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それについては黙っておいて

大社君の話(#2)

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いつもの顔ぶれで、

夜な夜な

いつもの集い。

今夜は西国さいごくんちだ。



「西国、雨子さんは元気にしてんのか?」


「雨太郎さんだろ?」


「そう!そう!男だからな!」


「まだ言うのか!外野ども。今朝もバイト一緒だったけど、元気にしてたさ!」


「西国には、すぐにいいやつができるから!お前次第だから!」



げらげら笑う

雨崎あめざき家長いえなが

そして、俺。

なぐさめる五段坂ごだんざか



「雨太郎さんの気になるやつって、うちの大学なんだろ?」


「途中で飛び出してったから、話が中途半端だったよな。」


「うちの大学つっても、けっこうな学生数だぞ。」


「そいつの特徴は?かわいい系女子?きれい系女子?」


「それがさ、わんこ系男子なんだ。」



思いがけない特徴に、

きょとんとする。



「え?雨太郎さんは男が好きなのか?」


「男が好きっていうか、もう一回会いたいんだって。」


「雨崎級のイケメンなんだろ?どんなやつに会いたがってるのか興味あるわ。」


「だな!そいつの名前はわからねーのか?」


「次会えた時に聞こうとしてたみたい。二回までは偶然だけど、三回会えたら必然らしいよ。」



なんだそれ。

ロマンチストなのか?



「探して会えたら必然じゃなくね?三回目もばったり会えよ!」


「そーなんだけど、気になって心がざわざわするらしいよ。」


「それって恋じゃね?雨太郎さん、そいつに恋してんだろ?」


「んー、そこも三回会えたらわかるそうだ。」


「不思議さんだな。」



雨太郎さんから、

不思議さんに改名された。



「確かに、不思議さんだわ。自由人とも言うか。雨崎級だけど、また違った感じのイケメン!」


稀有けうって意味での、雨崎級ってこと?」


「まさにそれ!女性客の反応が、俺と明らかに違うんだよ!」


「平凡には、平凡の良さがあるって!」


「そんな良さ、生まれてから一度も味わったことねーよ!」



イケメンに対する

不満が大爆発しそうなので、

話題を変える。



「ってことは、不思議さんに役立ちそうな情報提供はできなかったのか?」


「そういうことだな。わんこ系男子って大社たいしゃぐらいしか思い浮かばねーし。」


「大社だったりして。」


「だったら、おもしれーな!」


「そんな稀有なイケメン、雨崎しか接点ねーよ!」



ふと、おにーさんのことが

頭に浮かんだが、

もう数ヶ月も前のことだ。

あれから出会えてない。



おにーさん、元気にしてんのかな?



数ヶ月前の出来事に

思いをせそうなったが、

五段坂のある行為が目に入り、

すぐに引き戻される。



さっきから

棒つきキャンデーを

舐めまくっている。



「ぺろぺろぺろぺろ、目ざわり!そーいや、五段坂、禁煙した?」


「最近、外に吸いに行かねーな。」


「代わりにぺろぺろくちゃくちゃ、騒がしいよな。」


「そのうちまた吸い出すだろ。」


「もう絶対、吸わねーし!俺の健康のためだ!目ざわりとか騒がしいとか言うな!」



これまでに何回も

禁煙に失敗している。

信憑性は低い。



「やめたらデブったとか言って、明日には吸ってたりして。」


「飴ちゃん、ガムちゃん食いすぎだもんな。」


「だって、口寂しい!なにかいい代用品を教えてくれ!」


「指しゃぶれば?両手足で20本あるから、舐め放題だ。」


「やだよ!うまくねーじゃん!」



うまさを求めんなよ~!



「好きなやつのをしゃぶらせてもらえば?」


「なるほど!それはうまうまだな!」


「そこまでさせてくれる寛容なやつっているのか?」


「それいいな!あとで頼んでみる!」


「いや!無理だから!」



不思議さん談義や、

タバコの代用品ネタで

大いに盛り上がり、

その後、解散となった。


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