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第四章 追跡! 響詩郎 救出 大作戦!
第12話 強大にして凶悪! オロチの絶対的な力
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悪路王は大きく舞い上がり、漆黒の拳でオロチの右側頭部を殴りつけた。
だが、その感覚は雷奈が今まで感じたことが無いほど頑強なものだった。
その一撃もまるで効果がないかのようにオロチは首を振ると、その尾で悪路王を叩き落とした。
「くっ!」
海面に漂う船の上から悪路王を操る雷奈は顔をしかめる。
海面に叩きつけられた悪路王はすぐに再び飛び上がり、オロチの胴に鋭い手刀を幾度も打ち込んでいく。
だが、オロチは微動だにせず、今度は頭部の一撃で悪路王の巨体を弾き飛ばした。
吹き飛ばされながらも再び海面から立ち上がるが、悪路王は決して軽くないダメージを負っていた。
白イタチのザバドを倒して45万イービルの軍資金を得ていた雷奈だったが、今のレートで戦い続ければまともに戦えるのはもう5分もない。
それほど悪路王使役の消費レートを高めているというのに、まったくオロチには歯が立たずにいた。
オロチの上に立つヒミカは鼻で笑った。
「貴様の自慢の黒鬼もオロチの前にはまるでノミだな。試し斬りをしたいところだったが、どうやらこちらが強くなりすぎてしまったようだ」
そう言うとヒミカは雷奈を見下して嘲笑した。
雷奈は悔しさに歯噛みして呻く。
「あの妖狐さえ落とせれば……」
響詩郎の顔が脳裏に浮かび、雷奈は歯を食いしばった。
「響詩郎。あんたの仇は絶対に討つ」
雷奈は強気にそう言ったが、何をすればオロチを退けてヒミカを叩き落せるのか、皆目見当もつかなかった。
対照的にオロチの防御力に満足したヒミカの目に殺気が宿る。
「では、そろそろこちらからいかせてもらうぞ」
ヒミカがそう言うと、オロチの赤い舌が鋭く伸びて悪路王を襲った。
オロチの舌は無限に伸びるのではないかと思われるほど長く伸び、さらにその速度は悪路王が完全に避け切れないほど速かった。
そしてその舌の切れ味は鋭利な刃物のようであり、連続で繰り出されるそれを避け切れない悪路王の肩や脇腹は容赦なく削られていく。
「どうした! このまま一方的に終わりか? つまらんな」
その言葉とは裏腹にヒミカは悦に入って圧倒的な力で悪路王を攻めたてた。
「いいぞ。この力があれば私は再び大陸で成功を収められる」
ヒミカは自分が手にした力の強大さに陶酔していた。
対照的に雷奈は焦燥感に唇を噛む。
このままではジリジリと追い詰められていくことは目に見えていた。
もう悪路王を使役していられるのは後3分もなく、かといって今よりも使役レートを落とせば悪路王の力は弱まり、すぐにオロチにやられてしまうだろう。
(こうなったら……一か八かだ!)
雷奈は船の縁を蹴って海上に身を躍らせ、悪路王の右肩に飛び乗ると、自分ごと悪路王を上空高く跳躍させた。
「馬鹿め! 狙い撃ちだ!」
上空から舞い降りる悪路王目がけてオロチは再び舌を弾丸のように射出した。
上空で必死に体を入れ替えこれを避けようとするも、オロチの舌は悪路王の左肘の上に深々と突き刺さった。
すると落下の勢いも手伝って、悪路王の左腕が串刺しにされたまま、その肘からもぎ取られてしまう。
思わず空中でバランスを崩す悪路王の右肩を蹴って雷奈は宙に身を投げ出した。
(許して。悪路王。こうでもしないとアイツには届かない)
海面に墜落する悪路王を尻目に、雷奈はそのまま空中で護符を握り締め、オロチの頭部に立つヒミカに襲いかかった。
「あんたは絶対に許さない!」
そう叫んだ雷奈の拳がヒミカの頭部に打ち下ろされようとする刹那、その背後から迫ったオロチの尾が雷奈の体に叩きつけられた。
「きゃあっ!」
バキッと体のどこかの骨が折れる音が聞こえ、あまりの衝撃に雷奈は呼吸もままならないままに体勢を崩して海上に落下していく途中で気を失った。
