで買い物中のお客さんだったのです。

 それは自分と同じ年頃の、背が高く大柄な男子でした。
 彼の友達が店内から「お~い○○~」と呼んだのです。

 知らない誰かが僕の名字を知らない誰かに向かって呼びかけている。
 奇妙な感じですよ。
 今までそんな経験ありませんでしたから。

 僕は動揺を隠しつつ努めて冷静にレジを打ちながら内心で「君、○○っていうのか。僕と同じ名前ですよ」などと思っていました。
 ついつい彼の顔をチラ見してしまいます。
「この店員……俺に気がある? キモッ!」とか思われたかもしれません。

 そのせいで彼は二度とそのコンビニに姿を現しませんでした。
(そのせいではない)
 去っていく彼を追いかけて呼び止め、「君、○○っていうんだね? 僕と同じ名字じゃん。友達になろうよ!」と言うべきだったかと今でも悩みます。
(そんな店員怖すぎる)

 僕と一緒にレジにいた店長も僕の友達が来たのかと思ったらしく、そうではないことに気付いて驚いていました。
 あの彼が僕がたった一度きり、出会った同じ名字の他人でした。
 彼は今も元気に暮らしているでしょうか。
 当時の僕がコンビニの制服に自分の名札をつけていたか記憶が曖昧あいまいなのですが、おそらく彼は僕が同じ名字だなんて気付かなかったでしょうね。
 そんなことがありました。

 実はその後、社会人になった時に電話だけなら僕は同じ名字の人と話しているんです。
 相手は確か埼玉県に住む人だったと思います。
 仕事で一回電話をかけたきりで、今ではその相手の会社名も連絡先も忘れてしまいましたが、僕が「△△株式会社の○○です」と言った途端、相手が「え? ○○さん? 字はどう書くの?」といきなり食いついてきたんです。

 不思議に思って名字の漢字を説明すると、「私と同じ名字じゃないか。いやあ偶然だね。もしかしてあなた、○○地方のご出身?」と嬉しそうに聞いて来ました。
 その人の言う○○地方はまさに僕の祖父の出身地で、そのことを伝えると「私もそうなんだよ。こんなことってあるんだねぇ」と喜んでいました。

 この人の気持ち、僕はすごくよく分かるんです。
 同じ名字あるあるというか、同じ名字というだけで妙な親近感が湧くというか、相手のことをすごく好意的に受け止めてしまうんですよね。
 ましてや出身地(僕自身は東京ですが)というルーツが一緒だとなると「この人と僕の御先祖様はもしかして100年前に同じ土地に暮らして話をしていたのかもしれないな」とロマンを感じてしまうわけですよ。

 ただ、その後のビジネスにはまったく繋がらず、残念ながらその人との電話もその一回きりで終わってしまいました。
 もう一度電話をかけ直して、「同じ名字のよしみで仕事下さい。今度飲みにいきましょうよ」と言うべきだったかと今でも悩みます。
(さすがに引かれるわ)

 これが僕の人生で2度体験した同じ名字の他人との遭遇そうぐうでした。
 ちなみに僕、自分の名字のルーツであるその地方には行ったことがありません。
 いつか行ってみようと思います。
 そこで人生3度目の○○さんとの出会いがあるかもしれませんね。

 以上、今夜は名字のお話でした。
 それでは皆さん。
 おやすみなさい。
 今宵こよいもいい夢を。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

オタクと鬱で人生暇で忙しい

椿山
エッセイ・ノンフィクション
金と愛と時間を手に入れたけど、自分自身には何にもない。鬱病で何もできないから今日も暇だけど、オタクで情緒が忙しい。アスペルガー症候群と重症の鬱病で医者を辞めたバツイチオタクの雑多な話です。 ※エッセイになっているのかわかりません。

ポケっこの独り言

ポケっこ
エッセイ・ノンフィクション
ポケっこです。 ここでは日常の不満とかを書くだけのものです。しょーもないですね。 俺の思ってることをそのまま書いたものです。 気まぐれ更新ですが、是非どうぞ。

ボケ防止に漫画投稿初めてみた!

