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第2章・のんびりまったりスローライフ?

魔物退治の依頼

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 宿屋に戻ると、二日酔いで寝込んでいたはずの、モネちゃんとジャンくんが出迎えてくれた。
 どうやら、なんとか起き上がれるようになったらしい。
 二人はまず、ユリウスと私に深々と頭を下げ、

「ユリウス様、オリエさん、申し訳ありませんでした」

 と謝った。
 ユリウスは本当なら説教したかったのだろうけど、人前でもあるからか、

「今後は気をつけるように」

 と言っただけだった。

「ユリウス様、オリエさん、実は、お二人が居ない間に、宿の旦那さんから相談を受けまして……」

「何の相談だ?」

「実は、魔物退治をユリウス様に依頼できないか、という話なんですけど……」

「魔物退治?」

「ユリウス、それって、もしかして……」

 さっき子供たちから聞いた話ではないだろうか。
 ユリウスもそう思ったらしく、あぁ、と頷く。

「ジャン、それは、ゴヤって森の洞窟にいる魔物の話か?」

「えぇ、そうです。でも、どうして知っているんですか?」

 ジャンくんとモネちゃんが、不思議そうに首を傾げる。
 ため息をついたユリウスが、

「さっき、子供たちから聞いたんだよ。お前たちが寝込んでる間に、な」

 と少し嫌味っぽく言うと、

「はは、そうですか。すみません」

「父さんたちの目もないし、ちょっとテンション、上がっちゃって」

 ジャンくんとモネちゃんは、二人揃って笑って誤魔化そうとした。
 多分、だけど、この二人はまたやらかすかもしれない。
 まぁ、二人の楽しみを止める権利なんて、本当は私にもユリウスにもないんだけど、出発前に二人のお父さんからよろしく頼むって言われているから、どうしたものかなぁと思う。
 ユリウスも同じような事を考えたのだろう、自分を落ち着かせるかのように、深いため息をついた。

「なになに? ゴヤの森の魔物の話?」

 一緒に宿に戻ってきたテッドくんとコリーちゃんが、話に混ざってきた。

「なになに? お兄ちゃんたちが、魔物をやっつけてくれるの?」

「本当? 兄ちゃん、やっぱ、すげぇ頼りになるな」

「え?」

 テッドくんとコリーちゃんが、ユリウスにキラキラした瞳を向ける。
 二人はユリウスの容姿がルリアルーク王と同じと知っているから、ユリウスに期待をしているのかもしれない。
 そして、それは子供たちの親御さんも同じかもしれなかった。

「ねぇ、なんとか、引き受けてくれないかねぇ」

 宿の女将さんが、声をかけてきた。

「最近、森を出て、ビジードからここまでの街道にまで、現れるようになったんだよ。あんた、昨日すごい量の獲物を出してきたじゃないか。かなりの腕なんだろう?」

 そうか、狼、鹿、熊、合わせて十体を、この宿に提供したんだった。
 そして解体したのは、この宿の旦那さんだ。
 旦那さんはきっと驚いたに違いない。提供した獲物のほとんどが、外傷もなく綺麗な毛皮のままなんだから。

「俺は、そんな大した腕ではないと思うが……でも、確かに、子供たちからゴヤの森の魔物の話を聞いて、気にはなっていた」

「じゃあ、旦那に案内させるから、村長に会って、とりあえず話だけでも聞いてみてくれないかい? ね、お願いだよ!」

 女将さんに手を合わせて頭を下げられては、簡単に断る事はできなかった。
 そして、テッドくんとコリーちゃんが、瞳をキラキラさせてユリウスを見つめるのだ。

「わ、わかった……じゃあ、案内を頼む」

 そして私たちは、このスモル村の村長の家に向かう事になった。


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