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第1章・異世界転移と異世界転生
悲しい別れ②
しおりを挟む「アルバトス先生ーっ!」
サーチートがはアルバトスさんに縋り付いて泣いていて、アルバトスさんは重い腕を持ち上げ、サーチートの体を優しく撫でる。
「サーチートくん……君はとても健気で、可愛い生徒でした……。もっと君と、たくさんお勉強をしたかったです……」
「ぼくもっ! ぼくもだよう~!」
サーチートは何度も頷き、小さな手でアルバトスさんの紫色に染まった服を握りしめた。
アルバトスさんはサーチートに、「ごめんね」と言って、最後にユーリを呼んだ。
「アルバトス……伯父上っ!」
「ユーリ……今まで、すまなかったね……。君に枷をつけて、檻の中に、狭い世界の中に、ずっと閉じ込めてしまった……。苦しかっただろう?」
自分に伸ばされたアルバトスさんの手を握りしめ、ユーリは首を横に振った。
アルバトスさんの言葉の意味は、私にはわからなかったけれど、ユーリは何度も首を横に振り、そんな事はなかったと繰り返す。
「あなたが育ててくれたから、私は今まで生きる事ができたのだっ……」
「ユーリ……」
アルバトスさんは、ユーリの言葉を聞いて、幸せそうに微笑む。
「君は、優しい子、だね……。大好きだよ……愛してる……これから先も、ずっと、愛してる……見守っているから……。もう、私という枷は、檻はない……君は、本当の君になって……これからは、自分の思う通りに……自由に、好きなように、生きていきなさい……」
アルバトスさんはユーリにそう言うと、自分の想いを伝えきって満足したたようにもう一度微笑み、息を引き取った。
「アルバトス! 伯父上ぇっ!」
アルバトスさんの亡骸を抱きしめて、ユーリが絶叫する。
同時に、ユーリの体を金色の炎のようなものが包み込んだ。
ユーリはアルバトスさんを地面にそっと寝かせると、ゆっくりと立ち上がり、その金色の綺麗な瞳に憎しみの炎を燃え上がらせて、ジュニアスを睨みつける。
そして――。
「お前ら……全員、殺してやる……。いや、もう、こんな国……滅ぼしてやる……」
と、呪いの言葉を口にし、地面に落ちた剣を拾うと、先程までとは比べ物にならないスピードで、ジュニアスに斬りかかっていった。
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