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第2章・のんびりまったりスローライフ?
VS巨大熊①
しおりを挟む「オリエ! 大丈夫か!」
私、一体どうしたんだろう?
気が付くと、ユリウスに抱きかかえられていた。
ユリウスは泣いていて、彼の零した涙がぽとりと私の顔に落ちる。
「良かった、オリエ……。どこか痛いところはないか?」
痛いところ?
あぁ、そうか。私はさっき、あの巨大熊が叫びと共に放った衝撃波みたいなのに吹き飛ばされたんだった。
運悪く吹き飛ばされた先に木があって、結構強く体をぶつけてしまったから、体が痛い。
だけど、私を心配するユリウスを見ると、それを言う事はできなかった。
後からヒールをかければ、痛みもなくなるだろう。
だから、大丈夫だよ、とユリウスに伝えようとして――私は悲鳴を上げた。
私の視界に入ったのは、ユリウスの数メートル後ろまで近づいていた、巨大熊だった。
「ユリウス!」
私が叫ぶと同時に、ユリウスは私を抱えたまま左に跳んで巨大熊が振り下ろした右腕から逃れた。
助かって良かったと思う気持ちと共に、私はあの巨大熊をもう元に戻してあげられない事を悲しく思った。
一体誰があの熊の額に、操るための魔結晶を突き刺したのだろう。
巨大熊は目を血走らせ、涎を垂れ流しながら、私を抱いたユリウスを睨みつけていて、ユリウスもまた巨大熊を睨みつけていた。
「ユリウス様! オリエさん! 大丈夫ですか!」
ジャンくんとモネちゃんが駆け寄ってきた。
モネちゃんはサーチートを抱っこしてくれている。
きっと、さっきの衝撃波で転がったサーチートを助けてくれたのだろうな、なんて事をぼんやりと考えていると、サーチートはモネちゃんの腕からぴょんと私の方へと飛び移った。
「オリエちゃん、大丈夫?」
サーチートは私の顔を心配そうな表情で覗き込み、言った。
私は大丈夫だと頷きながら、サーチートやジャンくん、モネちゃんに大丈夫かと問う。
サーチートはかなりの距離をゴロゴロと転がってしまったらしいけど、ジャンくんとモネちゃんはかすり傷くらいで済んだらしい。
周りを見回すと、スパイダーネットの呪文は解けてしまっていた。
これは、私が一瞬気を失った事が原因だろう。
スパイダーネットで捕らえていた動物たちは、巨大熊の叫びに飛び起きて、衝撃波に吹き飛ばされはしたものの、そのまま逃げて行ったらしい。
あの熊の近くに居たら、また魔物化する可能性があるし、殺される可能性もある。
良かった、と呟くと、
「オリエちゃんは優しいねぇ」
と、サーチートが笑った。
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