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第2章・のんびりまったりスローライフ?
ルリアルーク王の噂①
しおりを挟むシルヴィーク村からスモル村までの道中で狩った獣は、狼、鹿、熊など、合わせて十体。
全てを素材込みで無償提供すると言ったら、宿屋の旦那さんも女将さんも大喜びで、宿代をタダにしてくれた上、ご近所の奥様たちを誘って、今夜はご馳走を振舞ってくれると言った。ものすごく楽しみだ。
狩った獲物の無償提供は、かなりの大判振る舞いだったかもしれないけれど、ユリウスが森に行くたびに何匹か狩ってくるから、処理が追い付かなくなっちゃうんだよね。
だから、こちらとしても貰ってもらえてありがたかった。
サーチートと遊ぶ子供たちは、いつの間にか、この宿屋のテッドくんとコリーちゃんの他、近所の子供たちも混ざり、五人に増えていた。
子供たちにモテモテでドヤ顔のサーチートを眺めながら、宿屋の食堂でジュースをいただいてのんびりとさせてもらっていると、
「兄ちゃんたちは、冒険者かい?」
と、客の一人から声をかけられた。
彼はどうやら旅の商人のようだった。
「あぁ、そうなんだ。連れに商人がいて、これから、大きな町に行こうと思っている」
「それなら、ここからなら、オブルリヒトの王都オブリ―ルか、商都ビジードだが、俺のお勧めは王都オブリ―ルの方だぜ。俺もこれから、オブリ―ルに向かうつもりなんだ」
「へぇ、どうしてオブリ―ルなんだ?」
「そりゃ、あれだよ、兄ちゃん。王都オブリ―ルには、創世王であるルリアルーク王の再来だという噂の、ジュニアス王子が居るからだよ」
ぶほ、と私とユリウスは飲んでいたジュースを吹き出した。
「ルリアルーク王の再来?」
「あぁ、ルリアルーク王だ。オブルリヒト王国の第一王子、ジュニアス様は、ルリアルーク王の再来と呼ばれているらしいんだ。兄ちゃんたちは、知らなかったのかい?」
「し、知らなかったな……」
ジュニアスが言いふらしていた嘘が、真実として世間にも広がったのだろうか?
まさかこの小さな村でこんな事を聞く事になるとは、思いもよらなかった。
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