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第1章・異世界転移と異世界転生
丸腰バトル①
しおりを挟む襲い掛かってきた三匹の狼を、ユリウスは近くにあった木に飛び移って避けた。
三匹の狼はスピードに乗っていたのだろう、急には止まれなかったらしく、結界であるうっすらと光る壁に激突した。
結界があるとはわかってはいたけれど、すごいスピードで突っ込んできた狼には心臓が止まるかと思うほど驚いた。
私はなんとか堪えたけれど、村の人たちの中には、腰を抜かしてひっくり返った人も居る。
結界に激突してふらふらしている狼を、ユリウスは木の上からウインドアローという風属性魔法で狙い、正確に狼の額を撃ち抜いた。
バタバタバタ、と、三匹の狼が倒れる。
ユリウスは倒れた狼に向かって、もう一発ずつウインドアローを撃ち込んみ、しっかりととどめを刺した。
「ユリウス!」
「大丈夫だ、かすり傷一つないよ」
私はほっと息をついた。良かった、ユリウスに怪我がなくて。
だけど、安心できたのは、ホンの一瞬の事だった。
木から飛び降りようとしたユリウスの十メートルほど先に、今度は熊がいたのだ。
熊の通常サイズがどのくらいかはわからないけれど、軽く二メートルを越え、二・五メートルはあるだろう。
その熊は私たちの正面に居て、多分私たちに向かって走り出す。
私たちと熊の間には結界があるけれど、その間には、木から飛び降りたユリウスの着地地点もあった。
「ユリウス、後ろっ!」
「え? うわっ!」
ユリウスは着地すると同時に地面を蹴り、熊の突進から逃れた。
突進してきた熊は、結界にぶつかって、ひっくり返る。
先程の狼の時もそうだったけど、すごく心臓に悪い。
だけど、この結界は害意を持つものを本当に拒むという事が証明されて良かった。
これで、村の人たちは安全だよね。
熊は、よほど激しく結界にぶつかったのだろう、何度か立ち上がってはひっくり返るという事を繰り返していた。
ユリウスは熊がふらついている間に懐に入り込み、熊の鳩尾に一発グーパンチをお見舞いする。
強烈なグーパンチをお見舞いされた熊は、「グハァッ」って言って前かがみになった。
そして、そこをめがけて、首を狙って、ユリウスが長い脚で回し蹴りをして……。
「え?」
「嘘でしょ?」
「ギャーッ!」
私は……いや、私たちは、信じられないものを見た。
だって、ユリウスが回し蹴りをした熊が、熊の首が、吹き飛んで地面に転がったのだ。
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