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第3章・冒険者デビュー
魔法屋に行こう①
しおりを挟む「ハーイ、クラウドさん、お久しぶりぃ~!」
クラウドさんという人の魔法屋は、リュシーさんの店、スタイリッシュ・アーマーから十分程の距離で、スタイリッシュ・アーマーよりも中央にあるギルド寄りだった。
お店の大きさはスタイリッシュ・アーマーの三分の一くらいの小さいお店で、中に入ると、カウンターの向こうに一人男の人が居るだけで、お客さんは誰も居なかった。
「おう、リュシーじゃないか! 珍しいな、お前が来るなんて! そんでもって、なんかすげーの連れてるな」
「ふっふーん、すげーの連れてるでしょう~。この子ら、アタシのお友達なの~」
「ほぉ~」
男の人――クラウドさんは、ユリウスと私を見て、楽しそうに笑った。
赤茶色の明るい髪に、少し垂れ気味の金茶の瞳。
魔法屋と言うから、魔法使いが着ているような、ズルズルのローブを着たおじいさんかと思っていたんだけど、四十代前半から半ばくらいの爽やか系の男の人だった。
四十代くらいの人ってさ、今の私よりはかなり年上だから、おじ様ではあるんだけど、元の私からすると年下だからさ、ちょっと表現に悩む。
でも、四十代前半って言ったら、アルバトスさんと同じくらいだよね。
それに、ゴムレスさんやローレンスさんも同じくらいだ。
もしかして、みんな知り合いだったりしてね。
ちなみに、すげーのっていうのは、多分ユリウスの事だろう。
「こっちの、ルリアルーク王の色が完璧に揃ってる子が、ユリウス。そしてこっちのお嬢さんが、ユリウスの奥さんのオリエちゃん。それから、このちっちゃいのが、サーチート!」
リュシーさんは私からサーチートを取り上げると、カウンターの上に乗せた。
「こんにちは~。ぼくの名前は、サーチートだよ~。オリエちゃんのスマホなんだ~」
「え? スマホ? 何だ、それ?」
首を傾げるクラウドさんに、私は従魔ですと答えた。
サーチート、自分はスマホって自己紹介するけど、スマホの説明が面倒なんだよね。
「まぁ、なんでもいいけどな。サーチートだっけ? 可愛いなぁ、こいつ」
「そうだよ、ぼくは可愛いんだ!」
クラウドさんに抱っこされて撫でられて、ドヤ顔をするサーチート。
うん、そういうところも可愛いし大好きなんだけど、ちょっとお調子者が炸裂しているね。
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