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第二章 陰謀のしっぽ
第4話 三者三様 悪党どもの集い
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人気の絶えた夜の湾岸地帯の倉庫街に3つの影が佇んでいた。
「おい。サバド。ヒミカの姉御には今夜中なんて気前のいいこと言ったが、本当に集められるのか?」
サバドと呼ばれたつり目で白い体毛を持つイタチのような小柄な妖魔にそう疑問を呈したのは、彼の仲間である茶色い毛並みでクマに似た巨体の妖魔・フリッガーだった。
現在、彼らには雇い主である薬王院ヒミカの指示により生贄となる妖魔を集める仕事が課せられていた。
フリッガーの疑心の眼差しを受けたサバドは鼻を鳴らしてそれに答える。
「フン。心配には及ばん。今夜は潜伏中の密航者どもの集会があるだろ? 国内の在庫で対応するって姉御に言ったのはそういうことだ」
サバドの言葉に得心したフリッガーはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべた。
「なるほど。そいつはなかなかいい見世物になりそうだな。なあヨンス?」
彼らの背後にはヨンスと呼ばれる3人目の男が立っていた。
真っ黒な毛並みを持つカラスの妖魔・ヨンスはフリッガーの問いかけには答えず、うつむいたまま黙ってただ立ち尽くしていた。
そんな仲間の様子にフリッガーは肩をすくめてサバドに目配せをする。
「チッ。陰気な野郎だぜ」
サバドは舌打ちをしながらも、連れのそんな様子を楽しむように口の端を吊り上げた。
「とにかく先に集会場に向かおう。万が一エサを集められなかったらヒミカの姉御に殺されちまうぞ」
そう言うとサバドは他の二人と共に足早に目的地へと向かうのだった。
「おい。サバド。ヒミカの姉御には今夜中なんて気前のいいこと言ったが、本当に集められるのか?」
サバドと呼ばれたつり目で白い体毛を持つイタチのような小柄な妖魔にそう疑問を呈したのは、彼の仲間である茶色い毛並みでクマに似た巨体の妖魔・フリッガーだった。
現在、彼らには雇い主である薬王院ヒミカの指示により生贄となる妖魔を集める仕事が課せられていた。
フリッガーの疑心の眼差しを受けたサバドは鼻を鳴らしてそれに答える。
「フン。心配には及ばん。今夜は潜伏中の密航者どもの集会があるだろ? 国内の在庫で対応するって姉御に言ったのはそういうことだ」
サバドの言葉に得心したフリッガーはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべた。
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彼らの背後にはヨンスと呼ばれる3人目の男が立っていた。
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そんな仲間の様子にフリッガーは肩をすくめてサバドに目配せをする。
「チッ。陰気な野郎だぜ」
サバドは舌打ちをしながらも、連れのそんな様子を楽しむように口の端を吊り上げた。
「とにかく先に集会場に向かおう。万が一エサを集められなかったらヒミカの姉御に殺されちまうぞ」
そう言うとサバドは他の二人と共に足早に目的地へと向かうのだった。
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