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第3章 陰の軍師
朧国大都督府にて
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***
朧国・大都督府。
その一室には朧国の武将達が厳かな雰囲気を醸し出し、大都督・周殷に向かって並んでいる。
周殷の横には、鎧を纏った武将達とは対照的な緩やかな朧服を着た貴船桜史と厳島光世が立っていた。
2列に並んだ将軍達の足下には、巨大な絹に描かれた朧国と閻帝国の地図が広げられている。
「我が軍は、洪州の臥比関、錘明関、虎龍関、そして、葛州の景庸関の計4つの関を落とした。本来、第一次侵攻作戦として、景庸関からのみの進行を予定していたが、急遽、洪州攻撃部隊の進行を早め第一次侵攻作戦に組み込んだ。その侵攻の際に見えてきたものがある」
周殷が作戦の概要を述べると、将軍達は顔を見合わせた。
「大都督。見えてきたものとは、一体何なのでしょう?」
将軍の1人、黄旺が言った。白髪頭と白い口と顎の髭は、見るからに老将と言った様相だ。
「うむ。それは作戦立案者の桜史より説明してもらう。今回から軍師として軍議に加わってもらう。桜史。説明を」
周殷に指名され、桜史が一礼して前へ出た。見た事もない短髪の髪型の男が作戦立案者と言われ、将軍達はまたも顔を見合わせる。
「閻軍には、どうやら策士がいると大都督に伺いました。予てより、敵の廖班の動き方が不自然なようで、大都督は廖班の指揮下にその策士がいるのでは? と、睨んでおられました。そこで、廖班の管轄外の洪州を攻撃し、奇策により我々の侵攻を防ぐか試しました。結果は大都督のご推察通り、洪州の軍は皆ただ迎撃するだけで策など用いず、あっという間に3つの関を放棄し退却しました」
「確かに、戦況から見れば、洪州の軍は素人も同然。大した事はなかったようだ。策士がいるならこうもすんなり関は落とせまい」
桜史の説明を聴いて黄旺が頷く。
「つまり、その策士は、洪州の軍にはいない。よしんば洪州にいても、その命令は各軍に届かない……。そして、麒麟浦に築いた砦の攻防で、廖班は“声東撃西”という、兵法三十六計の第六計を使いました。兵法を知らぬ閻軍がそんなものを使える筈がありません。策士は、十中八九、廖班の軍にいます」
将軍達は桜史の説明に納得し皆一様に頷く。
「若いのに何と聡明な方だ。大都督。桜史殿は何者なのですか?」
黄旺は興味津々に尋ねる。
「桜史と光世は遥か東方の国から遥々友を探しに来た兵法家だそうだ。だが、残念な事に目下戦の真っ最中。民の移動も制限された中で2人の友を探す旅を許可する事は出来ない。そう告げたところ、2人は戦が一刻も早く集結するようにと、その知恵を貸すと申し出てくれた。故に、幕賓ではあるが、軍師として我が軍に協力してもらう事にした」
「微力ながら、お力になれれば幸いです」
桜史が深々と頭を下げ拱手すると、端に立っていた光世もペコりと頭を下げた。
「そうでしたか。友を探す旅を。儂は前将軍の黄旺と申す。儂らも、戦が早く終わるよう尽力しよう。兵法家の御二方が我が陣営にいれば心強い」
黄旺は笑顔で言った。が、すぐに眉間に皺を寄せて白い顎髭を弄り始めた。
「しかし、閻に策士ですか。もしや、閻仙・楊良ではなかろうな?」
「閻仙・楊良?」
ずっと黙っていた光世が食い付く。
「如何にも。閻で兵法が廃れる中、唯一兵法を学び続けた楊一族の末裔、楊良、字を子堯と言う。兵法は戦を生むと蔑まれたこの百年余り、楊子堯だけは山に篭もり兵法を学び続けていると聞く。閻で兵法が使える者と言えば、楊子堯くらいしか思い付かぬ」
