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プロローグ
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「いってきー」
家を出て、思いっきり伸びをしながら息を吸い込む。
「ん~~だいぶあったかくなってきたー。」
冬の間、毎日のように河川敷で風を浴びていたので、今年は季節というものを凄く実感している。
お日柄って意味だけじゃなくて、受験を終え卒業式を終えても最後まで一緒に走ってくれたキャプテンとのお別れ会をしたから、
別れの季節ってのも凄く実感したな。
でも、出会いの季節でもあるんだよね。
今日は始業式。
ま、新入生の勧誘は明後日からだし、春休みの間も皆とは練習してたから、ちょっとクラスが気になるなーくらい。そんな日。
愛車にまたがる。もう背は伸びてないから、いつもピッタリな乗り心地。
初めて乗った時はビックリしたな、ロードバイク。
なんだろ、氷の上をサーって走るような?
地面との摩擦?がないような感じ。スーーッて進むんだもん。
超軽くて、あの感動はほんと忘れられない。
でも乗り慣れた今でも感動するんだ。
漕ぎだすと一瞬で私の願ったスピードになる。
「今日も軽いぜ、相棒」
家から高校までは安全運転でも10分ちょい。
1日100km以上の道程も経験してる私にとっては、そりゃあっという間だけど、
ちょっとめんどくさかったりもする。都心だから結構神経使うし。
アニメみたいに、気っ持ちいい~~!って春の陽気を浴びながら爽やかにチャリ通してみたかったな。
学校に着いたら、いつも通り部室の中に愛車をしまう。
すでに3つのロードバイクがある。
「みんな来んの早っ」
入って左手の連絡掲示板に「今年はやったろうぜ! by詩織」と既に抱負が書いてあった。
連絡掲示板はちょっとしたSNSみたいになってて、このちょっと一方通行でアナログな感じが超好き。
部室のありがたみを感じるとともに、この部室は私が創部したおかげであるんだよなぁ。
って感傷に浸るまでが、私の朝。
クラスは入学ん時みたいに貼りだされてるわけじゃなくて、1回1年生の時のクラスに集まるみたい。
ってことは早速2人の自転車部員と会えるわけよ!
自転車好きがたまたま同じクラスになってたわけじゃなくて、全くロードレースを知らないとこから自転車部に勧誘した2人。
「しー、みほりちゃん、おはよ。」
ちょうど2人が立ち話してたので、加わる。
「おー、フミ!よっす!」
このスポーツマンスポーツマンしたのが橋本詩織。
私より12cmおっきいんだっけかな。凄い人目をひく。
「おはよ!ふーみん」
笑った時の八重歯が超かわいい五十鈴美保里[いすず みほり]。
私よりなんと16cm低い。しおりとの身長差は約28cmで2人で話してる姿はなんか、凄く良い。
「何の話してたの?」
「そりゃもちろん、今年はやったろうぜ!って話。掲示板見たっしょ?」
「もち見たよ!ただ、何をやったるわけさ?」
「全国に行く!そんで、かましてやる!」
橋本詩織という女の子は勢い任せなところがあるけれど、
口だけじゃない、勢いだけじゃない、頼もしさがある。
自転車初めて1年、物凄い熱量で練習し、真摯に自転車ロードレースという競技と向き合っていた。
「しーらしいよ。ただ全国って目標じゃなくて、かましてやるってとこが特に!」
「私もさっき聞いてふーみんと同じこと思った。
でも、まずはあと一人、部員増やさないとね。」
「んなもん楽勝!去年1人で立ち上げて4人引き入れたフミさんが、
今年一人も入れられないわけがないっ!なんなら8人は増える計算」
「ハードルあげんな!」
去年の私はクラスメイトの2人を誘って、
幼馴染に入ってもらっただけ。自転車ロード大好きなキャプテンは自分から来てくれたし。
関わりのない人を誘うってのはなかなか難しい。
練習にかまけて、特に今年の新歓対策もなし。
ただぶっちゃけ、
楽観的な私は今年も勝手にメンバーが揃うものだと思ってる。
部長としては割と失格だけど、
でも本当にそんな気がしてたんだ。
結果としてそれは当たっていたけれど、それは思いもよらないもので。
かますという目標には、十分すぎた。
家を出て、思いっきり伸びをしながら息を吸い込む。
「ん~~だいぶあったかくなってきたー。」
冬の間、毎日のように河川敷で風を浴びていたので、今年は季節というものを凄く実感している。
お日柄って意味だけじゃなくて、受験を終え卒業式を終えても最後まで一緒に走ってくれたキャプテンとのお別れ会をしたから、
別れの季節ってのも凄く実感したな。
でも、出会いの季節でもあるんだよね。
今日は始業式。
ま、新入生の勧誘は明後日からだし、春休みの間も皆とは練習してたから、ちょっとクラスが気になるなーくらい。そんな日。
愛車にまたがる。もう背は伸びてないから、いつもピッタリな乗り心地。
初めて乗った時はビックリしたな、ロードバイク。
なんだろ、氷の上をサーって走るような?
