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第6章:不和
8・大樹さんとの再会
しおりを挟むみんなは学校に行っているらしく、暇な私は自分の部屋で昌央と遊んでいた。
私も学校に行きたいけど、まだ包帯だらけミイラみたいだから、しばらくの間はお休みだ。
私の体は、痛みはなくなって動けるようになったけれど、包帯を解いた下には、まだひび割れたような傷が残っていた。
痛みがなくなっていたから治ったんだ思っていたんだけど、そう簡単にはいかないみたい。
おじいちゃんがちょっと泣きそうになりながらも、必ず治してやる、と何度も繰り返してくれた。
「こはな、しゃお、なおす?」
「うーん、おじいちゃんにしてもらおうかなぁ~」
昌央の申し出を、丁重にお断りする。
だってね、昌央の治癒は相手に痛みを与えて治すんだよ。
びちびちと叩かれるくらいならいいんだけど、傷に爪が食い込んだりすると、痛いんだよね。
「こはな、いいの?」
「うん、いいの。ありがとうね」
昌央はちょっと不服そうだけど、今日のところは諦めてもらった。
おじいちゃんや叔父さんでも治せそうにければ……最終手段で昌央にお願いしようかな。
「こはな、コンコンしてる」
「え? 本当だね。誰だろう……」
ドアがノックされている。私がドアを開けると、そこに居たのは大樹さんだった。
「小花っ……目が覚めたんだなっ」
「大樹さんっ!」
「小花、すまなかった……俺のせいで、お前にひどい怪我を……」
大樹さんは勢いよく頭を下げた。
それに、俺のせいって何! 私の怪我は、大樹さんのせいじゃないのに!
「だ、大樹さんのせいじゃないでしょ! 頭を上げてください!」
「小花……」
頭を上げた大樹さんは、首を横に振り、真剣な表情で私を見つめた。
「いや、俺のせいだ。だから小花、俺と結婚してほしい!」
「へっ?」
今、大樹さんはなんて言った?
私の聞き間違いでなければ、結婚って言った?
「え? あ、あのっ……どうしてっ……えっと、あのっ……」
もしかして、大樹さんは私の怪我を自分のせいだって言ってたから、責任を取ろうとしてくれているのかも。
真面目な人だから、すごく気にしていたのかもしれない。
「私の怪我は、大樹さんのせいじゃないです。だからその……」
気にしないでください、と続けると、大樹さんは私の手を掴み、首を横に振った。
「小花、誤解をしないでほしいのだが、もちろん、怪我をさせたから責任を取ると言う意味もあるが、俺はお前の事が好きなんだ。その……あの時の事は、覚えていないか?」
「あの時? あ……」
そうだ、あの日、私は大樹さんに好きだって……愛しているって言われたんだった。
あの日の大樹さんの告白を思い出すと、また顔がにやけてしまった。
私の気持ちも大樹さんに伝えたつもりなんだけど……大樹さんにちゃんと伝わっていたかな。
「私の気持ち、あの日、言ったんだよ?」
「あぁ、聞いた……。すごく嬉しかった……だけど、小花があんな事になって……気が狂いそうだった……」
大樹さんは掴んだ私の手を引いて、私は大樹さんの胸にぽすんと収まった。
それから、ぎゅっと抱きしめられる。
「小花が生きていてくれて良かった……俺は小花を誰にも渡したくない……例え、真中家や西園寺家が反対したとしても、絶対に認めさせてみせる……。だから……俺と結婚してほしい……」
大樹さんに抱きしめられながら、真剣なプロポーズにドキドキした。
嬉しくて……本当に大樹さんのお嫁さんになれたら幸せだなって思って……私は大樹さんを見上げ、よろしくお願いします、と返事をした。
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