黄旺の話に桜史と光世は唾を飲む。
「だが、楊良は破天荒な性格故、街を追い出されたと聞くぞ。そんな人間が軍に協力出来るとは思えんな」
「しかし、大都督。楊子堯が密かに弟子を取り、その者が軍に入った可能性もあります」
「もう良い、黄旺。敵の策士が楊良だろうがなかろうが、そこは重要ではない。我々は、敵を打ち破り、皇帝・蔡胤を倒し閻帝国を滅ぼすだけだ!」
「はっ!」
「私は桜史と光代を連れて景庸関へ向かう。この2人の知恵を借り、敵の策士の策をことごとく打ち破って見せよう。黄旺、其方も従軍しろ」
「御意! この老骨、朧の為に死力を尽くします!」
黄旺の皺の刻まれた顔がくしゃっと歪み、嬉しそうに拱手した。
♢
軍議を終えた桜史と光世は部屋に戻った。
初めての軍議に疲弊した2人は卓に凭れるように倒れ込んだ。
「めちゃくちゃ緊張したー……企業の重役面接とかの比じゃないわ」
「当たり前だろ、みんな帯刀してるし、下手な事言ったら殺されるかもしれないんだから。……ってか、厳島さんはほとんど喋ってなかったじゃん」
「あはは、貴船君いなかったら私ただの役立たずでもう処刑されてたかもー」
「厳島さんは序盤で死ぬような無能じゃないから大丈夫だよ。それより、敵の策士、瀬崎さんじゃないかと思ってたけど、やっぱ違うのかな」
桜史は身体を起こすと真剣な顔で光世に尋ねた。
「あ~ないない。宵にあんな軍議を耐え抜いて、指揮官に指示するなんて胆力はないっしょ。黄旺さんが言ってたけど、多分、楊良って人かその弟子じゃない?」
「それもそうか。俺達みたいに運悪く軍に拾われない限り、一介の女子大生が、軍事に関われる程甘くないよな。そもそも、閻にいるとは限らない。俺達が転移したのが朧なんだから、俺達と同じように朧にいると考えるのが自然だよな」
「そういう事。はぁ、でもまさか前線の景庸関に赴任になるとは……誰か~お水ください!」
光世は卓に伏したまま手を上げ、気の抜けた声で人を呼んだ。
すると、女が返事をし、すぐに盆に湯呑みを2つ乗せ桜史と光世の卓にやって来た。
「お待たせ致しました。どうぞ、冷たいお水です」
やって来た下女は、桜史や光世と同じくらいに若く、とても素朴で可愛らしい娘だった。そして、慣れたように湯呑みを卓に置いた。
「あれ? 貴女見ない顔ですね。新入り?」
光世が気さくに話し掛けると、娘はニコリと微笑んだ。
「はい、本日より光世様の下女としてお仕え致します、清春華と申します。どうぞ宜しくお願い致します」
「本当? こちらこそ宜しくお願いします。やったよ、桜史殿、私、可愛い下女ちゃん貰っちゃった~いいでしょ~あげないよ~」
「良かったね」
桜史は嬉しそうな光世から目を逸らし、クールに水をごくごくと飲んだ。
「あ、勿論、桜史様のお世話も兼任で致します」
清春華の発言に桜史は飲んでいた水を口から吹き出しむせ始めた。
それを慌てて清春華が袖で吹く。
「桜史殿は女の子に耐性がないからなぁ~」
光世は他人事のように大惨事になっている桜史を眺めながら清春華が持って来た水を飲んだ。
一瞬、清春華が横目で光世を見たが、すぐに桜史へと視線を戻し、その背中を優しく摩った。
光世は2人の様子を見ながら、黙って水を飲んだ。
***
馬車を降りた宵は、劉飛麗と共に麒麟浦の廖班の幕舎へと向かった。
高柴の守りは楽衛と安恢に任せた。敵が迫っても打って出ず、固く籠城して敵を防ぐよう命じた。
楽衛は有能な指揮官故、宵の言い付けを破る事はないだろう。
