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第一章 『堕天使の森』
第7話 名も無き不正者
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「ティナ! こいつはクロだ!」
俺はそう叫ぶと一気呵成にヒルダに襲いかかった。
ヒルダをぶっ飛ばしたい欲求で体中をアドレナリンが駆け巡っているためか、先ほど鬼蜂に刺された痛みも俺の動きの妨げにはならない。
「近寄るな!」
ヒルダは青い顔をして後退しながら俺に向かって矢を放つが、動揺しているせいか、それは何てことはない普通の一射だった。
俺はそれを難なくかわしてヒルダに迫る。
「オラァ! どうした! インチキ手品はもうネタ切れか!」
「ナメんじゃないわよ!」
そう言うヒルダの周囲に再び羽虫が集まり、バグの揺らぎが形成される。
すると間髪入れずに頭上から声が響き渡った。
「高潔なる魂!」
ティナが俺の頭上から連続して高潔なる魂を放射する。
それらは次々とヒルダに襲いかかった。
「くっ! 冗談じゃない! 何なのよもう!」
とうとう音を上げたヒルダは激しく取り乱し、恥も外聞も捨てて必死の形相で逃げ回り始めた。
だが、ティナの放つ高潔なる魂はヒルダの周囲に舞う羽虫どもを次々と消し去っていく。
するとヒルダは先ほどまでのように上手いこと姿をくらまして回避することが出来ずに、幾度も桃色の光を浴びかける。
そうか。
どういう理屈かは分からねえが、あのキラキラと輝く埃みたいな羽虫どもが、不正プログラムを使ってヒルダを助けている。
だがそれもティナの神聖魔法を浴びて、ままならなくなっていた。
さらに上空を飛び回っていた堕天使どもは次々とパメラに斬り捨てられ、撃墜されていく。
形勢逆転だ。
小娘どもの手助けは気に食わねえが、この状況を利用しない手はねえ。
俺は逃げ回るヒルダに追撃を食らわせる。
「灼熱鴉!」
「くうっ!」
ヒルダは必死に身を屈めてそれを避けた。
その顔からはすでに戦意が失われつつある。
戦局は一気にこちら側に傾いた。
そう思ったその時、いきなり地上から紫色の蝶の大群が舞い上がってきたんだ。
「何だこりゃ?」
「……あたしにこんな真似してただで済むと思わないでよ」
そう言うとヒルダは俺ではなくティナを睨みつける。
それは憎悪の込められた怨念めいた視線だった。
そんなヒルダを蝶の大群は紫色のカーテンのように包み隠す。
そして空間が蜃気楼のように揺らめき出した。
あの女……逃げる気だ!
「逃がすかよ! 灼熱鴉!」
「逃がしません! 高潔なる魂!」
俺が放った灼熱鴉は蝶の群れを焼き払い、ティナが放った高潔なる魂は蜃気楼のような揺らぎをかき消した。
運良く生き延びた蝶たちは散り散りに逃げ去っていく。
そして蝶の消えたその場からは……ヒルダの姿も消えてなくなっていた。
周囲を見回しながら注意深く気配を探ったが、どうやらまんまと逃げられちまったようだ。
俺は苛立ちをぶちまけた。
「くそっ! あのイカレ女め」
そう吐き捨てる俺の隣ではティナが無念そうに銀環杖を握りしめている。
そして気が付けば上空では、パメラがすでに残り数人となった堕天使どもを次々と斬り伏せていく途中だった。
大勢は決した。
俺は不満を言葉にして吐き出す。
「大将が真っ先にトンズラかよ。ろくでもねえ女だな」
「あの人、とても怯えていましたよね」
ティナは訝しげにそう言う。
「おまえのことを不正処刑人とか言ってたぞ。随分と恐れられる二つ名がついたじゃねえか」
「しょ、処刑人? そんな物騒な。私は不正を正すために任務を遂行しているんですよ」
まあ、処刑人はともかく、確かにヒルダのあの怯え方は尋常じゃなかった。
以前に対決した上級悪魔のディエゴも不正プログラムの保持者だったが、ティナのことを恐れるどころか、捕まえようと狙っていた。
ヒルダはディエゴに比べればまったくの小物だから、単純に比較は出来ねえが、何か引っかかる。
「あいつ。虫を使って不正プログラムを利用しているみたいだったぞ。一見すると単なる呪術の類にしか見えなかったがな。ヒルダの名前はリストに載ってんじゃねえのか?」
ティナが持つ不正プログラム保持者リストには残り10名の容疑者が記載されている。
