王子達は公爵令嬢を甘く囲いたい

緋影 ナヅキ

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幼少期

高級菓子店Aster②

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「─まぁぁあ、話はこれぐらいにしましょぉぉぉおうッか」

「えぇ、そうですね。僕も愛しい妹アンジュと王都を周りたいですし」


 あれから体感5分ぐらい経った頃。

 どうやら難しい会話は一段落ついたらしく、ニコニコ笑いながら兄様が私の方へ近付いてきた。


「ごめんねアンジュ、殿下の話長くってさ」


 兄様、そのようなことを殿下本人の前で言うべきで無いと思います。しかもすっごくイイ笑顔ですね!?


「そぉぉぉぉッの言い草は酷いんじゃぁぁなぁぁぁい!?まっ、別に気にしてないけぇぇぇぇどねぇぇぇぇえ!」

「で、殿下、兄様が申し訳ありません!!!」

 とりあえず謝罪をしなければと、面接官もびっくりするようなほぼ90度の角度で勢いよく頭を下げた。
 

 公爵令嬢失格だとか、そもそもこの国にはこういうタイプの謝罪方法は無いだとか、そんなの気にしてる場合じゃない!!


 だって下手したら首が物理的に跳ぶかもしれないからね!!!
 私が言うのもあれだけど、命大事!!!!!



「大丈夫だよアンジュ、殿下はそういうの気にしないタイプの人間なんだ。だからほら、早く頭上げて」

「そぉぉぉおっよッ!!!むしろこっちがそぉぉぉいうのでお願いって頼んでるんだかぁぁぁぁあッら!!!」

「そ、そうなのですね……よかったです、本当」

 だ、だよね…。
 流石に兄様が仮にも王族の人に対して不敬な態度を自分からするはずがないし…。

 本当、良かった。
 めっちゃ焦ったし、寿命縮むかと思ったもん。



 できればもう二度とあんな思いしたくない。
 …まぁ、公爵令嬢としてこの世界に生まれた以上、それは多分無理なんだろうなぁ……。


「ふふ、それじゃあ、そろそろ買い物をしようか。殿下、Asterのオススメ商品は何ですか?」

「そぉぉぉうねぇぇぇぇ……全部、と言いたいとこだけどぉぉぉお…やぁぁぁっぱり、“アレ”かしぃぃぃいッッらっ!!」

 兄様の質問に少し考え込んでから、“王道は外さないしね。やっぱり甘いものは正義”と殿下は上機嫌に答えた。


 ふむふむ、なるほど“アレ”か…なるほどなるほど。


 
 で、その“アレ”とは一体??


「あぁ、やはり“アレ”ですか…」

 兄様は何かに納得した様子で小さく頷き、口元へ利き手を当てながら何やら考えを巡らせている。


 ということは兄様も“アレ”の正体を知っているってことか…。

 目立たないように警護してくれてる人達も“あー、アレね”的な感じで目線を合わせてるし…。



 え、もしかして私だけが知らないの??? 







ーーーーーーー

こちらではお久しぶりです。
もう2ヶ月も更新してないことに気がついて、急いで続きを書きました。恐らくこれからもこっちの作品は気まぐれ頻度になります…。


 
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