上 下
141 / 277
第2章・のんびりまったりスローライフ?

お使いクエストに行こう②

しおりを挟む


 しばらくシルヴィーク村を離れるために、私は、大魔結晶の充電をいっぱいにした。
 大魔結晶をあと何個か作った方がいいかなと思ったんだけど、

「オリエさん、あなた、何日出掛けるおつもりですか?」

 と、アルバトスさんに笑われてしまった。

「でも、なんか心配で」

「何も心配はないと思いますけどねぇ。オリエさんが心配されているのは、村の事ですか?」

「はい。お出かけは嬉しいんですけど、村から離れている間に何かあったらと思うと、心配で……」

 私がそう言うと、アルバトスさんは笑った。

「大丈夫ですよ、オリエさん。何かあったらすぐに連絡をしますし、あなたが居れば、すぐに戻って来られるでしょう?」

「それは、そうですけど……」

 すぐに連絡、というのは、テレパシーの呪文の事だ。
 今や立派なアルバトスさんの弟子であるサーチートは、アルバトスさんとテレパシーの呪文で、いつでも話す事ができるようになっているのだ。
 あと、すぐに戻れるというのは、瞬間移動呪文のテレポートの事だ。
 以前、オブルリヒトの王宮から、ホームの呪文でシルヴィーク村へと瞬間移動したけれど、そのホームの呪文の上位呪文で、一度言った場所ならどこにでも移動できるという、優れものだ。

「だから、心配する事などありませんよ。安心して、お買い物を楽しんで来てください」

「はい、ありがとうございます」

 今回の外出は、仕入れをするモネちゃんたちのボディーガードとしていくんだけど、私自身もいろいろと見て回って買い物をするつもりだ。
 お買い物資金も、ユリウスが狩った獣から取った素材や、私がコツコツと作り貯めたポーションがたっぷりあるので、売れば結構なお金になると思うんだよねぇ。
 お金といえば、元の世界で私が老後のためにコツコツと貯めていたお金は、どうなったんだろう。
 老後のために頑張って貯めていたんだけどなぁ~。

「オリエさん、何を買うかは、決めているんですか?」

「はい。とりあえす調味料類と、それから……私も、武器が欲しいかなって思ってます」

「ほう……」

 私の返事を聞いたアルバトスさんは、意外だったようだ。
 今私はユリウスの狩りに付き合って、一緒に結界の外の森に出かけたりしているんだけど、何の装備もしていないんだよね。
 現れる獣や魔物はユリウスが倒してくれるし、いざとなれば私も魔法で倒す事ができるんだけど、やっぱりこの異世界では、冒険者っぽく冒険してみたいし、装備を整えたいんだよね。

「あとは……」

「ユリウスの装備、ですね」

「はい」

 私よりも、ユリウスの装備を揃えてあげたい。
 今のところ、シルヴィーク村近くの森の中で出現する獣や魔物は、蹴ったり殴ったりで倒せる彼だけど、やっぱりちゃんとした装備を整えてあげたいんだよね。
 元の姿に戻ったユリウスは、パワーアップし過ぎていて、普通の武器が合わないのだそうだ。
 剣とか槍でも、短剣みたいに投げちゃうし、普通に剣とか槍とかを使うと、力が強すぎて、すぐに武器が壊れちゃうんだよね。
 だから今は、強化魔法で体を強化して、殴ったり蹴ったりと、自分が武器そのものになって戦っているんだけど、この村になくとも、他の村や町には、もっといい武器があるかもしれないから……。

「良いものが見つかればいいですね」

 そう言ったアルバトスさんに、はい、と私は頷いた。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

愛されない王妃は、お飾りでいたい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,356pt お気に入り:13,538

辺境伯へ嫁ぎます。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:2,027

あなた仕掛けの恋時計

恋愛 / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:13

魔法少女がいく~TS魔法少女は運が悪いようです~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:205pt お気に入り:64

折田慎之介×白咲春

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14,144pt お気に入り:7,586

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,828pt お気に入り:6,433

居場所を奪われ続けた私はどこに行けばいいのでしょうか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:646pt お気に入り:5,478

処理中です...