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さよなら、初恋。そして、自分探しの旅へ
しおりを挟む十六歳の春、彼は子供の頃からずっと好きだった女の子に失恋をした。
彼女は彼の親友の事が、ずっと好きだったのだ。
だが、彼の親友は彼の彼女への想いを知っていたから、ずっと彼女の気持ちを受け入れる事はなかった。
彼女の事を好きなくせに、親友がその気持ちを隠してしまう事が、彼は哀しかった。
彼の親友が気持ちを隠す事は、彼女をも傷つけた。
だけど彼女の気持ちは変わる事なく、彼ではなく、ずっと彼の親友だけを見つめていた。
やがて彼の説得と真剣な彼女の想いは彼の親友に伝わり、彼の親友はやっと素直になって、彼女の気持ちを受け入れた。
良かった、と喜び彼は笑顔で二人を祝福したが、やはり失恋した胸は切なく痛んでしまった。
一人で居た時にぽろりと溢れてしまった涙に、彼自身ショックを受けた。
二人の想いが通じ合って嬉しいのは真実であるというのに、どこか哀しくて仕方がなかった。
こんな気持ちのままではいけない。
彼は自分の気持ちに整理をつけるため、再び親友と彼女の前で屈託なく笑うために、春休みを使って自分探しの旅に出る事にした。
彼はその旅で、小さな少女に出会う。
少女はこの世の終わりというような暗い表情で俯いて泣いていて、心配になった彼は思わず少女に声をかけたのだ。
後から思えば、この事が彼を教師という職業を選ばせたのかもしれなかった。
そして十年後、母校へ教師として戻ってきた彼は、成長した少女に出会った。
少女は彼が十年前にホンの軽い気持ちで口にした言葉のままに成長していた――。
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