陣営内を歩いていると、李聞が護衛の兵と共に現れた。
「李聞殿! ご無事で何よりです! 申し訳ございません、私の策が未熟なばかりに……」
「気に病むな。敵の動きが俊敏だった。それに、我々も撤退する判断が少し遅かったのだ、お前のせいではない。故にお前に罰は与えられない」
優しい李聞の言葉に、宵は黙って頷く。
「鍾桂は無事だ」
李聞は宵が気にかけているのを見透かしたかのように、まだ聞いてもいない鍾桂の安否を教えてくれた。
「え!? 本当ですか!? 良かった……彼はここに?」
「ああ。ここに居るが、軍師には戦が終わるまでは会わないと言っていた」
「……そう……ですか」
宵は目を細め俯いた。きっと鍾桂は気持ちを切り替えたのだ。宵に会えば気持ちが乱れてしまうから。この戦が終わるまでは会わないという決断に至ったのだろう。高柴を出た時にそう決めていたに違いない。
しかし、宵はそう覚悟してはいなかった。実際、ここに来て鍾桂に会うつもりだった。だが、鍾桂がそれを望まぬのなら、宵から会いに行くわけにはいかない。
「李聞殿。私がここへ呼ばれたのは、やはり、戦況が思わしくないからでしょうか?」
「それもある」
「それも? 他に意図が?」
「ああ。葛州刺史・費叡将軍の副官の中郎将・姜美殿が、お前を呼んだ」
「え? どうして……?」
「詳しい話は後だ。取り敢えず、姜美殿に会ってもらう。劉飛麗。お前は外で待っていろ」
「かしこまりました」
劉飛麗は頭を下げ宵を見送った。
呼ばれた理由に首を傾げながら、宵は李聞の後に続き、幕舎へと向かった。
朧国・大都督府。
その一室には朧国の武将達が厳かな雰囲気を醸し出し、大都督・周殷に向かって並んでいる。
周殷の横には、鎧を纏った武将達とは対照的な緩やかな朧服を着た貴船桜史と厳島光世が立っていた。
2列に並んだ将軍達の足下には、巨大な絹に描かれた朧国と閻帝国の地図が広げられている。
「我が軍は、洪州の臥比関、錘明関、虎龍関、そして、葛州の景庸関の計4つの関を落とした。本来、第一次侵攻作戦として、景庸関からのみの進行を予定していたが、急遽、洪州攻撃部隊の進行を早め第一次侵攻作戦に組み込んだ。その侵攻の際に見えてきたものがある」
周殷が作戦の概要を述べると、将軍達は顔を見合わせた。
「大都督。見えてきたものとは、一体何なのでしょう?」
将軍の1人、黄旺が言った。白髪頭と白い口と顎の髭は、見るからに老将と言った様相だ。
「うむ。それは作戦立案者の桜史より説明してもらう。今回から軍師として軍議に加わってもらう。桜史。説明を」
周殷に指名され、桜史が一礼して前へ出た。見た事もない短髪の髪型の男が作戦立案者と言われ、将軍達はまたも顔を見合わせる。
「閻軍には、どうやら策士がいると大都督に伺いました。予てより、敵の廖班の動き方が不自然なようで、大都督は廖班の指揮下にその策士がいるのでは? と、睨んでおられました。そこで、廖班の管轄外の洪州を攻撃し、奇策により我々の侵攻を防ぐか試しました。結果は大都督のご推察通り、洪州の軍は皆ただ迎撃するだけで策など用いず、あっという間に3つの関を放棄し退却しました」
「確かに、戦況から見れば、洪州の軍は素人も同然。大した事はなかったようだ。策士がいるならこうもすんなり関は落とせまい」
桜史の説明を聴いて黄旺が頷く。
「つまり、その策士は、洪州の軍にはいない。よしんば洪州にいても、その命令は各軍に届かない……。そして、麒麟浦に築いた砦の攻防で、廖班は“声東撃西”という、兵法三十六計の第六計を使いました。兵法を知らぬ閻軍がそんなものを使える筈がありません。策士は、十中八九、廖班の軍にいます」
