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偽りの学園の章
第34話 出発の朝
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1ヶ月が経ち夏の暑さのピークは過ぎたがまだまだ残暑が厳しかった。
早朝。カンナは愛馬の響華を連れ学園の門の前にいた。
既に到着していた祝詩歩は最初にカンナに軽く挨拶をしてからは目も合わせず詩歩からは口を開かなかった。カンナが 話しかけると短い言葉で必要最低限の事しか話さなかった。
共に影清の制裁仕合を乗り越えた仲であるはずだが、あまりにも素っ気ない態度にカンナは寂しい気持ちになった。
詩歩が話しかけて欲しくなさそうなのでカンナは黙っていることにした。しかし、それはそれでとても気まずい時間が流れるだけだった。
耐えられずカンナはまた詩歩に話し掛けた。
「祝さん、後醍院さんとは会ったことあるの?」
詩歩は少しこちらに顔を向けたがやはり目を合わせようとはしない。
「見たことはあるけど、話したことはない」
「……そっか……」
また詩歩はそっぽを向いた。
会話が続かない。
カンナは響華の首を撫でた。
すると、響華と詩歩の馬は同時に同じ方向を見た。
カンナと詩歩もその方向を見ると紫の髪の色白の少女が馬を曳いて歩いて来た。
「おはようございます。皆さん早いんですね」
「初めまして。剣術特待クラスの祝詩歩と申します。今回の任務よろしくお願いします」
詩歩はその女に頭を下げた。
「後醍院茉里と申します。こちらこそ、よろしくお願い致します」
茉里は不敵な笑みを浮かべていた。
カンナが茉里の顔を見ていると茉里は馬を曳きながら近付いてきた。
茉里はカンナの手を取り微笑んだ。
「どうしましたの? 澄川さん。表情が固いようですが? 緊張されているのかしら?」
茉里はカンナの目を見つめてきた。
カンナは目を合わせていることが出来ず、逸らしてしまった。
「早くしなさいよ! あ、良かった、間に合ったみたい。おーい! カンナ!」
カンナの後ろの学園の門の方から早朝とは思えないくらい元気な声が聴こえた。
「つかさ!!」
斉宮つかさが棒を携え走って来た。一緒に男もいた。
「やれやれ、村当番は朝が早いな……」
体特の蔦浜祥悟だった。
茉里はその2人の姿を見るとカンナの手を放した。
「2人とも、どうしたの?」
「見送りに来たよ! 蔦濱君も行くって言うから連れて来た」
「カンナちゃん! 初任務なんだよな! 頑張れよ!」
「カンナはあんたより年上で序列も上なんだからそんな馴れ馴れしくしないの!」
つかさは持っていた棒で蔦浜の頭を軽く叩いた。
「いてっ! ほ、本人が嫌がってないんだから別にいいじゃないですか!! ねぇカンナちゃん?」
カンナは何も言わずそっぽを向いた。
すると蔦浜の足元に何かが落ちた。いや、何かが刺さった。
蔦浜は驚いて1歩下がった。
地面に刺さっていたのはナイフだった。
そこにいた全員がナイフの飛んできた方を見た。
その視線の先には物凄い形相をした茉里が静かに立っていた。
「なんて不愉快なのかしら。その男。誰だか知らないけど、澄川さんが嫌がってるのが分からないの? 下心丸見えの不潔な輩だわ。斉宮さん。何故そんな方を連れて来たのかしら? さっさとその方連れて消えてくださらないかしら? 目障りだわ!」
突然の茉里の罵声につかさの表情が動いたのが見えた。詩歩はビクッと身体を震わせた。
「そんな言い方しなくてもいいでしょ? いきなり手出したりなんかして、学園から追放されるよ?」
つかさは意外に沸点が低い。火箸燈程ではないがそれに次ぐくらいに怒る。だが大抵怒ることは他人の為だ。そして恐い。
そのつかさが怒りの矛先を向けている相手はどうやら一味違うようだった。
「わたくしに言ってるのかしら? 斉宮さん? 私は追放されないわ。そんなこと言って追放されるのはあなたの方かもしれないわよ?」
「はぁ!? 私はただお前に文句言ってるだけだろ!?」
