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第4章:ゴブリン・スタンピード

呼び出し②

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『おい、ユリウス! 別にいいじゃねぇか! 力を貸してくれよ! それに、今回のことはお前だって無関係じゃねぇんだ!』

「どういうことだ?」

『ガエールの冒険者ギルドで、あの黒魔結晶を持った男を捕まえたらしいんだ。俺たちはその件で呼ばれている。お前も気になるだろう?』

「それは……」

 もちろん気になるだろう。私だってそうだ。
 あの巨大熊の額に突き立てられた、邪悪な黒魔結晶。
 それを持った男って、一体何者なの?

『この時間に呼び出された理由はわからないが、周りに知られないようにするためでもあるだろう……ユリウス、悪いが頼まれてくれ。東の門を出たところで待っている』

「あぁ、わかった……。すぐに行くから、待っていてくれ」

 再び緑の魔結晶のボタンを押して通信を切ると、ユリウスは深い息をつきアルバトスさんを見つめた。

「ガエールの冒険者ギルドが、黒魔結晶を持った男を探しているとは聞いていましたが……ちょっと見に行ってきます。伯母上に会う可能性もあるかと思いますが……」

「多分、いらっしゃるでしょうね。あの方はいろんなところに首を突っ込まれますから」

「そうですね」

 そうかぁ、エリザベス様もいらっしゃるのなら、危険はないのかな。
 私もついて行こうと用意を始めると、同じく用意をしようとしたユリウスが、不思議そうな表情をした。

「オリエ、もしかして一緒に来るつもり? もう夜遅いよ? 眠くないの?」

「大丈夫だよ。だって、私だって気になるし……それに、聖水が必要かもしれないでしょ!」

 この間ポーションを作ったときに、聖水も作ってたんだよね。
 黒魔結晶を浄化するなら、聖水が必要になるはずだ。
 そしてその聖水を作った私は、多分その場に立ち会ってもいいはずだと思う。

「ユリウスくん、ぼくも行くよ!」

 サーチートがちっちゃい手を挙げた。

「え? どうして?」

「そうだよ、サーチート! もう夜だよ! 眠くないの?」

「眠くないよ! ぼくだって気になるもん! ついて行くよ!」

「えーっ!」

 私はともかく、サーチートまで連れて行ってもいいのかな。
 サーチートを止めてくれないかなとアルバトスさんを見たけど、アルバトスさんは優しく微笑み、頷いていた。
 どうやら止めるつもりはないみたいだし、連れていくかな。

「では叔父上、ちょっと行ってきます」

「ええ、行ってらっしゃい。それから、ユリウス……」

「はい、何でしょう?」

「……あなたの判断に任せますから、好きにしなさい」

「え? はい……」

 家を出る前、アルバトスさんが不思議な言い回しをして、私たちを送り出す。
 一体どういう意味なんだろう?
 すごく気になったけれど――今はそれを聞く時間はなかった。

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