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第37話
しおりを挟む「なんです、これは…」
ヒクヒクと笑みを引きつらせ、誰ともなく呟く。
「なぁ零斗、これ、転入日と入寮日が4月**日って見えるんだが…。俺様の見間違いじゃねぇよな?」
「えぇ、残念ながら、私にもそう見えていますね」
普段なら、このような会長の問いかけに対し、さり気ない皮肉を込めて答える副会長の返答には、珍しくそれがない。
「…ね…これ…ど、いう、こと…?」
確かな困惑を滲ませた声音でそう皆に問う慶も、この事に関しては全く意味が分からないといった様子だ。
そりゃあそうだろう。
何故日付の部分だけ、数字ではなく記号になっているのか。理事長の気まぐれで発生するお茶目だとしても、いくらなんでもこれは酷すぎる。なんでそこが伏せ字なんだ。1番大切なところだろう、その部分が。
「(さて、これはどうしたものか)」
机の下で足を組み、小さく唇を舐めて思案に暮れる。
理事長室へとつりに行くか、メールで聞くか、夜に黒狐として他の情報と共にハッキングするか。
俺個人としてはどちらでも支障は無いのだが、日付は生徒会メンバー全員で共有しなければならない。そうなると、日付に関しては後者はなし。
残る選択肢だが、間違えなく前者はあり得ないだろう。まぁ、約一名、キレたらやりそうな人物はいるが。
そこまで考えて、思わずその方に視線をやると、バッチリ紅色の瞳と目が合った。慌てて目線をパソコンの画面に戻した。
うん、大丈夫。
まぁで、こうなると選択肢はメールにて聞くという、あまりにも普通なのが残るっていうわけだ。
いや、本来なら普通なのがいいんだ。
しかし、それで聞いたところで、あの理事長が答えてくれるかっていうのが問題なんだ。
俺の例の噂を消そうとこっそり奔走してくれたり(まぁコッチにはバレバレだった上に、消すことは叶わなかったが)、学園にとって何が1番メリットになるかなどを考えて行動に移したりと、普段は人として、または人の上に立つ者として、少しは尊敬できるところがある人なのだが。
偶に、そう偶に、何かやらかしてくれる時があるのだ。その度に、俺達生徒会や一部教師、風紀委員会は色々と振り回されてきた。だから恐らく、今回のこれもその一環なのだと思う。
それで、何故そういう問題が出てくるのかというと。
理事長は、自分が与えたその無茶振りや理不尽(?)等に対し、それ相当の対応と面白さを求めてくるのだ。
そのため、お気に召す方法でなかった場合、素直に教えてくれない可能性が非常に高い。
でもまぁ、提案するだけしてみるか。
これ以外特に思い付かないし。
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