つかさが怒鳴ったその瞬間、茉里はつかさに飛び掛っていた。つかさは咄嗟に持っていた棒で茉里の身体を押し返した。すかさず蔦浜が茉里の背後に回り両腕を取り羽交い締めを掛けた。しかし、完全に抑える前に上手く抜けられ蔦浜の顔に裏拳を食らわせた。
「私に触れないで!! 穢らわしい!!」
茉里の怒声。
つかさは茉里を睨み付けていた。
カンナは蔦浜に駆け寄り怪我の具合を診た。
「大丈夫? 蔦浜君」
「このくらい、いつものかすり傷だよ」
蔦浜は口の中を切ったようで血を地面にぺっと吐き出した。
「本当に手出したな、茉里!」
つかさが言った。
「私は穢らわしい男という生き物が大嫌いなのよ! この世で最も嫌いだわ! そんな存在が私の身体を触ったことは絶対に許せないわ! 万死に値しますわ」
「私は皆と違って学園に訴えるからね? 鏡子さんが怖くて泣き寝入りする程弱くないわよ!」
「斉宮さん……鏡子さんを冒涜するつもり? ならここであなたを壊してしまわないといけないわ」
「やめてください!!」
カンナの声に全員の動きが止まった。
「後醍院さん。今から任務に出掛けるんですよ? 何で喧嘩するんですか? 私は別に蔦浜君に話し掛けられたからって迷惑だとは思ってません! 私の為に言ってくれるのは嬉しいけど、やり過ぎです」
「あら、ごめんなさい。やり過ぎてしまったわ。澄川さんが何も言わずそっぽを向くものだから嫌だったのかと思いましたの。澄川さんがそう言うなら謝りますわ。ごめんなさい。でもその男は不愉快だからさっさと連れて帰って貰えるかしら?」
つかさの怒りは収まらず棒を持つ手に力がこめられ続けていた。つかさが任務や授業でもないのに棒を持っていたのは茉里が襲い掛かってくるかもしれないと思ったからだったのだろう。
「カンナ! あなたをこいつと一緒に行かせられない。私、学園にお願いして任務のメンバー変えてもらうよ! 私が代わりに行く!」
「つかさ……」
カンナはつかさの真剣な訴えに返す言葉が見つからなかった。そんなことが出来るとは思えなかったのだ。
「斉宮さん。あなたさっきからごちゃごちゃ言ってるけど、あなたは澄川さんの何なのかしら?」
「友達」
つかさは即答した。
カンナは心が温かくなるのを感じた。
「友達……? そう……なんだか面白くないわ。あぁ、斉宮さん。私と交代するって言ってましたわね? やれるものならやってみてくださらない?」
「やめてよ! 後醍院さん! これ以上つかさを怒らせないで! もう出発しましょう! つかさ、私は大丈夫だから。3人で上手くやっていくから!」
カンナはつかさと茉里の間に割って入った。
つかさはカンナの顔を見つめた。
茉里は地面に投げて刺さったままのナイフを抜き左脚の太腿に仕込んであったケースに差し自分の馬に跨った。
「カンナ……私あなたが心配で……。茉里に何かされるんじゃないかと思うと堪らないの」
つかさは胸の前で右手をグッと握り締めた。
「つかさ。私大丈夫だって! もし何かされたとして私が負けると思うの? 私、体術だったら誰にも負けないよ!」
「そうだね、そうだよね」
つかさは暗い顔だったが必死に笑顔を作って見せた。
「何かあったらすぐ狼煙を上げて。どんな時でも助けに行くから!」
「俺も行くぜ! カンナちゃん!」
つかさに連られ、蔦浜も言った。
「分かった。ありがとう! 2人とも」
カンナはにこりと微笑んだ。
そのやり取りをしてる間、1人蚊帳の外だった詩歩は長刀を抱き締めながら様子を伺っていた。
それに気付いたつかさが詩歩にも声を掛けた。
「詩歩ちゃんも、気を付けてね」
つかさに声を掛けられた事に意外そうな顔をして詩歩は照れながら頷いた。
「じゃあ、行くね! 見送りありがとう、つかさ。蔦浜君」
挨拶を済ませるとカンナも響華に跨った。
詩歩はすでに馬に跨りいつでも出発出来るようだった。
「いってらっしゃい!」
つかさが言ったのが聴こえた。
カンナは振り返り頷くと響華の腹を蹴り駆け出した。
それをを見て茉里と詩歩も駆け出した。
カンナは今日からの1ヶ月間、平穏に過ごせるか頗る心配になった。
今のところ問題はないが、茉里と詩歩が上手くやっていけるとも思えない。そもそもカンナと詩歩も気まずい状態なのだ。