そのうち名前が判明しているのは7名。
しょっちゅうリストに目を通しているティナなら、7名の名前はとっくに覚えているはずだ。
だがティナは首を横に振る。
「昨日まで確認した限りでは、ヒルダという名前はリストには載っていません」
不正プログラムはこの世界にとって異物だ。
だからこのゲーム内に登録されている全プレイヤーおよび全NPCは不正プログラムに感染して保持者として発症した時点で、このリストに名前が浮かび上がるシステムになっている。
ただしそれは聖グリフという天使どもの秘匿文字で書かれているため、俺にはまったく読めないがな。
「もし数名の無記名者の中に彼女が含まれていたとしたら……」
そう言うとティナはじっとリストに目を凝らす。
リストに載っている不正プログラムの保持者残り10名のうち名前の判明しているのは7名。
名前が判明していない奴が3人いる。
不正プログラムは意図的に保持している奴と、意図せず保持している奴がいる。
不正プログラムをばらまいたキャメロンとかいう堕天使が色々な手法を用いて、当事者に気付かれずにコッソリと不正プログラムを持たせたらしい。
そうして無自覚に不正プログラムを持たされた奴は、発症するまでの潜伏期間がある。
そういう状態の奴はリストに名前が出ずに、無記名者として扱われるんだ。
あのヒルダの潜伏期間がつい最近終わって、不正プログラムの能力が発露したばかりというのであれば、リスト記載の無記名者のうちの一つがヒルダの名前に変わっているはずだった。
だが……。
「ヒルダの名前は……ありません。ですが……」
ティナはそう言って困惑の表情を浮かべると、俺を見つめた。
「【NO NAME】という名前の保持者が新たに一名判明しました。これで残り無記名者は2人に」
ティナは事態の理解に苦しむといったように眉根を寄せてそう言った。
NO NAME?
名もなき不正者ってことか?
「こんなことは初めてです。このアメイジア大陸に存在する全てのNPCには名前が必ずあるはずです。もちろんパメラさんのように外部から来た人も必ずこのゲームに登録されます。ここにいるNPCで名前が無いはずはないんです」
「ヒルダの名前が記載されないのは不自然ってことか」
そう言う俺にティナは頷き、苦渋の表情で銀環杖を握りしめる。
「と、とにかくヒルダにもう一度接触して詳しくこの目で確かめたいです。そうすれば現時点で分かっていないことが見えてくるかもしれませんし」
ヒルダを見つけるという点においては俺も大賛成だ。
ナメくさったあの女をこの手でぶちのめしてやらないと気が済まねえからな。
そう考えていたその時、頭上から悲鳴が聞こえてくる。
パメラは堕天使どもを全て斬り倒したようだったが、悲鳴を上げていたのは堕天使ではなかった。
「ひえええええっ!」
ふと頭上を見上げると、パメラがこちらに向かって頭から真っ逆さまに落ちてきた。
それは降下ではなく明らかに落下だった。
見るとさっきまでパメラの背中に生えていた灰色の翼が跡形もなく消えている。
「パ、パメラさんが!」
慌てるティナを無視して、俺は目の前に落下してきたパメラの片足を掴んだ。
「何やってんだパメラ」
「か、かたじけない。バレット殿」
パメラは地上に頭を向けた逆さまの状態で頭を下げる。
その無事な様子にティナがホッと安堵の息を漏らした。
「と、とりあえず地上に降りましょう」
「チッ。ヒルダの奴をぶっ飛ばし損ねたぜ」
俺は苛立ちを吐き捨てると、パメラの足を掴んだまま地上へと降下する。
「で、おまえは飛べるのか? 飛べないのか? どっちなんだ?」
逆さまの状態でパメラは苦しげに胸を押さえながら呼吸を整えているため、俺の問いにはすぐに答えられずにいた。
すでにパメラが翼を生やして戦い始めてから5分以上が経過している。
また肺病の発作が出たようだな。
ともあれ今の戦いで最も多くの戦果を上げたのはこのパメラだ。
飛行能力がないものと思っていたパメラは戦いの最中、突然翼を生やして飛び回り、多くの堕天使どもを斬り裂いた。
そうかと思うと戦いが終わった途端、翼を失って墜落。
何なんだコイツは。
「待って下さい。バレットさん。パメラさんを少し休ませてあげないと。というか何ですかその助け方は。もう少し丁寧にお願いしますよ」
