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第1章・異世界転移と異世界転生
浮かれるオリエとやきもちユリウス①
しおりを挟む私は、ユリウスの事が好きだ――自分の気持ちをはっきりと自覚した私は、幸せすぎて浮かれていた。
私、彼にまだ返事はしていないけど、告白はしてもらっているんだよね。
という事は、好きな人と、両想いって事になる。
しかも、あんなにカッコいい素敵な男の人と、両想いなのだ。
なんて幸せなんだろう……そんなふうに思うと、涙が零れてきて。
「オリエ、どうしたんだい?」
いつの間にかすぐそばまで来ていたユリウスに、驚かれてしまった。
「ユ、ユリウス、どうかしたっ?」
「いや、それは俺が聞いてる事なんだけど」
「そ、そうだねっ! 何でもないよっ」
「え? 何でもないのに、泣いてたの?」
「目、目にごみが入ったんだよっ」
ユリウスと両想いになって、幸せを噛みしめていたなんて、本人を目の前にして言うには恥ずかしすぎる。
「目にごみ? じゃあ、見てあげるよ」
ユリウスの顔が近づいてくる。
うわぁ、かっこいいっ!
私は恥ずかしくなって、ぎゅっと目を瞑ってしまった。
「目を閉じていたら、見る事ができないよ?」
確かにそうだ。私が目を開けると、心配そうな表情でユリウスが私の目を覗き込んでいた。
金色の瞳が綺麗だなと思う。
黄金のようで、蜂蜜のようで、とても綺麗な金色だ。
「もう、取れてるみたいだね」
「うん、もう痛くないよ」
もともと目にごみなんて入っていなかっんだけど、話を合わせておく。
ユリウスは良かったと呟くと、私を少し寂しそうな目で見つめ、言った。
「ねぇ、オリエ。伯父上と何の話をしていたの?」
「え? どうして?」
「いや、ちょっと、気になって……」
ユリウスは少し唇を尖らせて言った。
ユリアナだった頃には見なかった子供っぽい表情を見て、私は心の中で可愛いなと思う。
「アルバトスさんの体の事とか、今までの事をお互いにお礼を言ったりとか、そんな感じの話をしていただけだよ」
私がそう言うと、ユリウスは何故か驚いたようで、それから安心したように息をついた。
「良かった……伯父上といい雰囲気になってたのかと思ったよ……」
「何故!」
「オリエの好みは、伯父上みたいな大人な男かと思っていたからさ」
「え? だから、何故!」
私、さっきから何故としか言っていないけれど、聞かずにはいられなかった。
「ほら、俺は君がこちらの世界に来てから、結構君のそばにいたけれど、元の世界では君は多分、俺より年上だったはずだし、俺なんて子供みたいなものなんじゃないかと……」
そう言って俯いたユリウスを見て、私はもしかして、と思った。
もしかしてユリウス、やきもち妬いてるの?
「呆れられるの覚悟で、はっきり言うけど、俺、妬いてるから!」
うわぁ、本当に妬いてた。
私は自分の顔が真っ赤になるのを感じていた。
ユリウスも、ちょっとわかりにくいけれど、褐色の肌を赤くさせている。
ここは変な誤解をされない内に、ちゃんと言っておいた方がいいよね。
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