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第4章:ゴブリン・スタンピード
ソフィー・オブルリヒト②
しおりを挟む「アルディナ様とアルバトス様は、私にとても良くしてくださいました。何も知らなかった私に文字を教え、マナーを教え、他にもいろいろなことを教えてくださいました。お亡くなりになってしまわれましたが、今でもアルディナ様は私の主です。そんなアルディナ様の兄君であるアルバトス様に濡れ衣を着せるなど、私は亡きアルディナ様に死んでお詫びしたい気持ちでいっぱいです!」
「母様ぁっ……ごめんなさいっ……でも……でもっ……」
泣きながら謝るエミリオ。
これってやっぱり、言いたくても本当の黒幕が言えない状態なんじゃないかな?
ユリウスへと目を向けると、エミリオのお母さんに、
「もういい。ソフィーさん、すまなかった」
と声をかけて、エミリオのお母さん――ソフィーさんの首に突き付けていたショートソードをしまった。
ソフィーさんは首を横に振り、自分の命で償うことができるのならいつでも差し上げますと、ユリウスの前で膝をつき深く頭を下げる。
ソフィーさん、どうしてユリウスに対して、そんな態度をとるんだろう?
まるでユリウスが誰なのか、知っているように見える。
「どういうつもりだ?」
「アルディナ様が居られない今、私の主はあなた様です。先ほども申しましたが、この命を差し出せとおっしゃるなら、いつでも差し出します」
ユリウスの問いに、ソフィーさんは淡々とした口調で答えた。まるでそれが当たり前のことのように。
ソフィーさんのこの答えって、もう完全にユリウスの正体に気づいているって感じだよね。
さすがのユリウスもこれには本当に驚いているみたいで……彼は深い息をつくと天井を見上げ、
「本当にあの人は、こうなることがわかっていたのかな……。どこまで先を読んでいるんだろう……」
と呟くように言うと、私を見つめ、そして私が抱っこしているサーチートを見つめ、言った。
「サーチート、伯父上につないでくれないか?」
と――。
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