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第10話

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「アハハハー!!」

「会長、何やってるのさー」

「「ジメジメかいちょー(会長)だー!!」」

 とうとう堪えきれなくなったらしい。双子は盛大に笑い始めた。会長が年上であるということに関する遠慮なんて破片も無く、ついには腹を抱えだす始末だ。


「はぁ……会長、何しているのです?そんな事してる暇があるのなら、書類を少しでも片付けて下さい。あと慶、そんな人の近くに居ると陰気臭いのが移りますよ。早くコチラに来なさい」

 副会長は、絶対零度の目線できのこ栽培をしている会長を一瞥いちべつした。かと思うと、すぐに温度をいくらか目線に宿し、未だに会長を撫でている慶を見て優しくさとしていた。
 なんていうことでしょう。この人が1番辛辣だった。


「なんか分からないけどぉ、会長どんまぁい」

 俺はいつも通り、へらっと笑う。

「………」

 更に湿気が高くなり、きのこ栽培の規模を拡げた会長。
 このままだと、生徒会室がきのこだらけになってしまう。


「かいちょ…こと、ば…み、な…さえぎ、た…。…かいちょ、おちこ、だ…」

 このままではいけないと悟ったようだ。慶は、会長がこうなった理由わけを俺達に一所懸命に説明し始める。が、その右手は相変わらず会長の頭を撫でたままだ。いつまで撫でているつもりだろうか。

 まぁとにかく、会長がこうなった理由は慶のおかげで分かった。俺達に言葉を何度も遮られて、そのせいで隅できのこ栽培を始める程落ち込んだらしい。

 うん、理解はできた。しかし─
 
「ん~…あれぇ?俺たちぃ、会長の言葉を遮ってたけぇ?」

「…そういえばそうですね。いつ遮っていたでしょうか」

「どうだったけー、奏?」

「覚えてないよね、楓」

「「ねー!」」

 会長の言葉を遮っていた覚えは全く無いが、慶がそう言うならそうだったのだろう。
 つまり俺達の会長イジり(?)は、無意識下でも行われるぐらい、身に付いているということだ。

 ここまでくれば、もはや遺伝子レベルだなw



「…嘘だろお前ら…」

 当の会長は青天の霹靂というばかりに、ショックを受けたらしい。そのあまりの衝撃に、きのこ栽培をすることを忘れて呆然としている。


「あそこで固まっている会長は放っておいて、私達はさっさと書類の山を片付けますよ」

「えぇー!れいれいの人でなしー!」

「僕らはマコちゃんが用意してくれたー」

「「カフェオレ(レモンティー)とクッキーで一休みしてからがいいー!!」」

「ココ、ア…のむ…」

「はぁ…。まぁ折角水無月が淹れてくれたんです。まだ温かいうちに飲んでしまいましょうか」



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