そう言うとティナは逆さまの状態のパメラに寄り添い、その体を支える。
俺たちはそのまま森の中へと降下していった。
俺はそう叫ぶと一気呵成にヒルダに襲いかかった。
ヒルダをぶっ飛ばしたい欲求で体中をアドレナリンが駆け巡っているためか、先ほど鬼蜂に刺された痛みも俺の動きの妨げにはならない。
「近寄るな!」
ヒルダは青い顔をして後退しながら俺に向かって矢を放つが、動揺しているせいか、それは何てことはない普通の一射だった。
俺はそれを難なくかわしてヒルダに迫る。
「オラァ! どうした! インチキ手品はもうネタ切れか!」
「ナメんじゃないわよ!」
そう言うヒルダの周囲に再び羽虫が集まり、バグの揺らぎが形成される。
すると間髪入れずに頭上から声が響き渡った。
「高潔なる魂!」
ティナが俺の頭上から連続して高潔なる魂を放射する。
それらは次々とヒルダに襲いかかった。
「くっ! 冗談じゃない! 何なのよもう!」
とうとう音を上げたヒルダは激しく取り乱し、恥も外聞も捨てて必死の形相で逃げ回り始めた。
だが、ティナの放つ高潔なる魂はヒルダの周囲に舞う羽虫どもを次々と消し去っていく。
するとヒルダは先ほどまでのように上手いこと姿をくらまして回避することが出来ずに、幾度も桃色の光を浴びかける。
そうか。
どういう理屈かは分からねえが、あのキラキラと輝く埃みたいな羽虫どもが、不正プログラムを使ってヒルダを助けている。
だがそれもティナの神聖魔法を浴びて、ままならなくなっていた。
さらに上空を飛び回っていた堕天使どもは次々とパメラに斬り捨てられ、撃墜されていく。
形勢逆転だ。
小娘どもの手助けは気に食わねえが、この状況を利用しない手はねえ。
俺は逃げ回るヒルダに追撃を食らわせる。
「灼熱鴉!」
「くうっ!」
ヒルダは必死に身を屈めてそれを避けた。
その顔からはすでに戦意が失われつつある。
戦局は一気にこちら側に傾いた。
そう思ったその時、いきなり地上から紫色の蝶の大群が舞い上がってきたんだ。
「何だこりゃ?」
「……あたしにこんな真似してただで済むと思わないでよ」
そう言うとヒルダは俺ではなくティナを睨みつける。
それは憎悪の込められた怨念めいた視線だった。
そんなヒルダを蝶の大群は紫色のカーテンのように包み隠す。
そして空間が蜃気楼のように揺らめき出した。
あの女……逃げる気だ!
「逃がすかよ! 灼熱鴉!」
「逃がしません! 高潔なる魂!」
俺が放った灼熱鴉は蝶の群れを焼き払い、ティナが放った高潔なる魂は蜃気楼のような揺らぎをかき消した。
運良く生き延びた蝶たちは散り散りに逃げ去っていく。
そして蝶の消えたその場からは……ヒルダの姿も消えてなくなっていた。
周囲を見回しながら注意深く気配を探ったが、どうやらまんまと逃げられちまったようだ。
俺は苛立ちをぶちまけた。
「くそっ! あのイカレ女め」
そう吐き捨てる俺の隣ではティナが無念そうに銀環杖を握りしめている。
そして気が付けば上空では、パメラがすでに残り数人となった堕天使どもを次々と斬り伏せていく途中だった。
大勢は決した。
俺は不満を言葉にして吐き出す。
「大将が真っ先にトンズラかよ。ろくでもねえ女だな」
「あの人、とても怯えていましたよね」
ティナは訝しげにそう言う。
「おまえのことを不正処刑人とか言ってたぞ。随分と恐れられる二つ名がついたじゃねえか」
「しょ、処刑人? そんな物騒な。私は不正を正すために任務を遂行しているんですよ」
まあ、処刑人はともかく、確かにヒルダのあの怯え方は尋常じゃなかった。
以前に対決した上級悪魔のディエゴも不正プログラムの保持者だったが、ティナのことを恐れるどころか、捕まえようと狙っていた。
ヒルダはディエゴに比べればまったくの小物だから、単純に比較は出来ねえが、何か引っかかる。
「あいつ。虫を使って不正プログラムを利用しているみたいだったぞ。一見すると単なる呪術の類にしか見えなかったがな。ヒルダの名前はリストに載ってんじゃねえのか?」
ティナが持つ不正プログラム保持者リストには残り10名の容疑者が記載されている。
そのうち名前が判明しているのは7名。
しょっちゅうリストに目を通しているティナなら、7名の名前はとっくに覚えているはずだ。
だがティナは首を横に振る。
「昨日まで確認した限りでは、ヒルダという名前はリストには載っていません」