地面との摩擦?がないような感じ。スーーッて進むんだもん。
超軽くて、あの感動はほんと忘れられない。
でも乗り慣れた今でも感動するんだ。
漕ぎだすと一瞬で私の願ったスピードになる。
「今日も軽いぜ、相棒」
家から高校までは安全運転でも10分ちょい。
1日100km以上の道程も経験してる私にとっては、そりゃあっという間だけど、
ちょっとめんどくさかったりもする。都心だから結構神経使うし。
アニメみたいに、気っ持ちいい~~!って春の陽気を浴びながら爽やかにチャリ通してみたかったな。
学校に着いたら、いつも通り部室の中に愛車をしまう。
すでに3つのロードバイクがある。
「みんな来んの早っ」
入って左手の連絡掲示板に「今年はやったろうぜ! by詩織」と既に抱負が書いてあった。
連絡掲示板はちょっとしたSNSみたいになってて、このちょっと一方通行でアナログな感じが超好き。
部室のありがたみを感じるとともに、この部室は私が創部したおかげであるんだよなぁ。
って感傷に浸るまでが、私の朝。
クラスは入学ん時みたいに貼りだされてるわけじゃなくて、1回1年生の時のクラスに集まるみたい。
ってことは早速2人の自転車部員と会えるわけよ!
自転車好きがたまたま同じクラスになってたわけじゃなくて、全くロードレースを知らないとこから自転車部に勧誘した2人。
「しー、みほりちゃん、おはよ。」
ちょうど2人が立ち話してたので、加わる。
「おー、フミ!よっす!」
このスポーツマンスポーツマンしたのが橋本詩織。
私より12cmおっきいんだっけかな。凄い人目をひく。
「おはよ!ふーみん」
笑った時の八重歯が超かわいい五十鈴美保里[いすず みほり]。
私よりなんと16cm低い。しおりとの身長差は約28cmで2人で話してる姿はなんか、凄く良い。
「何の話してたの?」
「そりゃもちろん、今年はやったろうぜ!って話。掲示板見たっしょ?」
「もち見たよ!ただ、何をやったるわけさ?」
「全国に行く!そんで、かましてやる!」
橋本詩織という女の子は勢い任せなところがあるけれど、
口だけじゃない、勢いだけじゃない、頼もしさがある。
自転車初めて1年、物凄い熱量で練習し、真摯に自転車ロードレースという競技と向き合っていた。
「しーらしいよ。ただ全国って目標じゃなくて、かましてやるってとこが特に!」
「私もさっき聞いてふーみんと同じこと思った。
でも、まずはあと一人、部員増やさないとね。」
「んなもん楽勝!去年1人で立ち上げて4人引き入れたフミさんが、
今年一人も入れられないわけがないっ!なんなら8人は増える計算」
「ハードルあげんな!」
去年の私はクラスメイトの2人を誘って、
幼馴染に入ってもらっただけ。自転車ロード大好きなキャプテンは自分から来てくれたし。
関わりのない人を誘うってのはなかなか難しい。
練習にかまけて、特に今年の新歓対策もなし。
ただぶっちゃけ、
楽観的な私は今年も勝手にメンバーが揃うものだと思ってる。
部長としては割と失格だけど、
でも本当にそんな気がしてたんだ。
結果としてそれは当たっていたけれど、それは思いもよらないもので。
かますという目標には、十分すぎた。
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