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第1章・異世界転移と異世界転生
結婚式②
しおりを挟む「オリエちゃんっ! オリエちゃんはどうなの? ユリウスくんをお婿さんにする? それとも、しない?」
どうしてここで、しないという選択肢が出てくるんだ?
興奮したサーチートの聞き方は、もう神父様のそれではなかったけれど、私は笑わずに頷いた。
「うん、お婿さんにします。私は、これから何があろうと、ユリウスと一緒に居ますっ」
私の言葉を聞いたサーチートは、目をキラキラさせて、
「やったぁ!」
と叫び、万歳した。
可愛らしい姿だけど、全く神父様っぽくない。
一体何故神父様役に立候補したんだろう。
だけど、ものすごく喜んでもらえて、私も嬉しかった。
笑いばかり起きる結婚式だけれど、とても幸せだ。
「じゃあ、じゃあ、チューしなきゃ! 結婚式の最後は、チューをするんだよね! 誓いのチューだよ!」
「え?」
チューだと? 確かにそうだけど、でもっ……。
こんな大勢の前で? いや、結婚式なんだから、そうかもしれないけれど……。
多分、初めてのチュー、だぞ?
「うん、そうだね!」
周りを見回した私の頭に、ユリウスの長い腕が伸ばされる。
それから、ベールをそっと上げて、
「オリエ、行くよ?」
と、私に声をかけてくれる。
「わ、わかった、いいよ! どんとこい!」
と答えたものの、チューする時って、行くよ、いいよ、って感じなんだっけ?
しかも、どんとこいってなんだ、なんて事を考えていると、ユリウスの整った顔が近づいてきた。
「オリエ、目、閉じて」
「うんっ」
思わず目を閉じると、唇ではなく頬に、ふにゅん、と柔らかなものが当たる。
びっくりして目を開けると、悪戯っぽく笑うユリウスの顔があって、耳元で囁いた。
「みんなに見せたくないから、本番は後でね」
「え? う、うんっ……」
後で? それは一体……。
くい、と首を傾げると、もう一度頬に唇を寄せられる。
それから、
「俺にもして?」
と甘えたように言われて、私は慌ててユリウスの首に腕を廻し、彼の頬に唇を寄せた。
それから、力強い腕に軽々とお姫様みたいに抱き上げられた瞬間、
「さぁ、お祝いだよー! みんなでご馳走を食べようよー!」
とサーチートが叫んで、そのまま宴会に突入してしまった。
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