234 / 277
第3章・冒険者デビュー
商人ギルドからの依頼①
しおりを挟む二日後、私たちは再び商都ビジードの冒険者ギルドを訪れていた。
目的は、ゴブリン討伐の依頼を再び受けるためだ。
ゴブリンホイホイ状態のサーチートに、本当にリカバーの効果があるのかを確かめたかったし、ネーデの森で私たちが倒したゴブリンの数を聞いたアルバトスさんが、その数の多さが気になると言ったからでもある。
アルバトスさん曰く、もしかするとゴブリンが異常発生しているのではないか、との事だった。
そう言えば冒険者ギルドのギルドマスターであるゴムレスさんも気にしていたから、確認がてら聞いてみた方がいいかも。
ところで、何故商都ビジードを訪れたのが二日後なのかというと……それは察してもらいたい。
とある事情から体がだるくて、動けなかったからだ。
「おい、お前ら、どこに行っていたんだ!」
冒険者ギルドに入るなり、私たちを見つけたゴムレスさんが、怒鳴りながら近づいてきた。
一日空いただけなんだけど、どうして怒鳴られなくてはならんのか。
というか、冒険者ギルドのギルドマスターが、どうしてこんなに私たちを探すのか。
「何かあったのか?」
「あった! お前ら、ちょっと来い! おい、隣に行ってローレンスの野郎を呼んで来てくれ!」
ゴムレスさんは受付の女の子にそう指示すると、私たちを連れて奥にある応接室へと向かう。
五分もしないうちに、ローレンスさんが私たちの居る応接室を訪れた。
「やぁ、ユリウスさん。オリエさん、こんにちは」
「はい、こんにちは」
商都ビジードは、冒険者ギルドと商人ギルドの建物が並んで建っているから、すぐに行き来できるんだろうけど、商人ギルドのギルドマスターであるローレンスさんが、冒険者ギルドに居るのは、とても不思議な感じだ。
「今回は、お二人にお礼と依頼がありまして」
「お礼と依頼?」
「はい。二日前、ネーデの森で、木を伐り出しに行っていた工務店の人たちを助けてくださったでしょう? あの工務店には、商人ギルドから依頼をしていたもので、親方から聞いて驚きましたよ。本当に、ありがとうございました」
「いや、とんでもないです……」
確かに助けたけれど、サーチートのゴブリンホイホイのせいで、ゴブリンが増えちゃったのもあるし、こっちも迷惑かけてたはずだし、ね……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
188
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる