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第1章・異世界転移と異世界転生
リュックサック②
しおりを挟む「おい、昨日は大変らしかったな」
「は? 何の事?」
「ジュンを、よく止めたな」
「へ? あぁ、あの時の事か……」
サーチートの事を考えていたら、ジュニアスから話しかけられた。
「あの時、ナディアの部屋には、俺も居た……。ジュンが暴走していれば、俺も死んでいたかもしれん……」
あぁ、そう言えばそうだったなぁと思う。
私はナディア様とアニーさんの事しか考えていなかったけれど、ノートンが少し乱暴にジュンを止めたのは、ジュニアスのためだったんだろうなぁ。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「あのジュンって女の事、どう思ってるの? すごく危険な女だって、思っていないの? はっきり言うけど、あの女、おかしいよ?」
私がそう言うと、そうかもしれんな、とジュニアスは頷いた。
「だが、欲しい物は何が何でも、どんな手を使っても手に入れるという姿勢は、俺に、そして俺の母に似ていてな、俺はジュンのそういうところを、気に入っている」
「あ、そうなんだ……」
ジュンが似ているという事は、ジュニアスも彼のお母さんも、ジュンのような性格というわけか。
恐ろしい三人組である。
だけど、そんな人たちばかりで、上手くやっていけるのかな?
譲り合いとか、できないんじゃないの?
ちらりとそんな事を思ったけれど、どうでもいいかと思い直した。
私はジュンのような人間とは、一緒に居たくないから、つまり、ジュニアスとも一緒に居たくない。
「おい、ジュンの事だが、なるべく何もしないように、こちらでも気を付けるが、お前の方もジュンを挑発するなよ。大人しくしておけ」
「はいはい」
適当に返事をした私に、ジュニアスはため息をつく。
「殺されたくなければ、大人しくしておけと言っているんだ。俺は、矛と盾、二人の聖女を、どちらも失いたくないんだ。お前たちの力を使って、この国が、いや、俺が、この世界の王……ルリアルークの王になるのだ」
「は?」
何言ってんだ、こいつ……という目で、私はジュニアスを見てしまった。
この男は、私がその手伝いをすると思っているのだろうか。
絶対に、嫌だ。手伝いたくない! 絶対にだ!
「おい、大人しく言う事を聞いておいた方がいいぞ。死にたくなければ、な」
私が考えている事がわかったのか、ジュニアスがニヤリと笑う。
「そうでないと、ジュンの望むようにさせてしまうかもしれんぞ。俺は、そうはしたくはないのだがな」
ジュニアスはそう言うと、私の前から立ち去った。
つまりあの男は、言う事を聞かなければ、私が盾の聖女だろうが何だろうが、殺して捨ててしまおうとしているわけだよね。
こんな事を聞いたら、ますます協力なんかしたくないし、ここから早く出て行きたいと私は思った。
だけど、どうやったらここから出ていけるのだろう?
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