三森まり
エッセイ・ノンフィクション
子供に手がかからなくなったし使える時間めっちゃ多くなったのでボケ防止に何かはじめようかなぁ そうだ!(・∀・)「指を動かす 頭を使う 家にいても出来る!!」という事で インターネットエクスプローラーのTOPページで宣伝してる この「アルファポリス」とやらをやってみよう! という事で投稿初めてみました へいへい 漫画描くの楽しいよ! と そんなエッセイと 私のアルポリ(どんな約し方がスタンダートなのか知ってる方教えてください)での成果?を綴る予定です(・∀・)b

昨日19万円失った話(実話)

アガサ棚
エッセイ・ノンフィクション
19万円を失った様とその後の奇行を記した物

社会人2●年 アラフォーの対処法

藍川 東
エッセイ・ノンフィクション
社会人2●年の、アラフォー女のまったり日々の徒然 ゆるく生きてる各種対処法

「日常の呟き(雑談)」

黒子猫
エッセイ・ノンフィクション
日常のことを綴ってます✨

凡人が語る夢追い人たちの姿(内容紹介は字数制限のため1~79まで記載) 

ムーワ
エッセイ・ノンフィクション
1、藤浪晋太郎選手 2、小川直久さん 3、星子健太郎さん 4、topazさん 5、4年2組 6、宮崎菜穂子さん 7、フロムア(4人組ボーカル)さん 8、高橋エリさん 9、八島未樹さん 10、中七海さん 11、リヴ・ハーランドさん 12、みずかわまさしさん 13、田中亜矢さん 14、山原康太郎さん 15、中島瞳さん 16、星野希望さん 17、坂上弘さん 18、立道聡子さん 19、八巻弓真さん 20、早瀬蒼将さん 21、佐々木麟太郎さん 22、みらいあいこさん 23、羽田りささん 24、横田悠二さん 25、詩葉さん 26、栗山龍太さん 27、佐藤ひらりさん 28、小林拓真さん 29、あえかさん 30、川嶋あいさん 31、YOKKOさん 32、斎藤省悟さん 33、小泉陽菜さん 34、juriさん 35、星野裕矢さん 36、安藤祐輝さん 37、kahoさん、早坂響さん 38、しおねさん、東松快征さん 39、濱津美穂さん、前田悠伍さん 40、嘉悦なつ美さん、天野京介さん 41、AARONさん、日當 直喜さん 42、太田由貴さん、真鍋慧さん 43、野田かつひこさん、坂井陽翔さん 44、ほやドル萌江さん、安田虎太郎さん 45、板橋かずゆきさん、吉田啓人さん 46、蒲田メイさん、木村優斗さん 47、根のシンさん、平野大地さん 48、コジマサトコさん、横山聖哉さん 49、松井文さん、武田陸玖さん 50、今崎拓也さん、堀柊那さん 51、かめいゆみさん、明瀬諒介さん 52、Chimaさん、辻口輝さん 53、MINAMIさん、武内涼太さん 54、はたなかみどりさん、湯田純真さん 55、奥華子さん、高橋煌稀さん 56、つっちょさん、仁田陽翔さん 57、美晴さん、杉山遙希さん 58、高橋優さん、杉原望来さん 59、一華ひかりさん、松本大輝さん 60、愛野由梨奈さん、佐倉 俠史朗さん 61、光さん、藤原 大翔さん 62、栗林聡子さん、高橋史佳さん 63、小川マキさん、松石信八さん 64、ターキンさん、鈴木叶さん 65、aveさん、萩 宗久さん 66、貴愛さん、百崎蒼生さん 67、うたうたいりりぃさん、森 煌誠さん 68、玉城ちはるさん、升田 早人さん 69、牛来美佳さん、髙橋 海翔さん 70、宮川みゆきさん、藤田悠太朗さん 71、MISTYさん、森岡大智さん 72、Sakuraさん、寺下颯真さん 73、汐川ほたてさん、清水凰史さん 74、河合一尚さん、黒木陽琉さん 75、伸太郎さん、西村昴浩さん 76、近藤龍麿住職、中山勝暁さん 77、三浦明利住職、小笠原蒼さん 78、Lydiaさん、寿賀弘都さん 79、翔大さん、高野颯太さん

処理中です...