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第3章・冒険者デビュー

秘密の告白②

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「リュシーさん、キッチン、お借りしています!」

 声をかけると、リュシーさんは、あぁ、と頷きはしたものの、首を傾げた。
 どうしたのかと聞いてみると、ソフィーさんはどこに行ったのかと言う。

「俺の勝手な判断なのだが、ガレウスさんとソフィーさんには、三日ほど家を空けてもらったんだ。お金を渡して、宿でゆっくりしてもらうように言ってある」

 ユリウスがそう説明すると、リュシーさんは少し驚いたようだけど、苦笑しながらありがとうとお礼を言った。

「お金返すよ」

「いいって。俺が勝手にしたんだから」

「そう? じゃあ、ありがと。アタシもガレウスさんとソフィーさんが戻って来る頃には、いつものアタシに戻るようにする。クソ王子のせいで、完全に自分を見失ってたよ。ガレウスさんとソフィーさんの二人には、悪い事をしてしまった。あと、ジル、アンタにもね」

 リュシーさんは隣に座るジルさんを、優しい目で見つめた。

「いいのよ、リュシー……」

 ジルさんは瞳を潤ませて、リュシーさんを見つめ返す。
 ジルさんって、すごく健気な人だよね。
 それでいてしっかりとした、素敵で大人な女性だ。
 元の私よりも若いけれど、私はこんなふうに素敵な女性にはなれなかったから、すごく憧れちゃう。

「これ、どうぞ」

 キッチンをお借りして作ったスープとサンドイッチを出すと、リュシーさんもジルさんも喜んで食べてくれた。
 やっぱりお腹が空いていたみたいだ。
 食後に紅茶を出すと、

「ねぇ、ユリウス。さっきの話なんだけど、そろそろ話してくれないかな」

 とリュシーさんが言った。
 ユリウスは、あぁ、と頷いたけれど、黙り込む。

「ユリウス?」

 どうしたのかと聞くと、何から話そうかと考えていたらしい。
 確かにユリウスの生い立ちは複雑だから、どこから話せばいいか悩むのも仕方ないのかもしれない。

「簡単に言うとさ、ローレンスさんが言っていた事が正解なんだけど、リュシーは覚えているか?」

「何だっけ?」

「俺がユリアナに似ているって言ってただろ? 覚えていないか?」

 そう言えば、ローレンスさんがそんな事を言っていたなぁと、私も思い出す。
 あの時は、ものすごく驚いたんだよね。
 ローレンスさんって、なんて鋭い人なんだろうって。

「ちょ、ちょっと待って……。確かにそう言っていたけど、ローレンスさんが言っていた事が正しいって言うのなら、アンタがユリアナ王女って事になるんだけど……え?」

 リュシーさんの言葉に、ユリウスは頷いた。

「だから、俺がユリアナなの。特殊な魔法で、本当は男なんだけど、女として生まれて育てられたんだ」

 リュシーさんもジルさんも、驚き過ぎたのか、目を見開いてユリウスと私を見つめていた。
 そしてユリウスは淡々と、彼と私の話をリュシーさんとジルさんに話し始めた――。

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