2 / 43
第1夜 続きまだ?
しおりを挟む
こんばんは。
枕崎 純之助です。
皆さん、寝る準備はOKですか?
さて、序幕で書いた通り、僕が小説を今も書き続ける理由は、中学生時代のK君の言葉が胸に焼き付いているからです。
「続きまだ?」
もうだいぶ長い年月を経た今でも、思い出すたびにこの魔法のような言葉が僕の心を震わせてくれます。
中学生の頃、僕はラノベが好きでした。
ラノベなんて言葉を当時は知りませんでしたが。
小学生時代に見ていたアニメの続編が書籍化されていて、それを手に取ったのがきっかけでした。
それからというものの、友達に借りたファンタジー作品を夢中で読み続け、気が付いたら朝になっていたなんてこともありました。
そうした趣味で出来た同級生の友達がある日、一冊のノートを僕に差し出してこう言ったんです。
「一緒にリレー小説やってみない?」
リレー小説。
1つの小説を複数の人間で作っていくアレですね。
僕はまさか自分が小説を書くことになるとは思いませんでしたが、その言葉に食いつきました。
子供の頃から空想が好きで、自分の脳内で勝手に人気漫画の二次創作をしたりしていましたので、自分の好きなように物語を作るという未知の行為に胸がおどったからです。
それまで小説なんて書いたことはありませんでしたし、作法も何も分かっていませんでしたが、やってみるとこれが楽しいの何のって。
その時は友達と3人でノートを回しながら1つの小説を書き上げていきました。
内容は現代世界を舞台にしたよくあるファンタジーだったと思います。
その日に自分が書けるところまで書いたら次の日に友達にノートを渡すということを続けて、それが半年以上続きました。
ノートもあっという間に最初の1冊が終わり、4冊5冊と積み重なっていきます。
リレー小説の楽しさは何といっても仲間内で感想を言い合えることですね。
そして次はどんな展開になったんだろう、と仲間から戻ってくるノートにワクワクしたり。
これはどうだ?
この続きをどんな展開にする?
と、慣れてくると互いにムチャ振りをするようになったり。
学校のクラス内でそんなことをやっていると、次第に他のクラスメイトたちの目につくようになります。
仲間3人以外で僕らのノートを最初に手に取ったのがK君です。
彼はノートをパラパラとめくると、ニヤニヤ笑いながらこう言いました。
「何こんなの書いてんだよ~」
冷やかし半分でそう言われた時は自分でも恥ずかしかったです。
だよね。
こんなの書いてイタイよね。
そう思いながらも小説を書く楽しさは変わらず。
しかしこのK君。
毎度冷やかしを言いながらも僕らの書いた小説を読み続けます。
そして彼以外にも小説を読みたがる同級生が増えてきました。
そんな状況に僕は気恥ずかしさと嬉しさを感じていました。
中学校時代で一番楽しい時間でしたね。
そんなある日、最初は冷やかしばかり言っていたK君が魔法の言葉を口にしたのです。
「続きまだ?」
僕は全身を稲妻に打たれたような衝撃を受けました。
物語の続きを読みたがってくれている人がいる。
それは僕にとって人生で初めてことでした。
そう。
仲間3人以外に出来た初めての読者。
それがK君です。
彼は僕の読者になってくれたのです。
それから僕は夢中になって小説を書き続けました。
それは長い長い年月を経た今でも変わりません。
K君とは中学卒業後に1度か2度会ったきりで、それからもうずいぶんと長いこと会っていません。
僕は同窓会とかに行くタイプでもないので(多分K君も)、おそらく今後も会うことはないでしょう。
それでも僕の胸の中には今も彼の言葉が輝いているのです。
「続きまだ?」
その言葉に突き動かされるように、僕は今夜も小説を書いています。
さて、ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さんそろそろ眠くなってきた頃でしょう。
僕の思い出話なんか忘れて、ゆっくり眠って下さい。
またいつかの夜にお会い出来たら、その時はまた僕のつまらない思い出話をお聞かせします。
それでは皆さん。
おやすみなさい。
今宵もいい夢を。
枕崎 純之助です。
皆さん、寝る準備はOKですか?
