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第1章・異世界転移と異世界転生

目覚め②

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「え?」

 私が首を傾げると、鏡の女の子も首を傾げる。
 一体どういう事だ?
 もしかしてこの女の子は、私って事か?
 頬をつねってみると、鏡の女の子も自分の頬をつねっていた。
 うわ、この女の子、私だ! マジか!
 女の子――今の私は、黒髪はそのまま、瞳の色はラピスラズリのような、濃い青になっていた。
 シミ一つ無い白い肌をしていて、以前の私についていた分厚い肉など、どこにもついておらず、華奢な美少女?だった。
 私は腰に手を当てる。細い! なんだこの腰の細さは!
 夢にまで見た、くびれではないか!

「やだ、嘘、くびれ! くびれがある! くびれー!」

 生まれて初めて手に入れたくびれに感動し、大はしゃぎしていると、ドアがノックされた。
 誰かは知らないけれど、返事を待たずにドアを開けるものだから、くびれを手に入れて大はしゃぎしている恥ずかしい姿を見られてしまった。
 相手はダークブラウンの髪に明るい緑の目の若い女の子で、侍女かメイドぽい?
 彼女は私の行動に一瞬あっけに取られていたようだったが、すぐに笑顔になり、こう言った。

「お目覚めになられましたのね。ようございました。私は、ナディア様の侍女で、アニーと申します」

「アニーさん、ですか」

「はい、アニーでございます」

 名乗ってくれたから、こちらも名乗るべきなのだろう。そう思った私は、自己紹介をした。

「糸井織絵です。よろしくお願いします」

 そう言ってペコリと頭を下げると、

「よ、よろしく、お願いします」

 アニーさんからは、微妙な反応が返ってきた。
 なんなのだろう、この反応は。挨拶をするところではなかったのだろうか。

「あの、アニーさん、ここは、どこですか?」

「オルブリヒト王国の、王宮の一室でございます」

「あの、私はどうして、ここにいるんですか?」

「それは……ジュニアス様が、あなたを連れて戻られたのでございます」

「そう、ですか……」

 やっぱりそうだったか……私は深いため息をついた。
 私がここに居て、サーチートやユーリがそばに居ないという事は、私はジュニアスに無理矢理連れて来られたのだろう。
 サーチートやユーリたちは無事だろうか?

「あの、盾の聖女様……」

「盾の聖女? それ、何ですか?」

「あなた様の事でございます」

「え?」

 盾の聖女? なんだろう、その呼び名は。初めて聞く呼び名だった。

「あの、オリエでいいです。盾の聖女とか……何の事やら、さっぱりわからないです……」

 私がそう言うと、アニーさんは頷いてくれた。

「では、オリエ様……」

「はい」

「お体の具合は、いかがですか? もしもよろしければ、食事の用意でも致しましょうか? そして……私の主人に会っていただきたいのですが……」

 アニーさんの主人って、さっき言ってた、ナディア様って人なのかな。
 一体誰なのだろう?
 すごく気になったけれど、会わせてくれるというのなら、焦る必要はないだろう。
 わかりましたと頷いて、私はアニーさんに食事を用意してもらう事にした。
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