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第2章・のんびりまったりスローライフ?

実は……

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「わぁ、オリエちゃん、商都ビジードに着いたね! ものすごーくお店がたくさんあるよ! 人もたくさんいるよ! いろんな美味しそうな匂いがしているよ! オリエちゃん、すごいねー!」

 門をくぐるとまず目に入ったのは、いろんな色、いろんな形の建物のお店と、そのお店を訪れる大勢の人だった。
 門のそばにあるお店は食べ物屋さんが多くて、美味しそうな匂いにお腹が鳴りそうになる。

「ここ、すごく活気のある街だね」

「まぁ、商都っていうくらいですからね。この街に来れば、欲しい物はほぼ揃いますよ。食べ物も、いろんなものがあるからすごく楽しいですし」

「ユリウス様、これからどうしますか? もう夕方だし、まず宿を探して、それから食事に行きますか?」

 そう言ったジャンくんに、ユリウスは少し考え込み、首を横に振った。

「お前たちは先に宿を探して、食事をしてくれていい。オリエも連れて行ってあげてくれ」

「え? ユリウスはどうするの?」

「俺は……」

 ユリウスは肩からかけているマジックバックをぽんと叩いた。

「先に、こいつを引き渡してくるよ」

 ユリウスのマジックバックに入っているのは、あの巨大熊だ。
 つまりユリウスは、先に冒険者ギルドに行こうとしているという事だ。
 そうだよね、あんな不気味なもの、早く手放したいもんね。
 一人で行ってくると言う彼に私も付いて行くと言うと、ぼくも、とサーチートが手を挙げた。
 だけど、ジャンくんもモネちゃんは、別行動をすると言う。

「報告が遅れましたけど、実は俺たち、身バレしちゃってるんですよね」

「え? そうなの?」

 ジャンくんとモネちゃんを見ると、二人はこくんと頷いた。

「スモル村は隣の村ですからね。俺はそんなに親しくなかったから大丈夫だと思ってたんですけど、村長さんに、シルヴィーク村の村長の息子じゃないかと言われました」

「私も同じです。スモル村の雑貨屋で、ハロン商店のマルコルの娘じゃないかって言われました。で、村は一体どうなっているのかって聞かれて……。私たち、親に付き合いを反対されて駆け落ち中で、その間に村で何かが起こってしまって何もわからないって言って、誤魔化したんですけど」

「なるほど、ね。まぁ、そんなに親しくなかったのなら、その理由でも通るか……」

「はい。でも、冒険者ギルドや商人ギルドに行く時に一緒に居ると、もしも俺やモネの事を知っている人が居ると、怪しまれるっていうか、ユリウス様やオリエさんの素性を探る者が出てくる可能性があると思うんです。もしかすると、ジュニアス王子がギルドに手を回しているかもしれないですし」

 ジャンくんの話を聞いたユリウスは、確かにそうだなと頷いた。
 この街に入場する時に見せたギルドカードの登録場所が、シルヴィーク村だという事も、怪しまれる可能性の一つになっているのかもしれない。

「俺の考えが浅かったようだ。すまない。では、冒険者ギルドや商人ギルドで行動を共にするのはやめよう。待ち合わせは、どうしようか」

「じゃあ、ぼくがジャンくんとモネちゃんに付いて行くよ」

 はい、ともう一度元気よく小さい手を挙げて、サーチートが言った。
 サーチートがジャンくんたちと一緒に居るのなら、こちらの用事が終わった後に、私がテレパシーで連絡をすればいいだけだから、簡単だよね。
 ジャンくんとモネちゃんは、とりあえずは今あるお金で小売店を回って、必要な物を買い集める事にするらしい。

「じゃあ、後で」

「はい、連絡、お待ちしています」

「オリエちゃん、また後でねー!」

「はーい、また後でねー!」

 サーチート、ジャンくん、モネちゃんと別れ、私とユリウスは、この商都ビジードの冒険者ギルドへと向かった。

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