さて、序幕で書いた通り、僕が小説を今も書き続ける理由は、中学生時代のK君の言葉が胸に焼き付いているからです。
「続きまだ?」
もうだいぶ長い年月を経た今でも、思い出すたびにこの魔法のような言葉が僕の心を震わせてくれます。
中学生の頃、僕はラノベが好きでした。
ラノベなんて言葉を当時は知りませんでしたが。
小学生時代に見ていたアニメの続編が書籍化されていて、それを手に取ったのがきっかけでした。
それからというものの、友達に借りたファンタジー作品を夢中で読み続け、気が付いたら朝になっていたなんてこともありました。
そうした趣味で出来た同級生の友達がある日、一冊のノートを僕に差し出してこう言ったんです。
「一緒にリレー小説やってみない?」
リレー小説。
1つの小説を複数の人間で作っていくアレですね。
僕はまさか自分が小説を書くことになるとは思いませんでしたが、その言葉に食いつきました。
子供の頃から空想が好きで、自分の脳内で勝手に人気漫画の二次創作をしたりしていましたので、自分の好きなように物語を作るという未知の行為に胸がおどったからです。
それまで小説なんて書いたことはありませんでしたし、作法も何も分かっていませんでしたが、やってみるとこれが楽しいの何のって。
その時は友達と3人でノートを回しながら1つの小説を書き上げていきました。
内容は現代世界を舞台にしたよくあるファンタジーだったと思います。
その日に自分が書けるところまで書いたら次の日に友達にノートを渡すということを続けて、それが半年以上続きました。
ノートもあっという間に最初の1冊が終わり、4冊5冊と積み重なっていきます。
リレー小説の楽しさは何といっても仲間内で感想を言い合えることですね。
そして次はどんな展開になったんだろう、と仲間から戻ってくるノートにワクワクしたり。
これはどうだ?
この続きをどんな展開にする?
と、慣れてくると互いにムチャ振りをするようになったり。
学校のクラス内でそんなことをやっていると、次第に他のクラスメイトたちの目につくようになります。
仲間3人以外で僕らのノートを最初に手に取ったのがK君です。
彼はノートをパラパラとめくると、ニヤニヤ笑いながらこう言いました。
「何こんなの書いてんだよ~」
冷やかし半分でそう言われた時は自分でも恥ずかしかったです。
だよね。
こんなの書いてイタイよね。
そう思いながらも小説を書く楽しさは変わらず。
しかしこのK君。
毎度冷やかしを言いながらも僕らの書いた小説を読み続けます。
そして彼以外にも小説を読みたがる同級生が増えてきました。
そんな状況に僕は気恥ずかしさと嬉しさを感じていました。
中学校時代で一番楽しい時間でしたね。
そんなある日、最初は冷やかしばかり言っていたK君が魔法の言葉を口にしたのです。
「続きまだ?」
僕は全身を稲妻に打たれたような衝撃を受けました。
物語の続きを読みたがってくれている人がいる。
それは僕にとって人生で初めてことでした。
そう。
仲間3人以外に出来た初めての読者。
それがK君です。
彼は僕の読者になってくれたのです。
それから僕は夢中になって小説を書き続けました。
それは長い長い年月を経た今でも変わりません。
K君とは中学卒業後に1度か2度会ったきりで、それからもうずいぶんと長いこと会っていません。
僕は同窓会とかに行くタイプでもないので(多分K君も)、おそらく今後も会うことはないでしょう。
それでも僕の胸の中には今も彼の言葉が輝いているのです。
「続きまだ?」
その言葉に突き動かされるように、僕は今夜も小説を書いています。
さて、ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さんそろそろ眠くなってきた頃でしょう。
僕の思い出話なんか忘れて、ゆっくり眠って下さい。
またいつかの夜にお会い出来たら、その時はまた僕のつまらない思い出話をお聞かせします。
それでは皆さん。
おやすみなさい。
今宵もいい夢を。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

オタクと鬱で人生暇で忙しい
椿山
エッセイ・ノンフィクション
金と愛と時間を手に入れたけど、自分自身には何にもない。鬱病で何もできないから今日も暇だけど、オタクで情緒が忙しい。アスペルガー症候群と重症の鬱病で医者を辞めたバツイチオタクの雑多な話です。
※エッセイになっているのかわかりません。
ポケっこの独り言
ポケっこ
エッセイ・ノンフィクション
ポケっこです。
ここでは日常の不満とかを書くだけのものです。しょーもないですね。
俺の思ってることをそのまま書いたものです。
気まぐれ更新ですが、是非どうぞ。
ボケ防止に漫画投稿初めてみた!
