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第2章・のんびりまったりスローライフ?
人間離れした力②
しおりを挟む「な、何?」
辺りに焦げ臭いにおいが漂っていて、巨大熊は右腕を庇うように左腕で押さえていた。
「痛いか? じゃあ、斬り落としてやるよ」
ユリウスは右手を前に出すと、ウインドアローと呪文を唱える。
風の矢が雨のように巨大熊を襲った。
巨大熊は左腕で防御をしたけど、風の矢が収まった時には、ユリウスは腰に下げていたロングソードを引き抜き、無防備になった巨大熊の右腕を斬りつけていた。
巨大熊が絶叫し、左腕を振り回して威嚇する。
だがユリウスは素早く巨大熊の抵抗を避け、再び巨大熊の右腕を狙って斬りつけた。
ガキンという音の後、ごとんと巨大熊の太い腕が落ちた。
密着して火属性の魔法を使ったのか、落ちた腕は、ひどく焼けただれている。
そしてガキンという音は、巨大熊の右腕を斬りつけた時に、ユリウスのロングソードが折れてしまった時の音だ。
「やっぱり、折れたか……」
ユリウスはそう言うと、片腕を失い、怒り狂って襲い掛かってきた巨大熊の開いた口に向かって、折れた剣のグリップを投げつけた。
ユリウスの投げた剣は巨大熊の口へと吸い込まれ、ちょうど鍔の部分が縦になって、口が閉じられなくなってしまう。
「苦しそうだな。だけど、お前はオリエを狙い、攻撃をした……絶対に許さないっ」
ユリウスはそう言うと、もう一本のロングソードを引き抜き、巨大熊へと斬りかかる。
もちろん巨大熊の方は暴れたけれど、ユリウスはまたその攻撃を避け、熊の腹部を狙い、何度も斬りつけた。
「あっ……」
十数回攻撃を加えたところで、ガキン、と音を立てて、ロングソードがまた折れてしまう。
だけどそれはユリウスにとって想定内の事だったようで、グリップ部分を投げ捨てると巨大熊の懐に潜り込み、斬りつけた腹部へと拳をめり込ませ、叫ぶ。
「ヒートニードル!」
「ウグアァァァ!」
腹部にユリウスの拳をめり込ませたまま、巨大熊が絶叫した。
逃げたいのだろう、巨大熊は体をよじったが、ユリウスは拳を巨大熊の腹部にめり込ませたまま、もう一度ヒートニードルと呪文を唱える。
その呪文がどんなものなのかというのは想像しかできないけど、その呪文を受けたものは、熱くて尖がったもので抉られるような痛みを受けるのではないだろうか。
考えただけでも、ぞっとする。
「痛いか? でも、絶対に許さない……。もう一発お見舞いしてやるよっ」
一発どころか、ユリウスはその後五発はヒートニードルを連発し、巨大熊が後ろに倒れかけたところで、腹部にめり込ませていた拳を引き抜き、巨大熊の首を蹴り飛ばした。
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