不正プログラムはこの世界にとって異物だ。
だからこのゲーム内に登録されている全プレイヤーおよび全NPCは不正プログラムに感染して保持者として発症した時点で、このリストに名前が浮かび上がるシステムになっている。
ただしそれは聖グリフという天使どもの秘匿文字で書かれているため、俺にはまったく読めないがな。
「もし数名の無記名者の中に彼女が含まれていたとしたら……」
そう言うとティナはじっとリストに目を凝らす。
リストに載っている不正プログラムの保持者残り10名のうち名前の判明しているのは7名。
名前が判明していない奴が3人いる。
不正プログラムは意図的に保持している奴と、意図せず保持している奴がいる。
不正プログラムをばらまいたキャメロンとかいう堕天使が色々な手法を用いて、当事者に気付かれずにコッソリと不正プログラムを持たせたらしい。
そうして無自覚に不正プログラムを持たされた奴は、発症するまでの潜伏期間がある。
そういう状態の奴はリストに名前が出ずに、無記名者として扱われるんだ。
あのヒルダの潜伏期間がつい最近終わって、不正プログラムの能力が発露したばかりというのであれば、リスト記載の無記名者のうちの一つがヒルダの名前に変わっているはずだった。
だが……。
「ヒルダの名前は……ありません。ですが……」
ティナはそう言って困惑の表情を浮かべると、俺を見つめた。
「【NO NAME】という名前の保持者が新たに一名判明しました。これで残り無記名者は2人に」
ティナは事態の理解に苦しむといったように眉根を寄せてそう言った。
NO NAME?
名もなき不正者ってことか?
「こんなことは初めてです。このアメイジア大陸に存在する全てのNPCには名前が必ずあるはずです。もちろんパメラさんのように外部から来た人も必ずこのゲームに登録されます。ここにいるNPCで名前が無いはずはないんです」
「ヒルダの名前が記載されないのは不自然ってことか」
そう言う俺にティナは頷き、苦渋の表情で銀環杖を握りしめる。
「と、とにかくヒルダにもう一度接触して詳しくこの目で確かめたいです。そうすれば現時点で分かっていないことが見えてくるかもしれませんし」
ヒルダを見つけるという点においては俺も大賛成だ。
ナメくさったあの女をこの手でぶちのめしてやらないと気が済まねえからな。
そう考えていたその時、頭上から悲鳴が聞こえてくる。
パメラは堕天使どもを全て斬り倒したようだったが、悲鳴を上げていたのは堕天使ではなかった。
「ひえええええっ!」
ふと頭上を見上げると、パメラがこちらに向かって頭から真っ逆さまに落ちてきた。
それは降下ではなく明らかに落下だった。
見るとさっきまでパメラの背中に生えていた灰色の翼が跡形もなく消えている。
「パ、パメラさんが!」
慌てるティナを無視して、俺は目の前に落下してきたパメラの片足を掴んだ。
「何やってんだパメラ」
「か、かたじけない。バレット殿」
パメラは地上に頭を向けた逆さまの状態で頭を下げる。
その無事な様子にティナがホッと安堵の息を漏らした。
「と、とりあえず地上に降りましょう」
「チッ。ヒルダの奴をぶっ飛ばし損ねたぜ」
俺は苛立ちを吐き捨てると、パメラの足を掴んだまま地上へと降下する。
「で、おまえは飛べるのか? 飛べないのか? どっちなんだ?」
逆さまの状態でパメラは苦しげに胸を押さえながら呼吸を整えているため、俺の問いにはすぐに答えられずにいた。
すでにパメラが翼を生やして戦い始めてから5分以上が経過している。
また肺病の発作が出たようだな。
ともあれ今の戦いで最も多くの戦果を上げたのはこのパメラだ。
飛行能力がないものと思っていたパメラは戦いの最中、突然翼を生やして飛び回り、多くの堕天使どもを斬り裂いた。
そうかと思うと戦いが終わった途端、翼を失って墜落。
何なんだコイツは。
「待って下さい。バレットさん。パメラさんを少し休ませてあげないと。というか何ですかその助け方は。もう少し丁寧にお願いしますよ」
そう言うとティナは逆さまの状態のパメラに寄り添い、その体を支える。
俺たちはそのまま森の中へと降下していった。
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