三森まり
エッセイ・ノンフィクション
子供に手がかからなくなったし使える時間めっちゃ多くなったのでボケ防止に何かはじめようかなぁ
そうだ!(・∀・)「指を動かす 頭を使う 家にいても出来る!!」という事で インターネットエクスプローラーのTOPページで宣伝してる この「アルファポリス」とやらをやってみよう! という事で投稿初めてみました
へいへい 漫画描くの楽しいよ! と そんなエッセイと 私のアルポリ(どんな約し方がスタンダートなのか知ってる方教えてください)での成果?を綴る予定です(・∀・)b


凡人が語る夢追い人たちの姿(内容紹介は字数制限のため1~79まで記載)
ムーワ
エッセイ・ノンフィクション
1、藤浪晋太郎選手
2、小川直久さん
3、星子健太郎さん
4、topazさん
5、4年2組
6、宮崎菜穂子さん
7、フロムア(4人組ボーカル)さん
8、高橋エリさん
9、八島未樹さん
10、中七海さん
11、リヴ・ハーランドさん
12、みずかわまさしさん
13、田中亜矢さん
14、山原康太郎さん
15、中島瞳さん
16、星野希望さん
17、坂上弘さん
18、立道聡子さん
19、八巻弓真さん
20、早瀬蒼将さん
21、佐々木麟太郎さん
22、みらいあいこさん
23、羽田りささん
24、横田悠二さん
25、詩葉さん
26、栗山龍太さん
27、佐藤ひらりさん
28、小林拓真さん
29、あえかさん
30、川嶋あいさん
31、YOKKOさん
32、斎藤省悟さん
33、小泉陽菜さん
34、juriさん
35、星野裕矢さん
36、安藤祐輝さん
37、kahoさん、早坂響さん
38、しおねさん、東松快征さん
39、濱津美穂さん、前田悠伍さん
40、嘉悦なつ美さん、天野京介さん
41、AARONさん、日當 直喜さん
42、太田由貴さん、真鍋慧さん
43、野田かつひこさん、坂井陽翔さん
44、ほやドル萌江さん、安田虎太郎さん
45、板橋かずゆきさん、吉田啓人さん
46、蒲田メイさん、木村優斗さん
47、根のシンさん、平野大地さん
48、コジマサトコさん、横山聖哉さん
49、松井文さん、武田陸玖さん
50、今崎拓也さん、堀柊那さん
51、かめいゆみさん、明瀬諒介さん
52、Chimaさん、辻口輝さん
53、MINAMIさん、武内涼太さん
54、はたなかみどりさん、湯田純真さん
55、奥華子さん、高橋煌稀さん
56、つっちょさん、仁田陽翔さん
57、美晴さん、杉山遙希さん
58、高橋優さん、杉原望来さん
59、一華ひかりさん、松本大輝さん
60、愛野由梨奈さん、佐倉 俠史朗さん
61、光さん、藤原 大翔さん
62、栗林聡子さん、高橋史佳さん
63、小川マキさん、松石信八さん
64、ターキンさん、鈴木叶さん
65、aveさん、萩 宗久さん
66、貴愛さん、百崎蒼生さん
67、うたうたいりりぃさん、森 煌誠さん
68、玉城ちはるさん、升田 早人さん
69、牛来美佳さん、髙橋 海翔さん
70、宮川みゆきさん、藤田悠太朗さん
71、MISTYさん、森岡大智さん
72、Sakuraさん、寺下颯真さん
73、汐川ほたてさん、清水凰史さん
74、河合一尚さん、黒木陽琉さん
75、伸太郎さん、西村昴浩さん
76、近藤龍麿住職、中山勝暁さん
77、三浦明利住職、小笠原蒼さん
78、Lydiaさん、寿賀弘都さん
79、翔大さん、高野颯太さん
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる