俺が追放したテイマーがチート能力を手に入れてハーレム状態なんだが、もしかしてもう遅い?〜勇者パーティも女の子募集中です〜

ときのけん

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一章 四人の勇者と血の魔王

第1話 ヤケクソ追放

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「アルマ。お前をこのパーティから追放する」

 冒険者ギルドの一室にて、僕にそう言い渡したのはソファに足を組んで座る男─────ロクトさん。各国の期待を背負い魔王討伐に向かう『勇者』の一人。金の髪と瞳を持ち、『岩の勇者』という二つ名を持つ……僕を拾ってくれた恩人だ。

「つ、追放……って……どういうことですか!」

「どういうこと、だぁ?」

 ロクトさんは不機嫌そうにため息を吐き、僕を睨みつける。いつも優しくしてくれたロクトさんがそんな事を言うなんて、一切理解が及ばなかった。

「お前も心当たりあんだろ?」

「こ、心当たり……」

「そうだよ。薄々気付いてんだろ?追放される理由をよ」

「……」

 僕はここ最近の勇者パーティでの行いを振り返る。子供のころから憧れてきた勇者という存在。自分はなれなかったとしても、その勇者の旅を手助けを出来る事が嬉しくて、嬉しくて、とにかく全てに対して全力で取り組んできた。その日々を、振り返り──────

「いや全然わかんないです」

 そう答えた。自信をもって言えた。

「……そ、そうか」

 僕の返答に対し、ロクトさんは都合が悪そうに視線を動かした。

「え、あー……とにかく追放だよ追放!その、あれだよあれ!お前全然魔物倒してねえし役立たずなんだよ!さっさと出ていけっつってんだ!!」

 若干焦りながら、ロクトさんは拳を机に叩きつけた。

「えぇ……僕がいなくなったら魔物を使った索敵とか見張りとか、装備の手入れとかお金の管理とか酔いつぶれた皆さんを宿屋に連れてくのとかどうするんですか!?僕、ちゃんと仕事してたはず……」

「う、うるせぇ~~~っ!!」

 ドン!と、さらに強く拳を叩きつけた。

「……」

「……それ、痛いですよね?」

「ぜ、全然痛くないでーーす。俺勇者だもーーん」

 涙目を誤魔化した僕達の勇者は,こっちに向かって真っ直ぐと指さしてくる。
 絶対痛がってる。

「聖剣に選ばれし勇者の俺!仲間を守る屈強な戦士のゴルガス!攻撃回復妨害なんでもござれの賢者のサヴェル!雑用なんて誰でも出来るんだ、魔王討伐のメンバーはテイマーなんか弱小職業はいらねえんだよ!」

「そ、そんな……」

 信じていた者の口から浴びせられる心無い言葉が容赦なく突き刺さる。耐え切れず、涙が溢れそうになる。現実とは思えなかった。あまりにも急すぎる。昨日まで……いや、さっきまで、いつも通り仲良く過ごしていたのに。

 十歳になった時、その人間の運命が決まる。天から告げられる職業はその人間にとっての天職。その他の職業として生きる事も不可能ではないけど、その職業を極める事は一生かけても叶わない。十歳になれば、その人間にとっての一番の生き方が決定してしまう。
 冒険者を志す僕にとって、テイマーは微妙極まりないものだった。戦闘職であるのは良かったけど、テイマーは人口が少なく、戦い方を習おうとしても習う相手がいない。それに僕は他の職業の適性が一切なかった。テイマーとして生きていく他、道は無かった。

「でも……『職業の強さは関係ない、その想いの強さが気に入った』って言ってパーティに入れてくれたのはロクトさんじゃないですか!そんなに長い間柄ではないですけど……うまくやっていってたじゃないですか!」

「うっ……」

 ロクトさんはたじろぎながら、目をそらして頭を掻いた。

 ……そんなに、僕がこのパーティにいるのが嫌だったのか。ゴルガスさんも、サヴェルさんも、そうなんだろうな……。

「……分かりました。あなたがそういうなら……僕は出ていきます。今まで……お世話になりました」

「よ、ようやく分かったかよ!ならさっさと出ていけ」

 その場を立ち、扉を開け、涙を拭い、振り返らずに走っていく。

 どうしてこうなった?何を間違えた?

 疑問を整理できるほど、僕の脳は落ち着いていなかった。

 戦闘職であるのにも関わらずまともに戦えず。
 かといって勇者への憧れを捨てきれず。
 周りの人間からは馬鹿にされ。
 ようやく認められたと思った人からも裏切られ。

 ……勘違いしてたのかな。僕が……勇者に必要な存在になれたって

 ギルドから出て、街を駆け、人気のない場所へ転がり込む。
 溢れる涙を、気兼ねなく溢れさせる為に。

 こんな感じで僕は……『西』の勇者パーティを追放されてしまった。






 ー ー ー ー ー ー ー












 ────────だが、そんなアルマの二倍は涙を流している男がいた。

「うわあああぁあああぁぁああん!!ごめんよアルマぁぁぁぁああああ!!」

 勇者ロクト……この物語の、主人公である。
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