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第5話
しおりを挟む残り半分を食べ終え、副会長について行った俺は今現在、生徒会室にいた。
「………」
「…………」
「……………」
いや、普通に気まずい。副会長、何か言って。
「水無月」
「は……うん、なぁに~」
危なっ…思わず素でいきそうになった。
大丈夫、バレてない、よね?
「昨日はよくも帰ってくれましたね」
「あ、あはは~…」
あぁ、良かった。この分だとバレてなさそう。
まぁ、あれだけではバレないか。
「全く…許可も出してないのに勝手に帰るだなんて…」
「えっとぉ、ごめんねぇ~」
「はぁぁ、どうせ貴方のことです。面倒くさいとか思ったのでしょう?それか、約束でもあったのでしょうね」
確かな嫌みと嫌悪感を含ませて副会長は吐き捨てる。
「…さぁ、どうでしょうかねぇ~」
「貴方のそういうところが嫌いなんですよ」
どうせ、仕事なんてしてないでしょう。
「今日はきちんとしてもらいますよ」
「…あはは~、分かったよぉ~。流石に今日はもう怒られたくないしねぇ~」
「それならいいです」
それだけ言うと副会長は先に生徒会室を出ていった。
完全に1人である。
「ははは…しょうがないとはいえ、結構毒吐かれたな」
小さな声でボソッと呟く。
俺は、副会長に嫌われている。
勿論普段は普通に話すし、そこまであからさまではない。
でも、ふとした時や2人だけの時は言動の節々に毒が混じる。
そもそも何故嫌われているかというと、恐らく俺のウワサが原因だろう。
曰く、俺には大勢のセフレがいると。
曰く、頼まれれば誰とでもねると。
チャラ男を演じていることと、俺が否定も肯定しないことがウワサを助長させている。
実際は、セフレもいないし、誰とねたこともない。
今まで噂を信じた何十人かにお誘いをされたことがあるが、先約がいる(野良猫の世話)と言ったり、用事があると言ったりして、のらりくらりと回避してた。
まぁ、その現場を何度か見られてたからな。
だから、副会長は、というより、この学園のほとんどの人がその噂を信じている。
信じてないのは、“僕”を知っている理事長と極一部教師ぐらいだ。
信じてないっていうより、噂が嘘だと分かっているというのが正しいがな。
だからというわけでもないが、彼らは俺のことを心配している素振りを見せたり、コソコソと行動していたりする。
気付かれてないと思ってるのだろうが、俺は何となくだが感づいている。彼らがその噂を少しでも消そうとしていると。
俺が、僕が、傷付かないように。
「…まぁ、僕は嫌われてももうどうでもいいけど……」
そう、どうでもいいんだ。
もう期待して、信じて、絶望を、苦しみを、悲しみを感じたくないから。
それに、どうせもう僕は何も………
「「あー!マコちゃん、ここにいたのー?!もうすぐ昼食時間終わるよー!」」
「…あれぇ~?もうそんな時間なのぉ~?」
「「そうだよ!ほら、午後は出るんでしょー!」」
早く行くよー!
「うん、今行くよぉ~」
俺は先程までのくだらない感傷を捨て、双子の後に続いて授業を受けに教室ヘ向かった。
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