詩歩が素っ気ない態度の理由もカンナには分からなかった。
隣を走る茉里と目が合った。
茉里はにこりと微笑みまた前を向いた。
早朝。カンナは愛馬の響華を連れ学園の門の前にいた。
既に到着していた祝詩歩は最初にカンナに軽く挨拶をしてからは目も合わせず詩歩からは口を開かなかった。カンナが 話しかけると短い言葉で必要最低限の事しか話さなかった。
共に影清の制裁仕合を乗り越えた仲であるはずだが、あまりにも素っ気ない態度にカンナは寂しい気持ちになった。
詩歩が話しかけて欲しくなさそうなのでカンナは黙っていることにした。しかし、それはそれでとても気まずい時間が流れるだけだった。
耐えられずカンナはまた詩歩に話し掛けた。
「祝さん、後醍院さんとは会ったことあるの?」
詩歩は少しこちらに顔を向けたがやはり目を合わせようとはしない。
「見たことはあるけど、話したことはない」
「……そっか……」
また詩歩はそっぽを向いた。
会話が続かない。
カンナは響華の首を撫でた。
すると、響華と詩歩の馬は同時に同じ方向を見た。
カンナと詩歩もその方向を見ると紫の髪の色白の少女が馬を曳いて歩いて来た。
「おはようございます。皆さん早いんですね」
「初めまして。剣術特待クラスの祝詩歩と申します。今回の任務よろしくお願いします」
詩歩はその女に頭を下げた。
「後醍院茉里と申します。こちらこそ、よろしくお願い致します」
茉里は不敵な笑みを浮かべていた。
カンナが茉里の顔を見ていると茉里は馬を曳きながら近付いてきた。
茉里はカンナの手を取り微笑んだ。
「どうしましたの? 澄川さん。表情が固いようですが? 緊張されているのかしら?」
茉里はカンナの目を見つめてきた。
カンナは目を合わせていることが出来ず、逸らしてしまった。
「早くしなさいよ! あ、良かった、間に合ったみたい。おーい! カンナ!」
カンナの後ろの学園の門の方から早朝とは思えないくらい元気な声が聴こえた。
「つかさ!!」
斉宮つかさが棒を携え走って来た。一緒に男もいた。
「やれやれ、村当番は朝が早いな……」
体特の蔦浜祥悟だった。
茉里はその2人の姿を見るとカンナの手を放した。
「2人とも、どうしたの?」
「見送りに来たよ! 蔦濱君も行くって言うから連れて来た」
「カンナちゃん! 初任務なんだよな! 頑張れよ!」
「カンナはあんたより年上で序列も上なんだからそんな馴れ馴れしくしないの!」
つかさは持っていた棒で蔦浜の頭を軽く叩いた。
「いてっ! ほ、本人が嫌がってないんだから別にいいじゃないですか!! ねぇカンナちゃん?」
カンナは何も言わずそっぽを向いた。
すると蔦浜の足元に何かが落ちた。いや、何かが刺さった。
蔦浜は驚いて1歩下がった。
地面に刺さっていたのはナイフだった。
そこにいた全員がナイフの飛んできた方を見た。
その視線の先には物凄い形相をした茉里が静かに立っていた。
「なんて不愉快なのかしら。その男。誰だか知らないけど、澄川さんが嫌がってるのが分からないの? 下心丸見えの不潔な輩だわ。斉宮さん。何故そんな方を連れて来たのかしら? さっさとその方連れて消えてくださらないかしら? 目障りだわ!」
突然の茉里の罵声につかさの表情が動いたのが見えた。詩歩はビクッと身体を震わせた。
「そんな言い方しなくてもいいでしょ? いきなり手出したりなんかして、学園から追放されるよ?」
つかさは意外に沸点が低い。火箸燈程ではないがそれに次ぐくらいに怒る。だが大抵怒ることは他人の為だ。そして恐い。
そのつかさが怒りの矛先を向けている相手はどうやら一味違うようだった。
「わたくしに言ってるのかしら? 斉宮さん? 私は追放されないわ。そんなこと言って追放されるのはあなたの方かもしれないわよ?」
「はぁ!? 私はただお前に文句言ってるだけだろ!?」
つかさが怒鳴ったその瞬間、茉里はつかさに飛び掛っていた。つかさは咄嗟に持っていた棒で茉里の身体を押し返した。すかさず蔦浜が茉里の背後に回り両腕を取り羽交い締めを掛けた。しかし、完全に抑える前に上手く抜けられ蔦浜の顔に裏拳を食らわせた。
「私に触れないで!! 穢らわしい!!」
