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第壱話-開始
開始-10
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「いやぁ~ すいません。お食事をご一緒させて貰っちゃって」
頭をボリボリと掻きながら真希に話しかける新三。
誠はここまで得た情報を他の捜査員と共有する為、一度、捜査本部に帰投した。
新三が真希と接触したいというので愛子を監視係として真希と接触。
そして、真希に接触した二人。
真希がこれから夕飯を食べるというので同席させてもらい、今に至る。
三人はステーキハウスで話をしていた。
「いえいえ。いつも一人なので他の人と食事するのは久しいのでなんか新鮮です」と言いながら真希の顔からは迷惑だという表情が伺えた。
「それで、私に相談したいという事は?」
「実は、被害者の方が他の営業マンの営業妨害をしていたという事実が分かったんです」
愛子が本題を切り出すと真希は平然としているように見せかけているが、その手の中にあるナイフとフォークは小刻みに震えていた。
「その話をして、私にどうしろと?」
「それは・・・・・・・・・」横に座る新三に何かを言えと目配せをするのだが、新三はそれに気づかずステーキ被りついていた。
肉にフォークを突き刺し、「熱っ! 熱っ!!」と言いながら、口の中に肉を頬張ろうとする。
「あの、ナイフ使わないんですか?」
「え? これって、人を刺し殺すための道具じゃないんですか!?」新三は笑みを浮かべる。
「なっ、何を言うんだ!!! あんた!!!」激昂した真希は椅子から立ち上がり新三を見下ろす。
「まぁまぁ、言葉の絢だよな。愛子ちゃん」
「それは違うと思います。後で、お仕置きしておきますから。ここは」
「こちらこそ申し訳ない。私も熱くなってしまった。許してください」
「ほら、こう言っているんだし。愛子ちゃんは気にしすぎ」
一体、誰のせいでこんな事になったのか。愛子と真希は心の中でそう呟く。
「そんな事はさておき、被害者の話です。真希さんはそういう被害に遭っていないかなと心配になりましてね」
「さぁ、私にはそのような接触はなかったですね」
「そのような? じゃあ、別の接触はあったんですか?」と新三が質問すると、真希は目を右往左往させ脂汗をかき始めた。
言い訳を考えているのだろう。新三はそう考え、少し泳がせることにした。
それから1分程の間が開き、真希は話し出した。
「せ、接触なんてあるわけないじゃないですか。前にも言ったでしょ」
「そうですよ。小永さん、ちゃんとした質問をしてください!」愛子が助け舟を出すとは思わず少し驚く新三。
「でした。でした。私、物覚えが悪いもので。めんご!!」手を合わせて謝罪すると同時に真希にウインクする。
「キモっ!!」
横に座る愛子の視線は、汚物を見るかのような冷酷なものであった。
「じゃ、じゃあ、話を変えて・・・・・・・・・脅迫の手口についてなんですけど」
新三がそう言った瞬間、真希の両肩がビクンっと脈をうつ。
「どうやら、興信所に身辺調査させて脅迫する相手の弱みを握っていたみたいなんですよね」
「そうですか・・・・・・・・・」
「人間いや宇宙人含めて、叩けば埃が出る。あ、事件には関係なんてありませんね」
そうお気楽に話す新三を見ながら真希は、この男どこまで気づいているのか? 心理的に追い込もうとしているのか? その様な事が心の中を張り巡らせていた。
「聞いてます?」そう新三に言われはっとする真希は、目の前に居る愛子が心配そうに自分を見ていた。隣に座る新三は満面の笑みで真希を見つめる。
「大丈夫ですか?」愛子の問いかけに「大丈夫です。続けてください」そう答える真希であった。
「お言葉に甘えて続けさせて頂きますね」と前置きをして新三は話を続けた。
「被害者はどうやら、自分の営業の障害となる人物に目をつけて脅迫をしていたんです」
真希は黙り込んだまま、新三の話に耳を傾ける。
「私はね真希さん。この脅迫された中に犯人がいるとい考えているんです」
その言葉を聞き、真希に一筋の光が見えた。
今まで脅迫してきた奴らの中から犯人としてでっち上げようと思い立ち、すぐさま行動に移した。
「でしたら、心当たりがあります」その言葉を聞き新三と愛子は互いの顔を見た後、『誰なのか、教えてください』と二重唱でその人物が誰なのか尋ねる。
「業界シェア第三位の企業に勤める柴取という人物です」
「そう言ったお話をその柴取さんからお聞きになった?」新三の質問に「はい」即答する真希。
「どういうご関係なんですか? その柴取さんと」
「彼とは展示会で知り合ったんです。その時にウチに転職したいのでアドバイスが欲しいと言われてそれからの仲なんです。定期的にあって話していますよ」真希は警察もそこまで深く捜査しないだろうと踏んでこの発言をした。
「そうでしたか」と納得したという表情の愛子。
「ええ」勝った。そう心の中で思う真希を他所に新三は天井を見上げながら言う。
「分かりました。明日、早速調べてみたいと思います」
「彼の為にも宜しくお願いします」
真希は伝票を持ち一人席を立つ。愛子が割り勘で払うと言ったのだが上機嫌な真希がご馳走してくれるというのでその言葉に甘え会計を任せた。
会計を済ませた真希は退店し、残った二人はこれからの事を話し合う。
「小永さん、彼はああ言っていましたがこれからどうするんですか?」
「どうするって。自分から私が犯人だと言ったようなもんだからな。明日、ケリをつけよう」
