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第1章・異世界転移と異世界転生

目覚め①

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 はて、ここはどこだろう?
 目を覚ました私は、周りを見回して、知らない場所に首を傾げる。
 私はベッドに寝かされていたんだけど、ここはアルバトスさんが貸してくれた部屋ではなかった。
 ベッドも調度品も、アルバトスさんが貸してくれた部屋のものよりも豪華な物ばかりで、見覚えのない部屋と物に、混乱する。

「サーチート!」

 自分の事を、騎士だの使い魔だのと言う相棒の名前を呼んでみるが、そばに居ないらしく、反応がない。
 またアルバトスさんにくっついて勉強をしているのかと思ったけれど、ここはアルバトスさんの家ではないようだし、離れた場所にいるのかもしれない。

 一体、何があったんだっけ?
 頭が少しぼうっとしたけれど、森で傷ついたジャンくんとモネちゃんに会ったのを思い出してから、私は全てを思い出した。
 鏡の魔道具を使って、元の世界の私の命が奪われてしまった事も、全て。
 そうかぁ、私、死んじゃったんだよね。
 この世界では、まだ生きているみたいだけど。

 一時的ではあるけれど、元の世界とこの異世界で、二人同時に存在していた私。
 このまま二人同時に存在し続けるっていうのは、できなかったのかもしれないとは思うけれど、まさか元の世界の私が、この異世界からの攻撃で死んでしまう事になるとは思っていなかった。
 自分の四十七年の人生を振り返り、良い人生だったのか、悪い人生だったのか、わからない。
 幸せか不幸かだなんて、人それぞれだけれど、私の人生はどうだったのだろう?
 でも、私なりに一生懸命生きてきたはずだ。
 そして、この異世界でも、私は私なりに一生懸命に生きていきたい。





 途中で気を失ってしまったから、よく覚えていないのだけれど、ユーリやアルバトスさん、怪我をしていたジャンくんとモネちゃんは大丈夫だろうか。
 ジャンくんとモネちゃんの怪我は、ヒールを唱えて、できる限りの手当てをしたと思うけど、ジュニアスやノートンがみんなを攻撃していたような気がする。

 で、今の私なんだけど、この場所はやっぱり、オブルリヒトの王宮なのだろうか。
 ジュニアスとノートンは、私をユーリの元から奪ってきたって事よね。
 一体私をどうするつもりなのだろう。
 ユーリやアルバトスさんが言っていたように、私をどこかに閉じ込めて、聖女の役目っていうのを背負わせるつもりなのだろうか。
 とりあえず、ここはオブルリヒトの王宮ではあるだろうけど、周りがどうなっているかを確認しようと思い、私は起き上がり、ベッドから降りて違和感に気づく。
 なんか、体が軽いのだ。
 ふと、自分の腕に視線を落として、驚いた。
 腕がね、すごく細いの。一体どういう事なのだろう?
 私は、部屋の調度品の一つである、姿見へと足を向けた。
 そして――。

「誰?」

 姿見に映った黒髪の細身の女の子に向かい、首を傾げたのだった。
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