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第2章・のんびりまったりスローライフ?
うわ言②
しおりを挟む「あのね、ユリウス。ユリウスはさ、どうしても自分のステータスが気になっちゃうんだよね?」
私の問いに、ユリウスはしばらく黙ったままだったけれど、やがて頷いた。
「俺は、ルリアルーク王になんてなりたくない。ただの一人の男でいいんだ。君がそばに居てくれるだけで、それだけでいいんだ」
以前、何をすべきか、何がしたいのかがわからない時には、立ち止まってゆっくりすればいい、何かしたくなるまで何もしなくていいってユリウスに言った事があるけど、真面目な彼は、どうしても気になってしまうんだろうなぁ。
「じゃあさ、ユリウス。一つ提案があるんだけど、言ってもいいかな?」
私がそう言うと、何? とユリウスは首を傾げた。
「ユリウスがルリアルーク王である事が嫌だっていうのなら、他の人にそれを押し付けちゃおうよ。ちょうど、なりたいっていう人が居るんだしさ」
「え?」
驚くユリウスに、私はにんまりと笑いかけた。
鏡を見なくてもわかる……多分今の私は、かなり悪い顔をしているはずだ。
「それって、ジュニアスの事?」
眉をひそめてユリウスは言い、うん、そうだよ、と私は頷いた。
「私も、聖女の役は、あの人――ジュンに押し付けちゃおうと思う。だって、あの人も自分は聖女だって言っていたからね。だから、ユリウス。あなたはもうルリアルーク王じゃない。髪もさ、隠すのやめようよ。ユリウスの姿を見た人たちがルリアルーク王みたいだねって言っても、ルリアルーク王は別に居るって言って、堂々としていたらいいじゃない。ユリウスは、こういうのは嫌?」
私の提案を聞いたユリウスは、少し考え込んだ。
ルリアルーク王を押し付ける相手が、ジュニアスだという事が引っかかっているんだろうけど、ユリウスがルリアルーク王の事も、ジュニアスの事も嫌だというのなら、一石二鳥じゃないかなって私は思うんだけどね。
「ふっ……」
やがて、黙り込んでいたユリウスが笑い、金色の瞳を細めて私を見つめると、言った。
「オリエは、すごい事を考えるね」
「そうかな?」
「そうだよ。少なくとも俺は、思いつかなかった。だって、大嫌いなあいつを喜ばせるだけだからね。でも、それもいいかもしれないね。俺はルリアルーク王になんてなりたくないし、ジュニアスに押し付けてしまえば、少しはすっきりするかもしれない」
「じゃあ、ユリウスも私も、今はただの冒険者って事でいい?」
「あぁ、それでいい。それでいこう。オリエ、君ってやっぱり最高だ!」
どうやらユリウスも、その気になってくれたようだ。
私たちは顔を見合わせると、声を上げて笑った。
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