「甘かったな。小娘」
ヒミカは狩りが簡単すぎてつまらないといったふうに素っ気なくそう言った。
だが、その感覚は雷奈が今まで感じたことが無いほど頑強なものだった。
その一撃もまるで効果がないかのようにオロチは首を振ると、その尾で悪路王を叩き落とした。
「くっ!」
海面に漂う船の上から悪路王を操る雷奈は顔をしかめる。
海面に叩きつけられた悪路王はすぐに再び飛び上がり、オロチの胴に鋭い手刀を幾度も打ち込んでいく。
だが、オロチは微動だにせず、今度は頭部の一撃で悪路王の巨体を弾き飛ばした。
吹き飛ばされながらも再び海面から立ち上がるが、悪路王は決して軽くないダメージを負っていた。
白イタチのザバドを倒して45万イービルの軍資金を得ていた雷奈だったが、今のレートで戦い続ければまともに戦えるのはもう5分もない。
それほど悪路王使役の消費レートを高めているというのに、まったくオロチには歯が立たずにいた。
オロチの上に立つヒミカは鼻で笑った。
「貴様の自慢の黒鬼もオロチの前にはまるでノミだな。試し斬りをしたいところだったが、どうやらこちらが強くなりすぎてしまったようだ」
そう言うとヒミカは雷奈を見下して嘲笑した。
雷奈は悔しさに歯噛みして呻く。
「あの妖狐さえ落とせれば……」
響詩郎の顔が脳裏に浮かび、雷奈は歯を食いしばった。
「響詩郎。あんたの仇は絶対に討つ」
雷奈は強気にそう言ったが、何をすればオロチを退けてヒミカを叩き落せるのか、皆目見当もつかなかった。
対照的にオロチの防御力に満足したヒミカの目に殺気が宿る。
「では、そろそろこちらからいかせてもらうぞ」
ヒミカがそう言うと、オロチの赤い舌が鋭く伸びて悪路王を襲った。
オロチの舌は無限に伸びるのではないかと思われるほど長く伸び、さらにその速度は悪路王が完全に避け切れないほど速かった。
そしてその舌の切れ味は鋭利な刃物のようであり、連続で繰り出されるそれを避け切れない悪路王の肩や脇腹は容赦なく削られていく。
「どうした! このまま一方的に終わりか? つまらんな」
その言葉とは裏腹にヒミカは悦に入って圧倒的な力で悪路王を攻めたてた。
「いいぞ。この力があれば私は再び大陸で成功を収められる」
ヒミカは自分が手にした力の強大さに陶酔していた。
対照的に雷奈は焦燥感に唇を噛む。
このままではジリジリと追い詰められていくことは目に見えていた。
もう悪路王を使役していられるのは後3分もなく、かといって今よりも使役レートを落とせば悪路王の力は弱まり、すぐにオロチにやられてしまうだろう。
(こうなったら……一か八かだ!)
雷奈は船の縁を蹴って海上に身を躍らせ、悪路王の右肩に飛び乗ると、自分ごと悪路王を上空高く跳躍させた。
「馬鹿め! 狙い撃ちだ!」
上空から舞い降りる悪路王目がけてオロチは再び舌を弾丸のように射出した。
上空で必死に体を入れ替えこれを避けようとするも、オロチの舌は悪路王の左肘の上に深々と突き刺さった。
すると落下の勢いも手伝って、悪路王の左腕が串刺しにされたまま、その肘からもぎ取られてしまう。
思わず空中でバランスを崩す悪路王の右肩を蹴って雷奈は宙に身を投げ出した。
(許して。悪路王。こうでもしないとアイツには届かない)
海面に墜落する悪路王を尻目に、雷奈はそのまま空中で護符を握り締め、オロチの頭部に立つヒミカに襲いかかった。
「あんたは絶対に許さない!」
そう叫んだ雷奈の拳がヒミカの頭部に打ち下ろされようとする刹那、その背後から迫ったオロチの尾が雷奈の体に叩きつけられた。
「きゃあっ!」
バキッと体のどこかの骨が折れる音が聞こえ、あまりの衝撃に雷奈は呼吸もままならないままに体勢を崩して海上に落下していく途中で気を失った。
「甘かったな。小娘」
ヒミカは狩りが簡単すぎてつまらないといったふうに素っ気なくそう言った。
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