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第1章・異世界転移と異世界転生

目覚めてからの情報整理②

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「ステータス」

 呪文を唱え、ステータスが見られる白い画面を確認する。

「は? 何、これ……」

 私は首を傾げた。そこには盾の聖女などではなく、

 名前:糸井織絵
 年齢:二十歳
 職業:真聖女
 魔力:∞
 魔法:全て使える

 と書いてあった。
 前に見たステータスでは、大聖女と書かれていた。
 で、今が真聖女……どういう事なのか、さっぱりわからない。
 とりあえず、盾の聖女とかいうのではないようなので、安心した。
 これで、あのジュンとニコイチは避けられるだろう。

 魔力が∞で、全ての魔法が使えるというのは、前に見た時のままだった。
 ただ……この世界にどんな魔法があるのかっていうのは、知らないんだけどね。
 あと……年齢、二十歳って書いてある! めちゃくちゃ若くなってる!
 元の年齢の半分以下だ! きゃっほー!

「そっかぁ、二十歳かぁ……若いなぁ……」

 ジュンのステータスは、何て書いてあるんだろう。
 あの人のステータスには、矛の聖女って書いてあるのかな。
 いや、あの人は炎の呪文が得意みたいだから、炎のナントカとか書いてあるのかもしれない。
 そう言えば、前にユーリが、ジュンの事を毒婦のようだって言ってたっけ。
 もしかして、ジュンのステータスには、炎の毒婦、とか書かれていたりしてね!

 そんな事を考えていたら、ドアがノックされた。
 無視していると、失礼します、と声がかかり、ノートンが入ってきた。

「先程は、怖い思いをされたでしょう。申し訳ありませんでした」

 ノートンはそう言うと、私に頭を下げた。

「他にも謝る事があるんじゃないの?」

「あぁ、確かにそうですね。あなたの命を奪ってしまった事を、先に謝るべきでしたか」

「謝って済む事ではないけどね」

「確かに」

 少しも悪いと思っていない相手と話していると、イラっとしかしない。
 でも、そちらが悪いと思っていなくても、こちらは絶対に忘れないから。
 そう思いながら、私はノートンを睨みつけた。

「で、何か用?」

「いえ、目覚めてすぐに怖い思いをされたかと思いまして、様子を見にがてら、ジュン様とあなたの説明をしに来ました」

「わかった、聞く」

「詳しい話は、ジュニアス様がされるかもしれませんが、私の方から簡単な説明をしておきます。ジュン様は、あなたを殺してあなたの力を手に入れると言っていますが、ジュニアス様はそんな事をさせません。ジュニアス様は、この国に矛と盾の聖女を、両方揃えておきたいとお考えです」

「その、矛と盾って何? ジュンって言う人が、私を殺して回復魔法を手に入れたいって思うのは、あの人が回復系の魔法を使えないって事でいい?」

 私がそう尋ねると、ノートンは頷いた。

「彼女は矛の聖女ですからね。攻撃系の魔法……火炎系の魔法が得意のようです。あなたは盾ですから、回復系や防御系の魔法しか使えないはずです」

「そう、だね」

 本当は攻撃系の魔法も使えるけれど、ノートンには知られない方がいいだろう。
 とりあえず今は、私は盾の聖女という事にしておいた方がいいような気がした。
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