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3.言い渡された婚約破棄

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 スザンヌの歌が終わり、パーティー会場は拍手と声援に包まれた。
 スザンヌは優雅にお辞儀をし、隣に立つディスタルと微笑み合う。

「スザンヌ、やはりお前は最高の女だな」

 ディスタルはそう言うと、スザンヌの腰に腕を回し抱き寄せた。

「簡単な頼み事一つ満足にできず、婚約者である俺に恥をかかせる女とは違い、お前は本当に素晴らしい。その美しさ、堂々とした佇まい、スザンヌ、お前こそ、この俺にふさわしい。どうか俺の婚約者に……いや、妻になってくれ」
「まぁ、ディスタル様……」
「そして、アリア・ファインズ。お前との婚約は、破棄させてもらうぞ! 俺からの簡単な頼み事一つも満足にできないのだから、仕方ないだろう。父上、母上、アリア・ファインズは公の場でこれだけの失態を犯したのです。異論はありませんね?」

 突然突き付けられた婚約破棄宣言を聞いても、声が出せないアリアは何も言う事ができず、好奇の目にさらされるしかなかった。
 また、彼女を息子の妻にと望んだ国王夫妻も、アリアの両親も弟も、ディスタルが口にした婚約破棄と、新たな婚約者の決定を止める事は出来なかった。

「アリア、大丈夫かい。今日はもう、失礼しよう……」
「そうです、アリア姉様、家に帰りましょう」

 父親であるエランド・ファインズ公爵と弟のクリスが震えながら立ち尽くすアリアに近づき、彼女の好奇の目から庇い、支えてくれた。
 アリアはパーティー会場を出るまで、自分の足で必死に歩いたが、会場を出た瞬間崩れ落ちるように倒れ、意識を失った。
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