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第4章:ゴブリン・スタンピード

報告と注文①

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 オブルリヒト王国の森を巡ってゴブリンが居るかどうかを確かめようツアー、一日目終了。

「つーかーれーたー! 怖かったよー! でも、ぼくは頑張ったー! 頑張ったー! 頑張ったんだよー! アルバトス先生―! ぼく、ものすごーく頑張ったんだー!」

 シルヴィーク村の家に戻ってきた瞬間、サーチートは疲れたことと頑張ったことを猛アピールして、アルバトスさんの腕に飛び込んだ。
 アルバトスさんはサーチートの体を優しく撫でながら、頑張りましたね、とサーチートを労っている。

「あ、そうだ、アルバトス先生、これ、作ってくれてありがとう。可愛くてかっこよくて、ぼく、ものすごーく気に入っちゃったよ」

「そうですか、アルバトスくんに喜んでもらえて嬉しかったです。本当に可愛らしいですね! よくお似合いです」

 サーチートは照れたように笑うと、もう一度アルバトスさんにありがとうとお礼を言った。
 シルヴィーク村に戻る前に、蝶ネクタイの魔道具のスイッチは切られているので、声のサイズは普通になっている。
 もう家に戻ろうかということになったときに、サーチートを抱き上げたユリウスが、スイッチをオフにしたのだ。
 サーチートは蝶ネクタイの魔道具によって自分の声が大きくなっていたことに、全く気づいてない。

「ユリウス、それで、どうでしたか? 今日一日で、どれくらい回ってきたのですか?」

「半分くらいですね。残りは明日にする予定です。それなりに大きな森では、ゴブリンは平均五十匹、小さな森では平均二十匹くらい居ました。普通のゴブリンばかりで、じホブゴブリンなどの上位種は居ませんでした」

 ユリウスがアルバトスさんにそう言うと、ハーイ、とリュシーさんが手を挙げた。
 はい、リュシーくん、とアルバトスさんに当てられたリュシーさんは。言う。

「アタシ、明日は行かないんで、よろしく!」

「え? どうして?」

 サーチートがリュシーさんを見つめた。その目はずるいと非難する目をしている。
 サーチートはきっと、森に行きたくないんだね。

「どうしてって、スパイダーの解体をするからに決まってんじゃん~! 明日で森の見回りを終わらせて、明後日にはゴムレスさんに報告に行くつもりなんだろ? アタシ、そのときに要らない部位を冒険者ギルドに売ろうと思ってさ」

 スパイダーの解体と聞いて、背筋に悪寒が走った。
 それに気づいたんだろう、リュシーさんがからかうように解体の方法を教えてあげようか、なんて言ったけれど、丁重にお断りした。蜘蛛の魔物の解体なんて、絶対にごめんだ。
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