茉里の怒声。
つかさは茉里を睨み付けていた。
カンナは蔦浜に駆け寄り怪我の具合を診た。
「大丈夫? 蔦浜君」
「このくらい、いつものかすり傷だよ」
蔦浜は口の中を切ったようで血を地面にぺっと吐き出した。
「本当に手出したな、茉里!」
つかさが言った。
「私は穢らわしい男という生き物が大嫌いなのよ! この世で最も嫌いだわ! そんな存在が私の身体を触ったことは絶対に許せないわ! 万死に値しますわ」
「私は皆と違って学園に訴えるからね? 鏡子さんが怖くて泣き寝入りする程弱くないわよ!」
「斉宮さん……鏡子さんを冒涜するつもり? ならここであなたを壊してしまわないといけないわ」
「やめてください!!」
カンナの声に全員の動きが止まった。
「後醍院さん。今から任務に出掛けるんですよ? 何で喧嘩するんですか? 私は別に蔦浜君に話し掛けられたからって迷惑だとは思ってません! 私の為に言ってくれるのは嬉しいけど、やり過ぎです」
「あら、ごめんなさい。やり過ぎてしまったわ。澄川さんが何も言わずそっぽを向くものだから嫌だったのかと思いましたの。澄川さんがそう言うなら謝りますわ。ごめんなさい。でもその男は不愉快だからさっさと連れて帰って貰えるかしら?」
つかさの怒りは収まらず棒を持つ手に力がこめられ続けていた。つかさが任務や授業でもないのに棒を持っていたのは茉里が襲い掛かってくるかもしれないと思ったからだったのだろう。
「カンナ! あなたをこいつと一緒に行かせられない。私、学園にお願いして任務のメンバー変えてもらうよ! 私が代わりに行く!」
「つかさ……」
カンナはつかさの真剣な訴えに返す言葉が見つからなかった。そんなことが出来るとは思えなかったのだ。
「斉宮さん。あなたさっきからごちゃごちゃ言ってるけど、あなたは澄川さんの何なのかしら?」
「友達」
つかさは即答した。
カンナは心が温かくなるのを感じた。
「友達……? そう……なんだか面白くないわ。あぁ、斉宮さん。私と交代するって言ってましたわね? やれるものならやってみてくださらない?」
「やめてよ! 後醍院さん! これ以上つかさを怒らせないで! もう出発しましょう! つかさ、私は大丈夫だから。3人で上手くやっていくから!」
カンナはつかさと茉里の間に割って入った。
つかさはカンナの顔を見つめた。
茉里は地面に投げて刺さったままのナイフを抜き左脚の太腿に仕込んであったケースに差し自分の馬に跨った。
「カンナ……私あなたが心配で……。茉里に何かされるんじゃないかと思うと堪らないの」
つかさは胸の前で右手をグッと握り締めた。
「つかさ。私大丈夫だって! もし何かされたとして私が負けると思うの? 私、体術だったら誰にも負けないよ!」
「そうだね、そうだよね」
つかさは暗い顔だったが必死に笑顔を作って見せた。
「何かあったらすぐ狼煙を上げて。どんな時でも助けに行くから!」
「俺も行くぜ! カンナちゃん!」
つかさに連られ、蔦浜も言った。
「分かった。ありがとう! 2人とも」
カンナはにこりと微笑んだ。
そのやり取りをしてる間、1人蚊帳の外だった詩歩は長刀を抱き締めながら様子を伺っていた。
それに気付いたつかさが詩歩にも声を掛けた。
「詩歩ちゃんも、気を付けてね」
つかさに声を掛けられた事に意外そうな顔をして詩歩は照れながら頷いた。
「じゃあ、行くね! 見送りありがとう、つかさ。蔦浜君」
挨拶を済ませるとカンナも響華に跨った。
詩歩はすでに馬に跨りいつでも出発出来るようだった。
「いってらっしゃい!」
つかさが言ったのが聴こえた。
カンナは振り返り頷くと響華の腹を蹴り駆け出した。
それをを見て茉里と詩歩も駆け出した。
カンナは今日からの1ヶ月間、平穏に過ごせるか頗る心配になった。
今のところ問題はないが、茉里と詩歩が上手くやっていけるとも思えない。そもそもカンナと詩歩も気まずい状態なのだ。
詩歩が素っ気ない態度の理由もカンナには分からなかった。
隣を走る茉里と目が合った。
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