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第2章・のんびりまったりスローライフ?
ルリアルーク王の衣装①
しおりを挟むどっさりと置かれた、いろんな色、いろんな種類の布。
リュシーさんはそれを、上半身裸のユリウスに巻き付けていく。
「わぁっ……」
結論から言おう。
なんというか、夢のようなひと時だった。
リュシーさんは魔法使いのように、私のユリウスを着飾らせてくれたのだ。
「ユリウス、いいね~、いいよう~」
「オリエ……俺、布を巻きつけられているだけなんだけど」
「うん、確かにそうなんだけどねぇ~」
リュシーさんは布を巻きつけながらも、器用に服の形に整えていくのだ。
リュシーさんがイメージしているものが、どんどん形になっていくのがわかって、面白い。
「アタシさ、やっぱ、あんたの肌には、白が似合うと思うんだよねぇ」
ユリウスの褐色の肌に白い布を当てながら、リュシーさんが言った。
確かに、白っぽいのもいいよね。
ユリウスは黒っぽいものを着たがるんだけど、白はユリウスの褐色の肌に、とても良く映えると思う。
「やっぱ、白の軍服かな。それから、マントは赤か、青でもいいけど……うーん……」
「マント!」
白い軍服に、赤か青のマント! 確かに、どちらも捨てがたい!
でも、思い切って、白のマントでもいいんじゃないかと言うと、リュシーさんも興奮気味に頷いた。
「軍服の方には、アイアンスパイダーよりも上位種のスティールスパイダーから採った糸を、極限にまで細くした金銀銅の糸で、刺繍加工をしようかなって思ってる。軽いのに、鋼の鎧と同等の防御力が得られるんだ! どう? いい感じでしょ!」
「はい! すごく、いいです! すごいですよ! ユリウス、良かったね!」
興奮する私とリュシーさんを見たユリウスは、はぁ、と深いため息をついた。
「あのさ、作る服ってさ、俺の服じゃないだろ?」
「え? あー!」
「あぁ、そうだった。途中から本気であんたに作る気でいたよ」
「何言ってんだよ、あんた……」
リュシーさんを呆れたように見たユリウスは、また深いため息をついた。
私も、何故だかわからないんだけど、この服はユリウスのためのものだって、途中から本気で思っていた。
でも、この服はユリウスのものではなく、ジュニアスのためのものなんだよね。
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