将軍達は桜史の説明に納得し皆一様に頷く。
「若いのに何と聡明な方だ。大都督。桜史殿は何者なのですか?」
黄旺は興味津々に尋ねる。
「桜史と光世は遥か東方の国から遥々友を探しに来た兵法家だそうだ。だが、残念な事に目下戦の真っ最中。民の移動も制限された中で2人の友を探す旅を許可する事は出来ない。そう告げたところ、2人は戦が一刻も早く集結するようにと、その知恵を貸すと申し出てくれた。故に、幕賓ではあるが、軍師として我が軍に協力してもらう事にした」
「微力ながら、お力になれれば幸いです」
桜史が深々と頭を下げ拱手すると、端に立っていた光世もペコりと頭を下げた。
「そうでしたか。友を探す旅を。儂は前将軍の黄旺と申す。儂らも、戦が早く終わるよう尽力しよう。兵法家の御二方が我が陣営にいれば心強い」
黄旺は笑顔で言った。が、すぐに眉間に皺を寄せて白い顎髭を弄り始めた。
「しかし、閻に策士ですか。もしや、閻仙・楊良ではなかろうな?」
「閻仙・楊良?」
ずっと黙っていた光世が食い付く。
「如何にも。閻で兵法が廃れる中、唯一兵法を学び続けた楊一族の末裔、楊良、字を子堯と言う。兵法は戦を生むと蔑まれたこの百年余り、楊子堯だけは山に篭もり兵法を学び続けていると聞く。閻で兵法が使える者と言えば、楊子堯くらいしか思い付かぬ」
黄旺の話に桜史と光世は唾を飲む。
「だが、楊良は破天荒な性格故、街を追い出されたと聞くぞ。そんな人間が軍に協力出来るとは思えんな」
「しかし、大都督。楊子堯が密かに弟子を取り、その者が軍に入った可能性もあります」
「もう良い、黄旺。敵の策士が楊良だろうがなかろうが、そこは重要ではない。我々は、敵を打ち破り、皇帝・蔡胤を倒し閻帝国を滅ぼすだけだ!」
「はっ!」
「私は桜史と光代を連れて景庸関へ向かう。この2人の知恵を借り、敵の策士の策をことごとく打ち破って見せよう。黄旺、其方も従軍しろ」
「御意! この老骨、朧の為に死力を尽くします!」
黄旺の皺の刻まれた顔がくしゃっと歪み、嬉しそうに拱手した。
♢
軍議を終えた桜史と光世は部屋に戻った。
初めての軍議に疲弊した2人は卓に凭れるように倒れ込んだ。
「めちゃくちゃ緊張したー……企業の重役面接とかの比じゃないわ」
「当たり前だろ、みんな帯刀してるし、下手な事言ったら殺されるかもしれないんだから。……ってか、厳島さんはほとんど喋ってなかったじゃん」
「あはは、貴船君いなかったら私ただの役立たずでもう処刑されてたかもー」
「厳島さんは序盤で死ぬような無能じゃないから大丈夫だよ。それより、敵の策士、瀬崎さんじゃないかと思ってたけど、やっぱ違うのかな」
桜史は身体を起こすと真剣な顔で光世に尋ねた。
「あ~ないない。宵にあんな軍議を耐え抜いて、指揮官に指示するなんて胆力はないっしょ。黄旺さんが言ってたけど、多分、楊良って人かその弟子じゃない?」
「それもそうか。俺達みたいに運悪く軍に拾われない限り、一介の女子大生が、軍事に関われる程甘くないよな。そもそも、閻にいるとは限らない。俺達が転移したのが朧なんだから、俺達と同じように朧にいると考えるのが自然だよな」
「そういう事。はぁ、でもまさか前線の景庸関に赴任になるとは……誰か~お水ください!」
光世は卓に伏したまま手を上げ、気の抜けた声で人を呼んだ。
すると、女が返事をし、すぐに盆に湯呑みを2つ乗せ桜史と光世の卓にやって来た。
「お待たせ致しました。どうぞ、冷たいお水です」
やって来た下女は、桜史や光世と同じくらいに若く、とても素朴で可愛らしい娘だった。そして、慣れたように湯呑みを卓に置いた。
「あれ? 貴女見ない顔ですね。新入り?」
光世が気さくに話し掛けると、娘はニコリと微笑んだ。
「はい、本日より光世様の下女としてお仕え致します、清春華と申します。どうぞ宜しくお願い致します」
「本当? こちらこそ宜しくお願いします。やったよ、桜史殿、私、可愛い下女ちゃん貰っちゃった~いいでしょ~あげないよ~」
「良かったね」
桜史は嬉しそうな光世から目を逸らし、クールに水をごくごくと飲んだ。
「あ、勿論、桜史様のお世話も兼任で致します」
清春華の発言に桜史は飲んでいた水を口から吹き出しむせ始めた。
それを慌てて清春華が袖で吹く。
「桜史殿は女の子に耐性がないからなぁ~」
光世は他人事のように大惨事になっている桜史を眺めながら清春華が持って来た水を飲んだ。
一瞬、清春華が横目で光世を見たが、すぐに桜史へと視線を戻し、その背中を優しく摩った。
光世は2人の様子を見ながら、黙って水を飲んだ。
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馬車を降りた宵は、劉飛麗と共に麒麟浦の廖班の幕舎へと向かった。
高柴の守りは楽衛と安恢に任せた。敵が迫っても打って出ず、固く籠城して敵を防ぐよう命じた。
楽衛は有能な指揮官故、宵の言い付けを破る事はないだろう。
陣営内を歩いていると、李聞が護衛の兵と共に現れた。
「李聞殿! ご無事で何よりです! 申し訳ございません、私の策が未熟なばかりに……」
「気に病むな。敵の動きが俊敏だった。それに、我々も撤退する判断が少し遅かったのだ、お前のせいではない。故にお前に罰は与えられない」
優しい李聞の言葉に、宵は黙って頷く。
「鍾桂は無事だ」
李聞は宵が気にかけているのを見透かしたかのように、まだ聞いてもいない鍾桂の安否を教えてくれた。
「え!? 本当ですか!? 良かった……彼はここに?」
「ああ。ここに居るが、軍師には戦が終わるまでは会わないと言っていた」
「……そう……ですか」
宵は目を細め俯いた。きっと鍾桂は気持ちを切り替えたのだ。宵に会えば気持ちが乱れてしまうから。この戦が終わるまでは会わないという決断に至ったのだろう。高柴を出た時にそう決めていたに違いない。
しかし、宵はそう覚悟してはいなかった。実際、ここに来て鍾桂に会うつもりだった。だが、鍾桂がそれを望まぬのなら、宵から会いに行くわけにはいかない。
「李聞殿。私がここへ呼ばれたのは、やはり、戦況が思わしくないからでしょうか?」
「それもある」
「それも? 他に意図が?」
「ああ。葛州刺史・費叡将軍の副官の中郎将・姜美殿が、お前を呼んだ」
「え? どうして……?」
「詳しい話は後だ。取り敢えず、姜美殿に会ってもらう。劉飛麗。お前は外で待っていろ」
「かしこまりました」
劉飛麗は頭を下げ宵を見送った。
呼ばれた理由に首を傾げながら、宵は李聞の後に続き、幕舎へと向かった。
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作者のtwitterアカウント↓
https://twitter.com/tobeitsuki?t=CzwbDeLBG4X83qNO3Zbijg&s=09
※このお話は2019年7月8日にサービスを終了したラノゲツクールに同タイトルで掲載していたものを小説版に書き直したものです。
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