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第50話
しおりを挟む「あ~副会長ぉ?あのですねぇ、ちょぉっと聞きたいことがあるんだけどぉ、いいですかねぇ~?」
ですます口調になったのは許して欲しい。これでもビクビク怯えながら話しかけてるんだ。だって、これから副会長の地雷の上でタップダンスを踊るんだぞ?怖すぎないか??
「…………」
…ダメだ、全く反応しない。相変わらず副会長の周りの時は止まったままだ。ついでに、いつの間にか双子と慶の時も止まってしまっている。これは感染するタイプだったのか…。
助けを求めて、唯一の希望である会長を見る。が、こちらも相変わらず自分の世界にトリップしていて、どう足掻いても助けを得られそうになかった。
え、何このカオス…
もう嫌だ誰かこれどうにかして本当。この際現状打破してくれるなら誰でもいいからさ。てか俺の出した勇気返して。無駄になったんだけど。
混乱のあまり軽くキャラ崩壊をし始めた、その時だった。
「おーい、この案件まだ終わってねぇが、今どうなってん、だ…?え、これどうなってんだ??は?????」
この生徒会室に救いの生徒会顧問が現れた。
そう、我らが2-S担任の東先生である。
本日も変わらぬホスト具合ですね。なんでこの人歌舞伎町で本職じゃなくて、ここで国語教師しているのだろう。
そんなことを反射的に思いながら、厄介事から逃げなくてはと、今にも扉の向こう側へ引返そうとした東先生の腕をギリギリで掴んだ。フフフ、逃がすものか。
「東センセェー、どぉして出ていこうとするんですかぁ~?」
「おい水無月その手ぇ離せッ!」
「え~嫌だなぁ~。俺がぁ、この状況を打破するための手段を逃すはずがないでしょ~?」
「オレは変なことに巻き込まれたくねぇんだよッ」
そう吐き捨てて、必死に俺の捕縛から逃れようとするが…甘いな。伊達に何年もソロの族潰しやってない。力には人一倍自信がある。なので当然、東先生は俺の手を外すことができず、生徒会室に留まったままだ。
「クソッ!なんでんな力強えんだよッ!!その細腕のどこにこんな力があんだ!」
「え~?当然腕と手にだけどぉ?」
「そんなことを言ってんじゃねぇ、よッ!」
「おっとぉ」
空いていたもう片方の腕を横に振って、俺を物理的に遠ざけようとしてきたが、それを最小限の動きで躱す。そしてもう片方の腕も拘束した。よく不良相手にしていたので、これは最早ただの流れ作業のようなものだ。
「クッ…!」
「あはは~、あずにゃん隙あり過ぎぃ」
「あずにゃん言うなっつてんだろ!」
今度はその長い脚で対抗してきた。
両手は東先生の腕を拘束する為に使っているので、抑えることが不可能だ。そのため、ダメージを喰らわないためにはその手を外して脚を受け止めるか、後退するしかない。
…そう、普通は考えるだろう。
東先生もそう考えた上での行動だったのか、ニヤリと笑っていて、優越感に浸っているのが丸わかりだ。
「…けど、残念☆」
だって、脚が空いているのは俺も同じだからな。
バシッ!
「は…?」
まさか脚で阻止されるとは思ってもなかったのだろう。東先生はなんとも間抜けな顔を晒している。…この瞬間の写真を撮って新聞部に売れば、結構儲かりそうだな。
さて、始めのカオス問題だが。こんなに騒がしくしているんだ。せめて誰か1人ぐらい元に戻るだろ。
もしこれでも無理だったら、最終手段を使うしかない。
「…ぁ……私は一体何を…?」
東先生を更に拘束しながらそう思っていたら、副会長が最初に元に戻った。
「あ、副会長戻ったねぇ!」
「まk…水無月」
「全く、俺以外みぃんな固まっちゃうんだもん!」
「あぁ…すいません。今に会長達を戻します」
そう言うと副会長は、まず1番近くにいた慶と双子の額に思いっきりデコピンした。ただ、慶には多少手加減したようだ。双子にしたときよりも弾く音が鈍くなかった。
副会長、慶には甘いからな…。ま、それは慶以外の生徒会メンバー全員がなんだけど。だってさ、あのわんこ凄くいい子でかわいいし、その上純粋なんだよ。守りたくなるじゃん?ま、なんだかんだいって、純粋なのは双子もなんだけど。
それもあってか、慶と双子は人に好かれやすい。……ヒトとして何かが足りない僕と違ってね。
「「「~~~ッ!!」」」
「おい、もういいだろ。早く離せ」
3人があまりの痛みに悶絶するのと、東先生が不満を溢すのはほぼ同時だった。
あ、そういや東先生を拘束したままだったの忘れてた。
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