西園寺家の末娘

明衣令央

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第6章:不和

13・希望

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「北御門のご兄弟――特に将成様は、昌央ちゃまととても仲良しなのですよ。将成様は昌央ちゃまの子分なのですわ!」

「え? ど、どういうことなの?」

 茉莉花、今、さらりとものすごいことを言わなかった?
 子分? 子分って何! 昌央、将成さんにものすごく迷惑かけているんじゃない?

「迷惑だなんて、将成様は全く思ってらっしゃらないですわ! もちろんわたくしやお姉様もです。だって昌央ちゃまは、わたくしたちの代の主となられる方なのですから」

 今の真中の主はおじいちゃん、次はきっと圭叔父さんだ。
 そして圭叔父さんの一人息子である昌央は、いずれ真中家を継ぐ……そしてそんな昌央を、茉莉花たち時代の四家の者が守っていくんだ。

「わたくしたち四家の者にとっては、真中様は雲の上のような存在です。それが、そばに居ることが許されて、慕っていただいているのです。なんと幸せなことなのでしょう。だからね、小花……昌央ちゃまのことは、何も心配しなくても良いのです。昌央ちゃまの存在は、今のわたくしたちの希望なのですわ。そしてね……」

「うん?」

「そして、小花……あなたもわたくしたちの希望なのです。あなたが目覚めて、本当に良かった。あなたの存在が、わたくしたちのこれからを少しでも良い方向へと向かわせてくれると、わたくしは信じていますの」

「茉莉花……」

 大げさだと思ったけれど、茉莉花がそういわずにはいられなかった何かが、私が眠っていた間にあったのだろう。
 私はそれを、心の底から知りたいと思っている。
 そして、それを知るために、明日あの日の録画を亘先生に見せてもらうことになったと、茉莉花に伝えた。

「あの日の録画、ですか……」

「うん。亘先生と、私、おじいちゃん、それから大樹さんも一緒に見ることになったの」

「そうですか……。小花、わたくしもご一緒いたしますわ」

「え?」

「あの日に起こったことは、小花にとって辛いものかもしれません。多分優しい小花は、きっとショックを思いますの。だから、わたくしはそんなあなたのそばに居て差し上げたいのですわ」

「茉莉花……ありがとう……」

 茉莉花の優しい気持ちに触れて、私は泣いてしまった。
 茉莉花は私のことを優しいって言うけれど、茉莉花だってものすごく優しいよね。
 本当に茉莉花は強くて優しくて可愛い、私の自慢の親友だよ。

「それに、どうせなら全員で見た方が良いと思いますわ。皆様にも声をかけましょう。小花、食堂に参りましょう」

「うん、わかった」

 私は茉莉花に連れられて食堂へと向かった。
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