愛子はそう言う新三の目の奥に何か燃えるものを感じた。
悪を許さない。そんなものを。
頭をボリボリと掻きながら真希に話しかける新三。
誠はここまで得た情報を他の捜査員と共有する為、一度、捜査本部に帰投した。
新三が真希と接触したいというので愛子を監視係として真希と接触。
そして、真希に接触した二人。
真希がこれから夕飯を食べるというので同席させてもらい、今に至る。
三人はステーキハウスで話をしていた。
「いえいえ。いつも一人なので他の人と食事するのは久しいのでなんか新鮮です」と言いながら真希の顔からは迷惑だという表情が伺えた。
「それで、私に相談したいという事は?」
「実は、被害者の方が他の営業マンの営業妨害をしていたという事実が分かったんです」
愛子が本題を切り出すと真希は平然としているように見せかけているが、その手の中にあるナイフとフォークは小刻みに震えていた。
「その話をして、私にどうしろと?」
「それは・・・・・・・・・」横に座る新三に何かを言えと目配せをするのだが、新三はそれに気づかずステーキ被りついていた。
肉にフォークを突き刺し、「熱っ! 熱っ!!」と言いながら、口の中に肉を頬張ろうとする。
「あの、ナイフ使わないんですか?」
「え? これって、人を刺し殺すための道具じゃないんですか!?」新三は笑みを浮かべる。
「なっ、何を言うんだ!!! あんた!!!」激昂した真希は椅子から立ち上がり新三を見下ろす。
「まぁまぁ、言葉の絢だよな。愛子ちゃん」
「それは違うと思います。後で、お仕置きしておきますから。ここは」
「こちらこそ申し訳ない。私も熱くなってしまった。許してください」
「ほら、こう言っているんだし。愛子ちゃんは気にしすぎ」
一体、誰のせいでこんな事になったのか。愛子と真希は心の中でそう呟く。
「そんな事はさておき、被害者の話です。真希さんはそういう被害に遭っていないかなと心配になりましてね」
「さぁ、私にはそのような接触はなかったですね」
「そのような? じゃあ、別の接触はあったんですか?」と新三が質問すると、真希は目を右往左往させ脂汗をかき始めた。
言い訳を考えているのだろう。新三はそう考え、少し泳がせることにした。
それから1分程の間が開き、真希は話し出した。
「せ、接触なんてあるわけないじゃないですか。前にも言ったでしょ」
「そうですよ。小永さん、ちゃんとした質問をしてください!」愛子が助け舟を出すとは思わず少し驚く新三。
「でした。でした。私、物覚えが悪いもので。めんご!!」手を合わせて謝罪すると同時に真希にウインクする。
「キモっ!!」
横に座る愛子の視線は、汚物を見るかのような冷酷なものであった。
「じゃ、じゃあ、話を変えて・・・・・・・・・脅迫の手口についてなんですけど」
新三がそう言った瞬間、真希の両肩がビクンっと脈をうつ。
「どうやら、興信所に身辺調査させて脅迫する相手の弱みを握っていたみたいなんですよね」
「そうですか・・・・・・・・・」
「人間いや宇宙人含めて、叩けば埃が出る。あ、事件には関係なんてありませんね」
そうお気楽に話す新三を見ながら真希は、この男どこまで気づいているのか? 心理的に追い込もうとしているのか? その様な事が心の中を張り巡らせていた。
「聞いてます?」そう新三に言われはっとする真希は、目の前に居る愛子が心配そうに自分を見ていた。隣に座る新三は満面の笑みで真希を見つめる。
「大丈夫ですか?」愛子の問いかけに「大丈夫です。続けてください」そう答える真希であった。
「お言葉に甘えて続けさせて頂きますね」と前置きをして新三は話を続けた。
「被害者はどうやら、自分の営業の障害となる人物に目をつけて脅迫をしていたんです」
真希は黙り込んだまま、新三の話に耳を傾ける。
「私はね真希さん。この脅迫された中に犯人がいるとい考えているんです」
その言葉を聞き、真希に一筋の光が見えた。
今まで脅迫してきた奴らの中から犯人としてでっち上げようと思い立ち、すぐさま行動に移した。
「でしたら、心当たりがあります」その言葉を聞き新三と愛子は互いの顔を見た後、『誰なのか、教えてください』と二重唱でその人物が誰なのか尋ねる。
「業界シェア第三位の企業に勤める柴取という人物です」
「そう言ったお話をその柴取さんからお聞きになった?」新三の質問に「はい」即答する真希。
「どういうご関係なんですか? その柴取さんと」
「彼とは展示会で知り合ったんです。その時にウチに転職したいのでアドバイスが欲しいと言われてそれからの仲なんです。定期的にあって話していますよ」真希は警察もそこまで深く捜査しないだろうと踏んでこの発言をした。
「そうでしたか」と納得したという表情の愛子。
「ええ」勝った。そう心の中で思う真希を他所に新三は天井を見上げながら言う。
「分かりました。明日、早速調べてみたいと思います」
「彼の為にも宜しくお願いします」
真希は伝票を持ち一人席を立つ。愛子が割り勘で払うと言ったのだが上機嫌な真希がご馳走してくれるというのでその言葉に甘え会計を任せた。
会計を済ませた真希は退店し、残った二人はこれからの事を話し合う。
「小永さん、彼はああ言っていましたがこれからどうするんですか?」
「どうするって。自分から私が犯人だと言ったようなもんだからな。明日、ケリをつけよう」
愛子はそう言う新三の目の奥に何か燃えるものを感じた。
悪を許さない。そんなものを。
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